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泣かない魔女の絢爛な葬送  作者: 模範的市民
幕間:魂の遊び場
55/76

55.What the scar left

シャプワは患者の様子見を終えると早くも、あの重傷者たちの治療を始めるための人手を求めて各室を早歩きで回り、声掛けをしていた。


「パパラチアさん」

「あら、ようこそ聖女様。到着なされたのですね」


 まずシャプワが向かったのは扶翼室室長パパラチア・アイギス・エレオノーラの元であった。室長13人は「エキスパルテ」と呼ばれ、全員が端倪すべからざる頭脳と才気、そしてそれに見合った経験を兼ね備えている。

 その象徴として、彼ら彼女らは聖樹の聖霊を模した游魂院の紋章が、背面に金糸で刺繍された、法衣と外套を合わせたような特別服を支給されている。特別服は特殊な繊維で構成された魔導具の一種であり、クリーニングしたての白衣のような清潔さを常に保つ滅菌効果を持った高級品だ。その為、現場でも着用する事ができる優れものである。

 尤も、必要な治療具の用意にかかるであろう実費を計算するために担当室へと戻った財務室室長グリフィン・アインハルト・ネメシスだけは、「書類仕事には向かない」と断言し、法衣の部分を分解して装飾のような外套だけを軽く纏っているが。


「数日間、魔癒院がヘトヘトになりながら延命を続けてくれたおかげで何とか間に合いました。それで……今から処置するのですが、扶翼室から2人くらい貸してくれません?」

「やはり優秀な者は大方出払っておりまして……ちなみに、何か条件はありますの?」


 パパラチアは白髪混じりの髪を靡かせながら、適当な人材が残っていないかを見回すと、肩を竦めてシャプワが求める条件を尋ねた。彼女は実務の際は髪をお団子に纏め、個室ではこのように髪を下ろしている。


 口調は上品で、おっとりとした垂れ目は人好きしやすい印象だ。しかし現場では貫禄のある上司として、部下から畏敬の念を抱かれる老練家という一面も持っていることから、彼女は暖火と猛火を併せ持つ人物という評価を得ている。


 エキスパルテの中でも老齢な51歳とは思えない若々しさだが、本人は「若く見える」ということをあまり褒め言葉として捉えていないらしい。

 それでも歳下であるはずの聖女に礼を失せぬ毅然とした態度は、やはり精悍さと知性と落ち着きを帯びていた。

 そんな彼女の前では、流石のシャプワも巫山戯た態度は取れず、いつもより数段丁寧な振る舞いを見せる。


「仕事自体は簡単だから、虫が大丈夫な子を最優先で」

「ああ……以前それで貸した者は、処置中に気絶しましたわね」

「うんと精神が強い子でお願いしますね。準備が出来たら3号FHE(高等治癒室)前に呼んでください。人が揃い次第始めます」

「いざという時は私が参りますのでご安心ください。2分でかき集めますわ」

「頼りにしてます」


 聖女は強靭な精神力を持った処置の補助要員を借りる打診を済ませると、パパラチアに一礼し退室する。


 彼女はその足で、今度は別棟に置かれている薬室へと向かった。

 ここのエキスパルテはドミニク・デヴィット・ハーロックという男性だ。


 薬室は彼の個室を含め、全体が常に化学的な芳香に包まれており、引火性のものや流出させてはいけないもの、空気に触れると毒性を帯びるものなどを取り扱っているため、衛生上や安全上の理由から、他の室とは離れた場所に置かれている。


「ドミちゃん居る?」

「……シャプワ様。その愛称は違うって何度言えば分かるんですか」


 彼は部屋の隅で棚の整理をしていたところを好ましくない愛称で呼ばれて、迷惑そうにシャプワと向き合った。

 背筋の伸びきらない猫背と左目のモノクルは生活の蓄積を如実に表し、身なりは清潔だというのに、抱え込んでいる空気感からはどこか陰鬱な印象を醸し出す彼こそが、薬室のエキスパルテであるドミニクだ。


 左目とモノクルにかかるほど長い黒髪で、それは血色の悪い白い肌との対比のようになっている。猫背ながらも高身長は隠せておらず、背筋を伸ばせば190はありそうであったが、例えば、彼と夜道ですれ違ったとしても、不気味さ以上に印象に残るものがないような存在感の薄さがある。


「相変わらず暗い部屋で見つけづらい奴ね〜! 発注かけといた患部被覆保護シートとドレッシングは調合済みかしら? あとテープと、非活性の傷喰虫」

「ありますよ……気持ち悪いんでさっさと持ち出して下さい。僕はこういう、目に見えるサイズ感の小生物は好きじゃないんです」

「可愛いじゃん傷喰虫! せっかくアタシが養殖してるんだから悪口言わないの!」


 このように、シャプワは人と状況に合わせて態度を変えるタチだった。相手が自分に敬意を表するのなら礼儀を失わず、相手が自分にまだ子供らしさの影を見ているようなら子供っぽい態度を含ませ、相手がナメたような態度を取るのなら……といった感じだ。

 39歳のドミニクはどうやらまだシャプワを、何処か子供のように見ている節があるため、彼女自身もこのような対応になる。

 勿論、彼女を子供扱いするのは悪いことではない。何故ならシャプワはまだ23の若輩。どれだけ才能があろうと、エキスパルテたちと比較しても積み重ねている年月はまるで違う。

 自分の能力をよく見てくれて、自分の下で働いてくれているだけでも、感謝すべき立場なのだ。幸い游魂院を構成するのは謙虚な知識層が殆どであり、皆が理性的だった。


「うへぇ〜、やっぱすんごい量になったかあ。片方はほぼ全身処置だし、これくらい必要かなぁ……」

「そう言うと思って……力仕事出来る奴は待機させてます」

「おっ、気が効くわね! じゃあしっかり全員滅菌して、冷却剤が溶けないうちに3号FHEの中の低温管理槽に入れといて! 活性化した状態で零したりしたら……大惨事になるわよ」

「それはキツーく言っておきますね」

「よろぴこ」


◆  ◆  ◆


「サ、始めるよ若い衆。心の準備はOK?」

「はい!」

「聖女様の処置を間近で見られるなんて光栄です」


 治癒準備室の中で、魔法により滅菌済の白衣に着替えていた扶翼室の人材2人に、シャプワは声を掛ける。彼女は自分と同年代の者にすら「聖女」と呼ばれることに何となく気恥ずかしさを覚えながら、魚の浮袋を利用して作った薄い手袋をぴったりと装着する。


 扶翼室の若人はそんなシャプワの姿を興味深そうに観察していた。


「(話は聞いてたけど……本当にマスクしないんだ)」


 シャプワは生まれつき治癒性の魔力が強過ぎるあまり、常に病原菌などの極小生物や毒などの有害物質を体に侵入した途端に撃滅する自己防衛機能を有している「滅菌体質」、すなわち聖別の血(ハイリゲン)だ。

 彼女の前では工業廃水すら即座に飲み水と化す。


 病に罹ったり、毒に侵されることは決してない。病室でも感染症に配慮したマスクや手袋は着用する必要がないのだ。それでも彼女が手袋をするのは、単純に「気構え」の意味を込めているためである。


 しかしその体質には代償も存在する。その最たる例は食事だろう。

 滅菌体質は体内の常在菌にも過剰に作用するため、口にしたものの消化を援助する菌すら存在しない彼女の体では、ものを食べるという行為にすらリスクを伴う。

 酵素は殺害しないものの、満足のいくような量を食べることは許されない。


 故に彼女は常に薬剤と栄養剤の経口摂取、あるいは注射によって体を維持しており、愛する人と食事を楽しむことすら出来ない生活を送っている。

 が、そんなことは人に言うことでもない。注射痕は妙な誤解を招きかねないので衣服で誤魔化していた。


「クランケの名前はハートショット・オレアンドと、ラストラリー。カルテには目を通したよね」

「はい。ですがあの記載は……どうすればあんな傷が出来るのでしょう?」

「所見では火傷っぽかったけど……強酸性の薬品か、肉食の菌かな。魔法で人為的に生み出されたモノだろうねー。術者は既に亡くなってるか、意識を失ってるか……何にせよ、ぶり返すことはなさそうだから、心配しないこと! バイ菌相手ならアタシは無敵だし、いざとなったら背中に隠れることを許しましょー!」


 自信満々に言うシャプワも、しかしながらハートショットの傷跡については疑問に思っていた。或いは疑問というより、信じがたいものを見ているかのような心持ちだ。


 まるで表皮一枚だけが広範囲に渡って引き剥がされたような、火傷にも似た不自然な傷跡。数カ所の骨折と、辛うじて残存した皮膚に見られるリヒテンベルク図形。


「(骨折、落雷、皮膚損傷って順番かしらねぇ。折れた骨で内臓が傷付いてたし、複雑骨折した腕を動かして無茶したみたいな変形もあった。よくもまあ生きてるわ。……で、疑問というか、問題なのは、ラストラリーって子の方かしら)」


 対するラストラリーの所見はというと……シャプワは、詳しいことを、他人には報告できていなかった。

 怪我の範囲はハートショットよりも狭いがその分深い。しかし、問題なのはそこではなく、魔法で体内の様子を確認した時に見た、ラストラリーの異形の構造であった。


「(そもそもが内臓逆位だし、形状も奇妙だった。配置から臓器のはたらきは何となく推測出来るけど……それだったら腸が極端に短いし、肺は異様にデカいし、胃に関しては2個あることになっちゃうのよねぇ。何よアレ? 少なくとも、人間の身体じゃないわ)」


 滅多に口を出されない立場のシャプワに強制力のある命令が下ったのも、そこに「必ず助けろ」という脅迫じみた内容が含まれていたのも、必ず何か理由があるとは考えていたが……まさかここまで「いわくつき」の患者だとは想像だにしていなかった。

 しかし、身体を捌いてもいないのに内臓の様子を綿密に把握できる技能は、シャプワ並の魔法使いしか実現できない。この事実を知っているのは彼女だけであるため、彼女は敢えてそのことを表に出さないようにしていた。


「(箝口令敷かれんのはアタシだけで十分よね。んにゃろぉ……これを見越した上で口の固いアタシに命令が出てたとしても……乗っかるしかないのが癪だわぁ……!)」


 そしてもう2つ、ラストラリーの治療には問題が存在した。


 ハートショットほどの大怪我はシャプワ級の回復魔法使いが必要となるが、ラストラリーが負った面積の小さな傷であれば、命さえ失われていなければ游魂院の精鋭たちでも治療出来るはず。

 では何故わざわざ聖女に要請が来たのか……理由の一つ目は、ラストラリーの身体に、極端に回復魔法の効果が薄かったからだ。


 シャプワも初見で、ラストラリーへの回復魔法の「効き目の悪さ」というものを確認したが、確かにあれを並の魔力量で治癒するのは難しいだろう。

 というよりも、印象としては、効きが悪いのではなく魔力を吸い取られていると表現した方がより正確だった。

 延命は游魂院の優秀な魔癒室員にとってそれほど大変な作業ではないはずなのだが、少女のその体質ゆえに、担当となった全員が異常に疲弊していたのだ。


 そして二つ目の問題は、「体を切開してはならない」という条件があったこと。おそらくはラストラリーの体構造を、特定の人物以外に知られないようにする為の条件付けだろう。

 つまり、ラストラリーの「いわく」について知っている人物が、教会内部か貴族の中に存在する。それも、聖女に影響を及ぼせるような上層に。


 シャプワはそれを汲み取り、ラストラリーの秘密を広めない選択をしたのだった。


 しかしそんな条件ゆえに、回復魔法が効きづらいのに、外科的な方法も使えず、聖女の規格外の回復魔法を頼りにするしかない。

 するとやはり必然的に、聖女のみがラストラリーの体の構造を知ることになる。明らかに仕組まれた人選だ。


「準備できました、聖女様」

「ん? ああ、うん。行きますか。急いで魔癒室の負担軽減させてやらないと、過労死が出ちゃうわ。指示は全部アタシが出すから、2人はそれに従う歯車になるように……あと、気はしっかり持ってね」

「はい!」

「承知しました!」


◆  ◆  ◆


 Fortschrittlich Heilung Einheit……高等治癒室と略されるこの部屋では、重篤患者を24時間体制で監視し、専属の「麻酔科」や、治癒の展開まで患者を保たせる為の魔癒室所属の人員が配置され、より高度な魔法的治療、或いは治療後の経過観察を必要とする者が入る、医学室・魔癒室が擁する施設である。


 特に3号FHEは「外科系」であり、重篤な創傷を負った者が対象となるため精神的な負担が大きく、ここに入った患者との対面には相応の覚悟を持って挑まなくてはならない。


 扶翼室の若い2人も当然ながらそのことを理解しており、カルテにもしっかりと目を通し、気を引き締めているつもりだった。


「シーツ外すわね〜」

「ッ……!」


 だがベッドの上に横たわる彼女の状態を実際に見てみると、生温い覚悟は直後に水泡に帰すような光景が広がった。


「熱傷とみなせば、真皮損傷が約89%TBSA。尺骨と橈骨は複雑骨折で、左側第7と第8肋骨も閉鎖骨折。内臓に軽度の損傷。あと雷撃傷。……アタシも最初見た時は死んでるって思ったわ」


 ハートショットは体表の90%近くが、まるで皮膚を剥がされたように薄く削られ、筋肉や神経が剥き出しになっている状態だった。


 常識では90%近い損傷だと生存率は1%未満だと言われている。


 シャプワは部屋にある低温管理槽から「傷喰虫」の箱を取り出すのを手伝うよう、部下たちに指示しながら話を続ける。


「ま、それよりも一番怖いのは、このクランケは助けが来るまで意識を保ってたところかしら」

「は!?」

「報告によると、この人自身による救援要請を受けて騎士団が向かった先で、武器を片手に構えてたらしいわ。それが救助隊であると確認してから、ようやく気を失ったみたい」

「嘘……!」

「そんなまさか……」


 「冗談などではない」とでも言いたげに、シャプワは肩を竦めた。

 それを受けた2人は、再びハートショットに視線を向ける。ここまで神経が剥き出しになっているのだ。空気に触れ、微風や僅かな振動を受けるだけでも気を失いそうなほどの激痛が走るはず。

 これで意識を保つなど、常軌を逸した精神力である。


「気を失ったら防御策の魔法が消えるからでしょうね。タネは断言できないけれど、おそらくこのクランケは、魔法で侵食を皮膚だけに留めておくことに成功した。その防御策が無ければ、とっくに内臓まで食われて終わりだったんでしょう」


 ここまで言い終えると、シャプワは医療用テープを2人に手渡した。


 聖女の予想は半分正解だ。


 実はハートショットは、気絶しても異空間魔法を行使できる。そう訓練されている。

 しかしそれは簡易的に収納している「物質」や「魔法」にのみ適用されるのだ。自身の内臓などといった生体的なものを収納し続けるのは、重い制限がある。


「損傷箇所の輪郭を囲うようにカバーして」

「……は、はい!」


 驚愕の連続に呆然としていた扶翼室の2人であったが、シャプワの指示で我に返ったように、広すぎる損傷箇所をテーピングする作業に入った。

 その間シャプワは傷喰虫の箱を開封すると、中からは円柱型の半透明な小さい容器とハケを取り出す。


 カバーが終わると、今度はその容器とハケが手渡された。


「あ、あの……室長からは『傷喰虫』と聞いたのですが、そもそも傷喰虫とは一体……?」

「分かりやすく言うとね、傷喰虫ってのはアタシが養殖してる(うじ)のことよ。ハエの幼虫」

「え……」

「戦地では蛆虫が湧いた身体の方が治療が早かったらしいわ。蛆は壊死した部分を食べてくれるのよ。それをアタシが改良して、医療用に養殖したのが傷喰虫」


 シャプワが容器を開けると、中には透明なローション質の液体が入っていた。


「今は液に溶け込んでるけど、魔力で成長を促進させることが出来るわ。治癒対象が魔法使いなら、その魔力を食べて成長する。アナタたちにやってもらいたいのは虫の移し替えと、ドレッシングの接着、あと虫の脱走を防ぐためのテーピングね。この子たちなら数時間もすれば壊疽を全部食べちゃうから、その時に除去も手伝ってね♡」

「除去ってまさか……!」

「虫、大丈夫なんでしょ?」


 笑顔のシャプワとは対照的に、扶翼室2人の顔色がみるみる悪くなっていく。


 ハートショットの傷口は腐食するかのように壊死を始めている。あまりにも早いが、これはビナーの「菌」の影響だ。

 つまりこの処置は、ほぼ全身に渡る損傷部分に特殊な蛆虫を湧かせて、敗血症や切断のリスクを減衰させる作業である。


 回復魔法とて万能ではない。結局は自然治癒力を高めるだけであり、人間が一生に出来る細胞分裂の回数が決まっている以上、無闇に連発することは寿命を縮めることと同義だ。

 他にも様々な縛り故に、あくまでも回復魔法は緊急手段であり、それ以前の処置は「医学」の分野で対応しなくてはならない。


「傷喰虫を取り除いたら、迅速に皮膚組織の回復を始めるわ。ここからはアタシ一人で十分ね」


 今回の場合、壊疽の除去以外は急を要するが、ハートショットの怪我の範囲が余りにも広過ぎるため治癒には時間がかかる。

 壊死した部分を取り除いたとしても、そんな時間をかけているうちに傷はまた壊死を始め、感染症によって彼女の命は失われるだろう。


 聖女が駆り出されたのは壊死の除去直後に、即座に皮膚を再生出来るほどの魔力を持っているからだ。


「壊疽を除去する間、ラストラリーさんの処置を進めておくけど……傷喰虫のデメリットは、虫たちの分泌物でかなり匂うところなのよ。ってことで、ゲロっちゃわないようにね?」

「うわぁ」

「ファイト! 何事も『慣れ』よ! 大丈夫、一般人が抑鬱状態になる程度の匂いとビジュアルだから!」


 虫の時点で相当げんなりしているところに追い討ちをかけるようなシャプワの態度に、2人は更に後退りする。

 しかしシャプワはその笑顔の裏で、ラストラリーへの処置について考えていた。


「(あの異形の体構造……私の回復魔法で何とかなるかしらねぇ……?)」

『聖女』

回復魔法は基本木属性だが、中には無属性の特殊回復魔法も存在する。

自然治癒力を爆発的に高め、治癒、もしくは傷がこれ以上悪化しないよう延命をする際に用いられる。後者の使い方が一般的であり、致命的な創傷は回復魔法だけで救えない場合が多い。


そんな既存の常識を打ち破る「回復魔法」の使い手が聖女であり、代々シャプワの家系の次女が務めることとなっている。


彼女の魔法の最も驚くべき点は「後遺症の無さ」だ。回復魔法は患者の生命力に依るところが大きく、大きな怪我を魔法で治癒した場合、患者は一生、慢性的な疲労感などの後遺症と向き合わなければならない場合もある。

しかし聖女の特殊な無属性回復魔法は患者の生命力に依る部分が非常に少ない。例えば、生命力が極端に不足した手遅れの相手にも使えるのだ。


ただ、医者というよりは聖職者としての側面が強く、游魂院にはなかなか訪問できない。彼女もまた敬虔な信徒である。

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