139_スズカダンジョン初探索
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この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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139_スズカダンジョン初探索
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俺はアンネリーセ、リン、ダイゴウ、そして一期生のアバトとナザンの合計6人と小隊を編成した。
アバトは騎士からジョブが進化し、重騎士レベル48になっている。
ナザンも剣士から剣王に進化し、レベルは47だ。
ダイゴウの上忍もレベルが48まで上がっている。
「いいか、命が何よりも優先される。無理はするな。危ないと感じたら、すぐに撤退しろ」
情報がないのは王都ダンジョン10階層でも同じだったが、難易度はダンジョンによって違う。このダンジョンがどれほどの難易度か分からないだけに、無理は厳禁だ。
ダンジョンがモンスターを外に放出する現象を起こしているため、3個小隊が常にダンジョン内側の出入口付近を守っている。
あのロックドラゴン以降、モンスターの放出はなくなったが、安心はできない。
黒い渦を通りダンジョンの中に入る。
「これは高いな」
緑生い茂るスズカ山脈の廃坑から一転、岩山の中腹に出た。そこそこ広い場所だが、眼下と眼上には岩が剥き出しの無骨な崖がある。登るのも、下りるのも大変そうだ。
報告で聞いていたが、本当に岩山だった。
左側に幅3メートルほどの道がある。それ以外に道はない。そちらに進むか、崖を下りるか、もしくは登るかの三択になる。
クライミングの用意はしてない。縄はあるが、数百メートルある崖を下りられるものではない。
「ダイゴウならこの崖を登るか降りるかできるか?」
「できなくはないですが、モンスターに襲われたらさすがに危険です」
ダイゴウの視線の先に、崖にへばりつくようにトカゲのモンスターがいた。保護色の茶色だから見落としていたよ。
「ロックイーター。レベルは10か」
「ダンジョンの出入口付近にレベル10のモンスターを配置するとは、なかなか悪辣なダンジョンですね」
ケルニッフィでも王都でもザワリフィでも、ダンジョンの出入口付近のモンスターはレベル1か2くらいだ。それが10もあると、初心者はまず死ねる。初見殺しだな。
「ああ、悪辣だな。石化のブレスまで吐くぞ、あれ」
皆が呆れた顔をする。
石化ブレスはロックドラゴンも持っていたが、吐く前に倒してしまった。いいところなしで気の毒になるが、こちらも命がけだ。
普通のダンジョンは、出入口付近は安全地帯になっている。
このダンジョンも同じようで、ロックイーターは襲ってこない。
あのロックドラゴンはこの安全地帯を通って外に出てきたんだよな? 安全地帯に侵入できるのか? どういった原理なんだろうか?
見える範囲のロックイーターを詳細鑑定したが、レベルは最低で10、最高で15だった。
「このダンジョンは村人が入れるようなダンジョンではないな」
「同意です。この分ですと、この先にもっと強いモンスターがいるのでしょうね」
常識からいえば、アンネリーセが言うようにもっと強いモンスターがこの先にいる。
レベル10のロックイーターだけでも初心者では生き延びられないが、もっと強いモンスターがいると余計に危険だ。
横道へと進む。3メートルの幅しかないから、できれば戦いたくない。道幅を気にしながら戦うのは、さすがに厳しい。
出入口から50メートルほど離れたら、ロックイーターが襲ってきた。崖下から顔だけ出して、いきなり石化ブレスを吐きやがった。重騎士のアバトが危なく受けるところだったが、俺がアイテムボックスホイホイで回収した。
「申しわけありません」
「石化ブレスは厄介だ。受けないに越したことはない」
「はっ! 以後気をつけます!」
石化されても解除はできるけど、受けないほうがいいに決まっている。命がいくつあっても足りないからな。
崖から道へ上ってきたロックイーターに、拾った石を投げる。
頭部を貫通した石は崖の下へと飛んでいくが、ロックイーターは砂のように崩れて消えていった。
「閣下。ロックイーターのドロップアイテムが落ちていきます」
宝石のような緑色の小さな石が崖の下へ落ちていく。エメラルドかと思ったが、詳細鑑定して驚いた。
「あれ、魔法が封印された魔法石だ」
落下していった魔法石に、皆の視線が集中する。もう見えないけどね。
「そんなアイテムがあるなんて聞いたことないのですが?」
アンネリーセの言葉に、皆が頷く。
「情報通のダイゴウも知らないのか?」
「とんと存じませぬ」
詳細鑑定によれば、この魔法石自体を砕くことで、ウィンドという魔法を一時間だけ使えるというものだ。
もちろん、魔力を消費するので、魔力が少ない人だとその恩恵は少なくなる。
また加工して杖などの宝飾にすることで、同じ属性の魔法の威力を上げることができるらしい。つまり、マジックアイテムだな。
扱いに困るものが出てきたな、というのが、正直な気持ちだ。
ただ、ニーズはありそうなので、お金にはなりそうだ。
10メートル進んだらロックイーターが出て、また10メートル進んでは出てくる。これ、嫌がらせだろ。
「ロックイーター自体はあまり強くないですが、こう頻繁に出てこられては鬱陶しいですね」
「ああ。これじゃあ、誰かが石化ブレスを受けそうだな」
俺たちの後ろを歩いている他の小隊の戦闘回数も多い。50メートルも離れてないのに、次から次へと襲われている。それだけこの周辺のロックイーターの数が多いということだ。
ダンジョンの外にモンスターを放出するくらいだから、モンスターの密度が濃いのだと思うが、もしかしたらこういった嫌がらせのような配置が基本なのかもしれない。
まったく面倒なことだ。
「閣下、あれを!」
俺がダンジョンのことを考えていたら、ひと際大きなロックイーターが現れた。垂直の崖を走って、真っすぐ俺たちに向かってくる。
「グレート・ロックイーター。レベル18」
出入り口からまだ数百メートルだぞ。本当に嫌がらせだな。
グレート・ロックイーターはロックイーターの上位種で、体長が倍の4メートルもある。足も4本から6本になっているから、普通のロックイーターと見間違えることはないだろう。
「消えなさい!」
アンネリーセが放った細い水が、グレート・ロックイーターを貫いた。
消え去ったグレート・ロックイーターが残したのは、ロックイーターよりやや大きな魔法石だ。
魔法石は大きさと純度(透明度)で使える魔法の位階が違う。大きいほど、より強力な魔法が内包されているのだ。
そして、色は属性を表している。
ここまでのロックイーターからドロップした魔法石は、基本4属性の火(赤)、水(青)、風(緑)、土(黄)がドロップしている。
どれもグレート・ロックイーターからドロップした魔法石より小さい。
やっぱり上位種のほうがいいものを落とすようだ。
▽▽▽ Side ??? ▽▽▽
パルトンの愚か者が隠居したか。嫡子ウラジミールも廃嫡され、王家の息のかかった者が当主に就いた。
愚か者がどうなろうと構わぬが、王家の力が増すのは気に入らぬ。
フットシックルとかいったか。成り上がり者がよくもやってくれたわ。
王家に取り入って子爵になったガルドランドの手の者だ。ガルドランドは事あるごとに私の邪魔をする。いつか雌雄を決してやろうと思うが、奴の領地は遠すぎる。何か隙を見つけようと思うておるが、なかなか見せぬわ。
ガルドランドを潰すのは難しいが、フットシックルを放置はせぬ。まずはフットシックルを経済的に締め上げてやろう。
ワシは愚か者のパルトンとは違うのだ。増長した成り上がり者を確実に潰してくれるわ。
フットシックルが手に入れた領地で生産される小麦は、あの辺りの他の領地が消費している。まずはそれを止める。自領の小麦が売れず、フットシックルは困るであろう。
あとは塩か。あそこの塩の生産量は、王国全体から見れば大した量ではない。そのほとんどが西部で消費されるのだ。それを他の塩に置き換えれば、財政がガタガタになるであろう。
数年もすれば、いや、来年中に泣きついてくるであろう。そこで小麦と塩の権利を取り上げればよい。
ふん。我がバレッタ系氏族発祥の地を好きにはさせぬぞ。
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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