表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/152

018_魔剣

風雲急を告げる……?

 ■■■■■■■■■■

 018_魔剣

 ■■■■■■■■■■



 転生9日目。今日は休日だ。

 前の日に徹夜しているから、昨夜はよく寝ることができた。おかげで朝早くに目が覚めて、アンネリーセの寝顔をこうして眺めることができる。

 起きていても寝ていても、場所が明るくても暗くてもアンネリーセは可愛い。これは真理だ。うん、間違いない。


 妙な納得をしていると、アンネリーセの瞼がゆっくりと上がっていく。

「ご主人様……おはようございます」

「うん。おはよう。今日もアンネリーセは美形だね」

 老婆に戻ったらどうしようかと思っていたが、2晩過ぎてもアンネリーセは可愛かった。


「そ、そんなことないです……」

「俺がそう言うんだから、それでいいんだよ」

「……はい」

 可愛いは正義だ。


 アンネリーセの煌めく金髪を撫でる。スベスベ艶々で指の間をすり抜けていく。おかしいな、シャンプーはおろか石鹸もないのに、彼女の髪はサラサラだ。

 まあいいか。美形の髪がサラサラふわふわなのは時空を越えると言うし(嘘です)


 丁度いいから今日の買い物は石鹸を探そう。なければ自分で作ることも考えよう。石鹸くらいなら俺でも作れるからな。


「うーん、今日も寒い。でもアンネリーセのおかげで暖かったよ。ありがとう」

「私も暖かくてぐっすり眠れました」

 同じベッドで寝るのは、お互い暖かくていいことだ。夏になっても一緒に寝るけどね!


 着替えをするが、当然ながらアンネリーセをガン見する。こればかりはどうしても止められない。アンネリーセが嫌がるなら止めるけど、今のところその気配はない。


「傷一つない綺麗な肌だ」

「そんなことは……」

 頬を染めるアンネリーセの所作は初々しくて可愛らしい。


 朝食を食べた後、2人で出かける。今日はダンジョン探索じゃないから、普通の服だ。

「今日はアンネリーセの好きな店に行こう」

「いいのですか?」

「いいよ。アンネリーセの行きたいところに行こう」

 嬉しそうに歩くアンネリーセの胸が揺れる。さらしをしても、揺れるものは揺れるのだ。


 最初は武器屋。なぜ武器屋と思ったが、アンネリーセは楽しそうに剣と杖を見て回った。

 次は防具屋。主に金属の防具を扱っている店だ。3軒目も防具屋。こっちは革製品が多い。

 まさかアンネリーセは脳筋か? いや、あんなに可愛いんだから、服屋にも行くと思うんだ。これは俺に配慮しているんだ。それに間違いない。


「俺に配慮しなくていいぞ」

 微笑みが返ってきただけで、否定も肯定もない。どっちだ?


 お昼はちょっと洒落た店。パンケーキのようなものが有名な店だとか。女の子は甘いものが好きだけど、アンネリーセもそれは変わりないようだ。

 若返ってからのアンネリーセの表情はとても柔らかいものだが、パンケーキを食べている時は嬉しそうに目じりが下がりに下がっていた。女の子なんだと思ったよ。

 こういった店に入ったということは、俺への配慮をするのは止めたようだな。


 次は服屋か、アクセサリーか、それとも雑貨店でお洒落な小物を見るか?


 午後の1軒目は武器屋だった。なぜ武器と防具の店しか行かない? 俺に配慮する必要はないんだぞ。


「次はゴルテオ商店へ行きましょう」

「ゴルテオさんのところか」

 あそこは総合商店のような店だから、色々なものがある。もちろん、服やアクセサリーなどもある。


 ゴルテオ商店に向かって道を歩いていると、アンネリーセが服の裾を掴んだ。

「どうしたの?」

「振り向かずに聞いてください」

「……分かった」

「誰かにつけられています」

 何それ、怖っ。


「知り合い?」

「見たことない方々です」

「方々ということは、1人じゃないんだね」

「魔力感知の魔力の反応は3つです。私たちから距離を取りながらついてきます」

「……気のせい……じゃないね」

 アンネリーセの目は真剣だ。ちゃんとチェックしてから俺に伝えているんだろう。


 さて、その3人の目的はなんだ? 俺関係……というのは考えにくい。この世界に来てまだ10日も経ってないから、知り合い自体少ない俺にそんなイベントが起きる確率は低い。


 そうなるとアンネリーセか? もしかしたらアンネリーセの爆発事故の被害者かその関係者か。可能性は高いと思うが、それだけに絞るのは危険だ。でもアンネリーセの容姿は若返っているから、見分けできないはず。

 あとはアンネリーセの可愛さに惹かれたストーカーという線もあるか。


 せめて3人の姿が見えれば、詳細鑑定するんだけど。そうだな、見える位置に誘導するか。


「そいつらの姿を確認したい。誘導できるか」

「やってみます」

 話していると、ゴルテオさんの店が見えてきた。俺とアンネリーセはショーウィンドウの商品を見て仲良く話をするフリをして、その3人の姿を視界に入れる。


「灰色の服を着ている人と、赤いバンダナを巻いている人、もう1人の姿は建物の陰に隠れて見えません」

「2人も見えるんだ、全然いいよ」

 ───詳細鑑定発動。


 灰色の服のほうはガリア。赤いバンダナのほうはキュルス。2人とも盗賊だ。

 こいつらは、俺が殺した盗賊たちの仲間で、俺を狙っていると詳細鑑定が教えてくれた。

 まさかあのイベントがここまであとを引くか。あれか、舐められたら盗賊なんてやってられないってやつか。どーでもいいよ、そんなの。


 あの時ゴルテオさんの商隊が通ってなかったら、俺を襲っていたんだろ? そんなものに俺が忖度するわけないじゃん。そもそもあの時の俺は結構テンパっていたんだよ、そんなの考える余裕なんてないし。


 だいたいさ、殺されるのが嫌なら盗賊なんてするなよな。まったく逆恨みもいいところだ。頭の中、脳みそじゃなくて、ウ●コが詰まっているんじゃないか。


「あいつら、盗賊だ」

「やっぱりそうでしたか」

「分かっていたのか?」

「いえ、風体がそんな感じだったので、もしかしたらと思っていただけです」

 目つきが悪いからな、2人共。


 俺を狙っていて良かった。アンネリーセのほうなら、対処に悩んだところだ。相手が盗賊なら容赦なく対処できるからな。


「3人の行動に注視しておいてくれ」

 魔力感知なので見ているわけじゃないけどさ。

「はい。お任せください」


 ゴルテオさんの店に入った。そう言えば、以前買ったバーガンとググルトを全く使ってないな。

 自炊する機会がないから、なかなか使えない。もっと稼ぐようになったら、アパートでも借りようかな。アパート、あるよね?


「これはトーイ様。ようこそおいでくださいました」

 ゴルテオさんではなく副店長のおじさんが手を捏ねて迎えてくれた。アンネリーセの奴隷契約をしてくれた人だ。目立った顔立ちではないが、ブサイクではない。


「今日はアンネリーセは一緒ではないのですか」

「え……」

 なんと答えればいいのだろうか?

 目の前にいる若くて可愛い女の子がアンネリーセだと言ったら、信じてくれるのかな。

 アンネリーセに視線でどう答えたらいいか聞いたが、首を傾げるだけだった。


「この子がアンネリーセです」

「はい? ……ご冗談を」

「それが本当なんです。内緒ですよ」

「な、内緒ですか……それはもう、お客様の情報を洩らすようなことは致しません」

 プロ意識のある副店長さんだ。きっと数年後には店長になっているだろう。知らんけど。


「商品を見させてもらいます」

「はい。どうぞどうぞ」

 にこやかに店の中へ誘ってくれる。


 アンネリーセの好きなように見てもらう。最初は武器の展示エリア。なぜ武器に拘る?

「いい武器ですね」

 アンネリーセの目が釘付けになっているのは、うっすらと青く輝く剣だ。


 この店はガラスがふんだんに使われていて、日の光が店内を照らしている。その光ではなく、剣自体が輝いているようだ。


「それは雷鳴剣という魔剣になります。攻撃した時に放電して敵を感電させます」

 魔剣なんてあるのか。いつかは俺も魔剣を手に入れたいものだ。


「こちらは吸命剣と申しまして、同じく魔剣にございます」

 黒光りしている剣が吸命剣。切られると、追加でHPを20ポイントも吸い取られるものだ。恐ろしい。

 この吸命剣だと、硬くて刃が通らない敵にも一定のダメージを与えられる。かなり優秀な魔剣だ。


「今は高嶺の花だな」

 値段を見ると、雷鳴剣が600万グリル。吸命剣が800万グリル。日本の都心は無理でも郊外なら家が建つ値段だ。


「雷鳴剣は有名な魔剣ですけど、吸命剣はあまり聞いたことがないですね。製作者はクジャタさんですか?」

「いえ、吸命剣の製作者はクジャタ氏ではありません。本人の希望で名を伏せる約束ですから詳しくはお話しできないのですが、品質には自信をもって販売しております」

 製作者が居るということは、ダンジョン産じゃなくても魔剣は造れるということか。オーダーメイドで魔剣を造ってもらえるようになりたいものだ。


 剣の次は杖を見せてもらう。

「こちらは魔杖です」

 魔杖なんてあるのか。

 聞けば、魔槍もあるんだとか。しかも防具にも効果ありの魔鎧なんてものがあるそうだ。こういったものを総称して魔装と言うらしい。


「自動修復の効果がある武器や防具もあるのですか?」

「自動修復の効果がある武器や防具は人気なんですよ。お手頃な値段でメンテナンスもほとんど不要ですから」

 俺のミスリルの両手剣も、魔装の一種らしい。しかもメンテナンスフリーだからずぼらな探索者たちに人気があるそうだ。

 副店長は自動修復の魔剣でも200万グリルになると言った。高いよ。


「魔剣や魔槍の材料はミスリル以上の魔鉱石が使われます。産出量も少なく、さらに魔剣を鍛えることができる鍛冶師も少ないことから、高額になってしまいます」

 材料も貴重で製作者も少ないとなれば、高額になるのは当然か。それに、それだけの価値があるから、この値段でも売れるのだろう。


 武器と防具のエリアの次は服を見に行こうと誘った。

 そっちへ向かう途中に面白そうなものが目に入った。


「こちらは魔導コンロになります。薪を使った竈よりもお手軽に高火力で料理ができます」

 魔導コンロは魔石と言われる鉱石がないと動かないものらしい。その魔石はゴルテオさんの店に置いてあり、1個500グリルからあるらしい。


 コンロが2口とオーブンが一体化されているものだから、使い勝手はよさそうだ。高さも丁度いい。

 日本では毎日料理を作っていたからほしいと思ってしまう。お値段はなんと12万グリル。買える。欲しい。でも置く場所がない。

 宿屋住まいの俺では魔導コンロを買っても使う場所がないんだよ(泣)


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』をよろしくです。


気に入ったら評価もしてください。

下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。

『★★★★★』なら嬉しいです(^◇^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★★★ 2023年7月25日 ★★★
★★ 小説1巻発売予定! ★★
★ https://mfbooks.jp/product/kakuretensei/322303001895.html ★

小説家になろう 勝手にランキング

↓↓↓
こちらもお楽しみください
↓↓↓
マイホーム・マイライフ【普通の加護でも積もれば山(チート)となる】
― 新着の感想 ―
[良い点] お料理できるとうれしいわね
[一言] 若くなってから急にセクハラしまくってて笑う
[一言] アンネリーセが歳を取っても愛してあげて欲しいな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ