ドラゴンとの出会い1
やっとヒロイン登場!
俺は空を飛んでいた。正確に言うと口に挟まれてどこかへ移動中である。なぜこの状況になったのか....
つい先程、クロスが俺の名前を叫んでいるのを空から見ていた時から3分ほどが経過しただろう。今俺はドラゴンの口に挟まれて移動中である。
「はぁ...なんでこうなった」
そう呟くと、何故か俺を口に挟んで移動中のドラゴンへと目を向ける。ドラゴンは、何かずっと欲しかったものを手に入れたような目をしていた。
まず、なぜこのドラゴンに運ばれているかと言われれば、敵意がないからだ。最初ドラゴンがこちらに向かってきた時、あの時俺の頭の中には警笛が鳴り響いた。理由は、俺のスキルの中の一つで危険察知というものがある。危険察知は敵意を向けている者や魔法が発動する時の魔力などを察知して、頭の中に警笛が響くような感じで伝えてくれるのだ。だから最初のドラゴン襲撃時は、ドラゴンがこちらに敵意があったので気づくことが出来た。だがドラゴンの腹を蹴飛ばして、空中で回し蹴りを行ったあと、ドラゴンがこちらに向かってきていて、俺をクロスの前からかっさらって言ったというわけだ。そう、その時ドラゴンには敵意というものがなかった。しかも俺はあの時、ドラゴンが気絶するぐらいの力で蹴ったため油断していた。それで今の状況に至るわけだ。
すると、翼を大きく羽ばたかせていたドラゴンが止まった。
そこはクロスたちとの野外実習を行っていた場所よりさらに森の奥その森の中の山の山頂付近といえばわかるだろうか。
そこにドラゴンが降りて、やっと俺をその口から離す。
そして俺はドラゴンに向き直る。
「なぁ、どういうつもりだ?俺をこんな奥まで連れてきて、今野外実習中だったんだが」
そうドラゴンに問うと、ドラゴンはこちらに向き直り、目を合わせてくる。そして
「単刀直入にいいます。私と番になってもらえませんか?」
「ん???」
まてまて、こいつ今なんて言った?番?番って人間で言う結婚ってことだよな?なんでだ?そう俺が頭の中で考えていると、目の前のドラゴン、私と言っていたから彼女と言った方がいいだろう。彼女が喋りかけてくる。
「私とつがいになって欲しいのです!お願いします!」
そう、懇願してくる彼女、に対して疑問がぬぐえない俺は質問する。
「なんで俺なんだ?出会ってまだ5分ぐらいしか経っていないぞ?」
そう、彼女とあってから5分程度しか経っていないのだ。なのにこんなに結婚をお願いしてくるというのは、おかしいだろう、そう思っている俺を見て彼女は
「それはですね、竜族は強さに心惹かれるんです。強い異性と子をなし、次の世代に繋ぐそれが竜族です。」
彼女は自分のことを竜族だと言った。竜族はドラゴンと違い意思がしっかりあり、人型になれるものの一族のことを総称してそう呼ぶ。逆にドラゴンは魔物に近い存在で知性が低くまれに会話のできる者もいるそうだか殆どは自分の欲求を満たすために行動する生物である。
「竜族といっていたな、なら人型にもなれるんじゃないのか?」
そう言うと目の前の竜族の彼女から光が溢れる。すると目の前の巨体は、目を開くとなくなっており目の前には、俺より5センチほど小さい体に銀髪、その銀色の美しい髪の毛が腰あたりぐらいまで伸びている美少女が居た
「この姿では初めまして、私は竜族のリア=リューグレアと言います。」
「お、おう...」
「それで...そのぉ....お返事を伺ってもいいですか?」
そう言ってこちらをこちらに期待を含んだ眼差しを向けてくる。
「すまない、番にはなれない。」
「な!何故ですか!私自分で言いますけど、結構美少女だと思うんですけど!」
そう言って俺の胸ぐらを掴んで俺の体をグラグラと揺らす。
「ちょっと、激しっ!」
「はっ!」
そう俺が言うと慌てて胸ぐらから手を離すリア。
「す、すいません」
「理由を言ってもいいか?」
そう聞くと頷くリア。
「一番の理由は俺が君のことをあまり知らない事だ。知らない子と番、つまり結婚はできない。竜族は強さに引かれるみたいだが人間はそうじゃないんだ。それともうひとつあるんだが、俺は子供目当てに結婚するというのは嫌なんだ。だから結婚はできない。すまないな。」
「う、うぅ」
そう言ってうずくまっているリア。と、次の瞬間ふらっと立ち上がりこちらに寄ってくる。そしてガバッとこちらに抱きついてきた。その衝撃で体制を崩して俺はその場にリアと一緒に倒れる。
「ちょっと!どうした!?」
俺が声を張り上げる。そう言ってリアを見るとリアは笑顔を見せていた。
「それならば、私を知ってもらえればあなたは番になってくれるということですね?」
そう言って笑顔を崩さないリア。
「ちょっと、まってくれ!それはそうだけどじゃあ次の世代に繋ぐとかはどうなるんだ!?」
「いえ、子供は正直どうでもいいって言うか.....私を守ってくれるような異性を探してまして、里には私より強い竜族はいませんでしたから。」
「え?あ、そゆこと?」
「はい。ですからこれから友に過ごして行けばいいということです。私があなたを惚れさせればいいと言うことです。その結果子供が出来ればそれはそれで.....」
と、その場でモジモジしているリア、そしてもう一度こちらを向いて...
「これからよろしくお願いしますね?」
そう言ってリアは微笑んだ。
次回はお互いの自己紹介があります。