105_トーイの必殺技
あと2日で1巻の発売日!
ここで買わなくて、いつかうのか? 今でしょ!(パクリ)
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
■■■■■■■■■■
105_トーイの必殺技
■■■■■■■■■■
9階層の探索も大詰めだ。
ミスリルゴーレムの次はヒヒイロカネゴーレムが出てきて、そのあとはゴルモディアゴーレムが出てきた。
ゴルモディアというのは黒い金属だ。以前、バッカス子爵が俺からそれを受け取って剣を造ってくれている。その剣はできたのだろうか? まだ連絡はない。持ち逃げされたか?
10階層を踏破したら、バッカス子爵に会いに行かないとな。
とりあえず、9階層のボス部屋にやっと到達した。
バースのスキル・移動ルートを使っても、山あり谷あり湖ありの道を進んだ9階層だった。広すぎなんだよ、この9階層は。
9階層のボス部屋の主は……オリハルコンゴーレムだった。レベルはなんと73。
この9階層はエリアが広いだけではなく、レベルの幅も広い。下は47から上は70超え。それはないだろう、と俺でも思うぞ。
オリハルコンゴーレムの体高は10メートル。体は虹色に光っている。
ここまで派手なカラーだと、存在感はかなりのものだ。
「下は床か。穴は無理かな」
「こういう床は魔法で穴を開けられないです。申しわけございません」
「いや、アンネリーセが謝る必要はないよ。そんなに気にするな」
穴が無理なら、他のことを考えればいい。
現在の俺たちのレベルを確認する。
・ガンダルバン 剛腕騎士 レベル69
・バース 冒険者 レベル67
・ジョジョク ソードマスター レベル69
・リン 槍聖 レベル69
・ソリディア ネクロマンサー レベル68
・ロザリナ バトルマスター レベル69
・アンネリーセ 愛の賢者 レベル69
そして俺のジョブは、英雄剣王がレベル67、転生勇者がレベル67、暗殺者がレベル65、エンチャンターがレベル63。あとたまに使う聖赦官のレベルが12になっている。
「オリハルコンゴーレムは硬く弱点もない。あとスキル・再生があってHPを回復し続けるし、他にも火炎、黒炎、光炎という炎系の攻撃がある」
これまでのゴーレムに比べると、異次元の強さだろう。
「甘く見ていいモンスターではない。だからといって、怖気づく必要もない。俺たちの力を発揮すれば、必ず勝てる相手だ。さあ、油断せずにいつものように戦おう!」
「「「応!」」」
そう、油断さえしなければ勝てるはずだ。
英雄剣王のヒロイック・スラッシュで開戦!
現在のヒロイック・スラッシュの熟練度は高だ。
これでHPの上限が一割五分になる。もう、反則以外の何物でもないな、このスキル。
オリハルコンゴーレムの蹴りを躱したのと同時に、アンネリーセのサンダーが放たれる。
金属だから雷を通すと思ったが、なんとサンダーが弾かれた。弾かれたサンダーが危うく俺に当たりそうになる。避けたが、当たっていたら麻痺くらいはあったかも。
「すみません!」
「大丈夫だ」
もしかしたら雷だけ反射するという可能性がないとは言えない。
しかし魔法反射のスキルなんてなかったのに、反射するとかウゼー。
おい、詳細鑑定さんよ。真面目に仕事しようぜ! もっと俺に情報をくれよ!
そんな俺の想いが通じたのか、ピコンッとオリハルコンゴーレムの情報が表示される。
それによれば、オリハルコンは魔法を反射する性質を持っている。物質の特性だから、スキルとして表示されなかったようだ。
てか、やればできる子なんだから、最初からやろうよー。
俺が詳細鑑定を褒めていると、ガンダルバンのアンガーロックでターゲット固定した。
「こいつに魔法は効かない。アンネリーセは援護に徹してくれ」
「分かりました!」
オリハルコンゴーレムが両手を上げる。
胸の中央にある丸にWのエンブレムから火炎放射のように火が放たれた。
「ぐぬぬぬっ」
ガンダルバンが盾でその火炎を受ける。盾で防いでいるが、その熱はガンダルバンの体を焼く強烈な火炎放射だ。
「舐めるなぁぁぁぁぁぁっ」
気合いで火炎を受け止め、スキル・HP回復を発動。それでも足りないから、アンネリーセが回復を補助する。
オリハルコンゴーレムを囲んで殴るのは、ロザリナ、ジョジョク、リン、俺。
通常の攻撃はさすがにほとんどダメージを与えられない。だからスキルをバンバン発動させている。
バースの魔毒の弓から放たれる矢はまったく効果はない。ゴーレムに毒は効きにくいが、オリハルコンゴーレムともなると全く意に介さないようだ。
ソリディアの召喚した7体のリッチ。それを合成したスーパーリッチっぽいのがオリハルコンゴーレムのHPを吸い取っていく。俺たちのような人間なら、三十秒から一分でHPがゼロになってしまうほどの攻撃だが、オリハルコンゴーレムのHPは異常なほど高く減りは少ない。
これで最大HPが一割五分になっているんだぜ、どれだけ硬くてHPが多いんだよ。まったく……。
俺も本気出さないといけないかな。
「皆、引け!」
俺の指示で全員がオリハルコンゴーレムから距離を取る。
オリハルコンゴーレムが光炎の予備動作に入った。
「撃たせるかよっ!」
メインジョブの英雄剣王のスキル・剣王覇気を発動。レベル50になった際に覚えたスキルだが、今の熟練度は高になっている。
熟練度が高の剣王覇気は、10秒間だけATK値を8倍に上昇させるものだが、消費MPが250ポイントとめちゃくちゃ多い。
サブジョブにセットしてある暗殺者のスキル・分身を発動。これは暗殺者のレベルが50になった際に覚えたスキルで、こちらも現在の熟練度は高。
実体を持つ俺の分身が10人現れるが、これもMP消費が激しいスキルだ。
全員が隠密を発動。さらに急所突きも発動させてオリハルコンゴーレムを攻撃すると……。
全員がATK値8倍のまま急所突きの効果でダメージが5倍になる。しかも本体の俺を合わせて11人の攻撃。
「お前の血は何色だっ!」×11
ゴーレムに血はないが、つい言ってみたくなった。
1人目がオリハルコンゴーレムに襲いかかる。
HPがグングン減っていく。さらに2人目の攻撃! ここでオリハルコンゴーレムのHPはゼロを示した。
せっかくなので全員の攻撃が終わるまで続ける。
オーバーキル? だから何?
頭部を破壊。左腕部を破壊。右腕部を破壊。左脚部を破壊。右脚部を破壊。残りは胴体のみ。反撃はない。HPがゼロなのだから、反撃があったら常識がなさすぎると毒づくところだ。
最後は本体の俺! 剥き出しになったゴーレムの核に、ズサッと魔剣サルマンを突き立てる。
攻撃を終えて分身が解除され、10体の分体が俺に戻ってくる。同時に10人分の攻撃の余韻が手に残る。
オリハルコンゴーレムはわずか3秒かそこらで破壊尽くされ、無残な残骸となった。
ATK値8倍だけでも反則だが、そこから生まれたダメージが5倍になる。ステータスポイントをSTRに全フリしてなくても、オリハルコンゴーレムに大ダメージを与えた。
しかも11人分の攻撃だ。最大HPが一割五分になってなくても、オリハルコンゴーレムのHPを削り切るだけのダメージを与えることができるかもしれない攻撃だ。
「それは反則ではないですか……」
ガンダルバンの呆れた声と共に、オリハルコンゴーレムが地面に倒れて消え去った。
「怪我をするよりは反則でもなんでも使うさ」
俺が出し惜しみして誰かが怪我をしたり死んだりしたら、寝覚めが悪いだろ。
それに必殺技っぽくっていいだろ、これ。
とはいえ、デメリットも結構なものだけどな。これをやると、MPを多く消費するんだよ。もう俺のMPはすっからかんだ。一気にMPを失ったことで、ちょっと立ち眩みがする。




