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聖夜の傷
ぼくのまえにある道は
あかるい名前の獣の足跡
さよならだけをぼくの気持ちに
ふかく濃い傷、として残した
人類としての
こころが欲しい
ただ軽くない遠い声だが
欲しいものは欲しいといえる
かんたんな、歌を
この目に焼きつけたいんだ
酔っ払って
たにんの傷ぐちをいじくって
かまって欲しくて静かな夜を呼ぶ砂場で
悲しみだけを
失くしてしまった
雪がふる
ふるくて白い
雪の道
かぶせられない
気持ちの熱を
ふりほどき立つ褥の枕元に
ただ雪が凍りついて
しまう真夜中
なにもできない事実に
心臓をえぐりとられた獣は
二度と明日の来ない
かぜ吹く公園のブランコの横で
揺れつづける運命の色を
えんえんとえんえんと
眺めつづけていたのだ
敵も味方もおだやかに眠っている
あたらしい世界の片隅で
声もなく、朝もなく、
ただ夜のつづくありきたりな歌で
ぼくは調子っぱずれな
ただ聴くたそがれの命となるだろう
声もなく、たそがれが人類の罪となる日まで
そしてたそがれの世界を革命するその夜まで