スタンピード4
sideリア
ギルがオークロードキングを倒し終わった頃リアはというと....
「はぁ.....退屈....」
魔物をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返しているリアは他から見ても明らかに退屈そうだった。「なんだあの子!」「すげぇ!強すぎる...」「強いが...なんであんなに退屈そうなんだ?」リアの近くにいた冒険者や衛兵たちがリアの戦いを見てそう言った。だがそんなことには全く興味が無いようなリアはちぎって投げを繰り返している。
「んーそろそろいいかな」
リアは魔物と戦っている時に手のひらに光を貯め続けて光球をつくっていた。その光球からは凄まじい熱量が感じられた。するとリアは目の前に広がる無数の魔物に向けてスキルの名前を言う
「極光熱線」
リアがスキルの名前を言うと手の中にあった光球から光が膨張して、リアはその光球を放つ。その光球から魔物に向けて熱線を発射する。魔物に熱戦が当たるとバターのように溶けて姿が無くなる。その熱線を魔物の大群の端から端まで浴びせる。
「ふぅ、これで終わりっと」
さっきまで目の前にいた魔物の大群はもうおらず、残りは後ろで他の冒険者たちが戦っている魔物のみとなった。一部始終を見ていた冒険者や衛兵は何が起きたかわからないように口をあんぐり開けて棒立ちになっていた。と、そこに足音が近づいてくる。
sideギル
気絶したカノンを背負って、俺は街へと歩き出した。街へ行く途中に出会った魔物を倒しているうちに森から抜け出す。森を抜けるといきなり光の熱線が俺の目の前をかすって通っていった。
「あぶなっ!髪の毛数本溶けたな....」
自分の額に手を置いて前髪がまだあることを確認すると安堵の息を漏らす。すると街の方に先程の熱線を出した張本人が見える。
「リア、おつかれ。そしてめちゃくちゃ危なかったぞ」
「あ!ギルおかえり!危なかったって?オークロードキングに苦戦したの?」
「違うリアの熱戦の方だ」
オークロードキングなんかに苦戦なんてしない、それよりもさっきの熱戦の方が何倍もやばかった。あの熱線はリアのスキルにあった極光熱線というものだろう。凄まじい威力だ。
「あ、ごめんねギルがそんなに早く帰ってくると思わなかったから。それよりだいじょぶなの?」
リアが俺の背中のカノンを指をさしている。カノンは予想外の2体のオークロードキングとの戦闘で疲れ果てていた。
「眠っているだけだ。オークロードキングが2体いてな、カノンは頑張ってはいたが2体を相手にするのは厳しかったんだろう」
「2体?オークロードキングは普通一体で行動するんだけど...」
「そうなのか?」
「うん、キングって名前に付いてるしオークの中の最上種だから元々個体数が少ないし、下級種のオークたちを従えるらしいからそのオークロードキングが2体いるのはおかしいよ」
オークロードキングは下級のものを従えるらしく頂点たるオークロードキングが2体いるのはおかしいらしい。それでもあの場所にはオークロードキングが確かに2体いた。
「それじゃあ、なんであそこにはオークロードキングが2体もいたんだ?」
「可能性としてあるのは、オークロードが種族進化した場合と魔族が裏にいて何かしてたとかしかないかな」
「魔族か....」
オークロードが種族進化したというのはわかる。以前リアに種族進化というのは憧れる存在になるようなもの聞いているから、オークロードがオークロードキングに憧れ種族進化したのならあの場所にオークロードキングが2体いでもおかしくはない。だがそんな都合のいい話あるだろうか?
「多分魔族の方だな。偶然にしてもオークロードが種族進化してオークロードキングになるのは偶然がすぎるからな、魔族が何らかの手を使ってオークロードキングを操っていたとかの方が可能性はある」
「でもなんでそんなことをする必要があるの?」
リアが当たり前の疑問を問いかけてくる。魔族がスタンピードに介入することによるメリットがあるのか
「必要ならある。このリベルの街は森を挟んで王都の近くにある街だ。ここを魔族が責め落とせば王都に進行する時に奇襲が楽になるはずだ。森を挟んでいるから万が一責められても籠城する隙もあるし魔族側から攻めるとしても森の中に潜伏して奇襲することが出来るはずだ何せ魔族の方が身体能力の基礎値が上だからな。」
魔族がこのリベルの街を狙っていることは確実だろう。
俺がいなければオークロードキング2体で元SSランク冒険者のカノンを殺せていただろうから、もし街が落とせなくても街の最高戦力をやれるのなら結果は上々というものだろう。
「さてどうするかだな」
「どうするって何を?」
俺が考え込んでいるとリアが顔を覗いてくる。
「あぁ、魔族のことなんだがオークロードキングが倒されたことはもちろん知っているだろうし、倒したのが俺というのも知っているはずだ。それを知っている魔族はどうする?答えは簡単、魔族の幹部辺りに報告を入れるはずだ」
「報告を入れられるとなにかまずいの?」
「不味いというか.....」
ありそうなことは2つ。まずは魔族の方に味方しろなどの勧誘、もうひとつが今回の襲撃を企てた魔族よりも上の幹部クラスの魔族が俺たちを殺しにやってくるということだ。そのことをリアに説明すると
「ギルなら魔族の幹部にでも勝てるんじゃない?」
「分からないというのが現状だな。魔族の、それも幹部となるとどれだけのレベルになっているかも分からない。強力なスキルもいくつも持っているだろうし今の俺では完全に勝てるとまでは言えないな」
「じゃあ、今は魔族から一旦隠れないとだね」
「まぁそうだな、今はすぐにでもリベルの街をでることが最善だろうな」
早く行動しないと相手側から何をしてくるか分からないからさっさと移動してしまうのが良いだろう。そう思い背中のカノンを起こす。スタンピードのことを丸投げするために。
「カノン起きてくれ話すことがある」
「んぅ」
俺の背中で寝ていたカノンが俺の声を聞いて目を覚ます。
「んぅ、え!?なんで僕が君の背中に!?」
目が覚めて自分が背負われていることに気がついて慌てているカノンを落ち着かせて先程までリアと話していたことをカノンに話した。
「つまり君たちは2人でこのスタンピードをほとんど鎮めてしかもそれを全て僕の功績にして逃げると」
「まぁだいたいそういう事だな」
俺がカノンに話したことはこのまま帰ると宴会などになり退散することが出来なくなりそうなのでここでもうすぐに退散して後の処理や功績はカノンに丸投げという、カノンにとってはとても迷惑でもありいい事でもある。
「僕としては街に残って色々話をしてもらいたいとこなんだけどそういう訳にも行かなそうだからね、それに命を救ってもらっているからね。できるだけの恩返しをしないとギルドマスターとして失格だよ。だからしっかりと今度恩返しをさせてね。このくらいじゃ僕の命には釣り合わないよ」
「わかった。また今度落ち着いたら恩返しされに戻ってくるさ」
「約束だよ?」
「あぁ、約束だ」
俺たちはそう言って指切りを交わす。
「それじゃ、俺たちはここらで退散するわ、カノンも元気でな」
「うん」
俺は別れの挨拶を済ませて街とは逆方向に進む。カノンはカノンを待っているであろう街の方に歩き出す。
「次はどうするの?」
リアが次の俺たちの行先を聞いてくる。
「そうだな次は.....世界樹のある街に....アルヴに行くか」
俺達は次の行き先を決めて歩き出した。
リアもギルと同じぐらい強そうですね。魔物をちぎっては投げている可愛い少女凄いですね。
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そして高銀が送れてすみませんでした。




