2話 善行の行方
読んで頂きありがとうございます。
「メ、メ、女神様キター!
女神様!リーヌ様!握手して下さい。」
女神様降臨に小躍りする男。
男の趣味は読書であり、異世界転生は王道中の王道である。
知らないはずがない。
男のテンションに少し引き気味のリーヌ様。
「え、えぇ、大丈夫よ。
宜しくお願いします。」
と、手を差し出すリーヌ。
先程成り行きでハグをしていたので特に抵抗無く、握手を交わす二人。
「それじゃあ始めますね。」
徐に胸元をまさぐるリーヌ様。
刺激強めです!
ポンッと出したのは1冊の茶色い表紙の本。
本を開き目を通し始めながらリーヌは問い掛ける。
「分かってはいるけど、確認ね!
違ってたらちゃんと申告してね。」
「はい」
「え~では、
貴方の名前は瀬田 一正
年齢は25才
地球の時間で1900年0月0日生まれ
瀬田家の長男で跡取りね。
父方の祖父が瀬田 一で一代で瀬田グループを世界規模に大きくした資産家ね。
ここまでで間違いは無いかしら?」
「はい。間違い無いです!」
「ありがとう。続けるわね。
そんな一正君ですが、現在は祖父が病気にて他界し、父が現在社長に。
一正君は社会勉強と基盤作りを兼ねてグループの末端会社へ身分を隠しての採用。
現場の実地訓練中であるのよね?」
「はい。」
「うん。
で、2000年0月0日の朝、轢かれそうになっている女の子を助けて即死。
←イマココ
ってヤツね」
「はい。」
なんか表現に俗っぽさを感じ、苦笑いの一正。
「はい、ありがとうね。
いやぁ~ごめんね。
今時天界もこういうの厳しくてねぇ~
誤認転生だぁ、とか、誤認輪廻だぁ、とかね
本人確認しっかりのお役所様みたいなもんなのよぉ」
中級神も大変そうである。
「ゴホンッ!
では、本人確認終了ね!」
パタン!と本を閉じ、豊かな書庫(谷間)に本を戻すリーヌ。
眼福眼福。
「ここまでで質問あるかしら?」
少し考えて質問する一正。
「はい!
何故、死んでしまった私はここに居るのでしょうか?」
「良い質問ね。
一正君、貴方は人として良い行動をしていたわ。
所謂善行という物ね。
本来、普通の人生であれば、人一人の人生での善行では、次の人生が少し良くなったり、何かしらの才能が秘められたりする程度なのよ。
ただ、一正君の場合、お祖父さんの善行の繰り越しがあるのよ。
お祖父さんはね、生前にたくさんの善行を重ねたわ!
この天界の輪廻ご案内時の記録の中でもトップクラスよ♪」
「じぃちゃんが評価されたのは嬉しいです。
本当は曾孫の顔を見せてやりたかったんですよ。」
「えぇ、お祖父さんもお孫さんの成長を楽しみにしていたのでしょうね。
そんなお祖父さんからのプレゼントで、今、貴方はここに居るのよ。」
「プレゼント、ですか?」
「お祖父さんは貴方に何も残せなかった。
それが心残りのようでね。
沢山の善行を貯めたお祖父さんと面談した際にお願いされたのよ。
ワシの善行のストックを孫の一正の輪廻時に追加しておくれ、と。
優良な人生を謳歌した一さんのお願いは承認され、一般の魂として輪廻転生しているわ。
勿論、記憶も無く、新しい人間としてね!」
「そっか。じぃちゃん、ありがとう」
じぃちゃんへの感謝の黙祷を捧げる一正。
成人式から先、就職や結婚、曾孫等の幸せを見せる事は出来なかったが、想いはきっと届いているであろう。
「それでは一正君。
この後の事を説明するわね!」
誤字、脱字のご報告、お待ちしております。
はとわ、の使い方が怪しく感じる今日この頃です。
アニメ
魔女の旅々
にはまっております。
昔あった、「オオカミと香辛料」だったかな?
あれと似たイメージな気がします。
旅には良いことも悪いことも。
山あり谷あり、がメリハリのバランスなのでしょうか?