第五章~再会~/ホスト初体験
ある日の日曜日。
綾のお店は休みで特に何をすることもなく一人で居た。そんなときに突然電話が鳴った。ディスプレイには【理恵さん】の文字が映し出されている。
『カラクロ』に入店してから、Noに入っている綾に妬みを持っているキャストも多いが紹介してくれた理恵だけは綾の味方でいてくれた。というより理恵は週に2回程のペースでしか出勤しないのにNoに入っている売れっ子キャバ嬢なので私に妬みをもつ必要がないだけかもしれない。そんなことを考えながら電話に出る。
「お疲れ様でーす!どうしたんですかー?」
「ねぇ綾ちゃん暇?」
「まぁ特に何もしてないですねー」
「じゃあホスト行こー決定ー!」
「ホスト?ホストってあのホストですか?」
「逆にそれ以外にどんなホストがあるの!?(笑)」
新宿歌舞伎町…ホストの聖地とも言える場所だ。
綾のお客さんの中にホストがいるので見たことはあるのだが、行ったことはなかった。少しどうしようか迷ったのだが、余裕もあるし人生経験だと思い行ってみることにした。
「じゃあ、人生経験の為に行きます!」
「ほんと?ありがとうー!じゃあ、その時に私の彼氏も紹介するねー」
「ん?わかりました!じゃあ準備できたら連絡します!」
彼氏ってなんだ?と最初少し意味が理解できなかったのだが、とにかく先輩を待たせる訳にはいかないので急いで準備を始めた。少し浩太に悪い気持ちはあったが付き合いの延長だと自分の中にいいきかせて、浩太には一通【先輩と飲みに行って来る】とだけ連絡を入れた。
歌舞伎町について待ち合わせ場所に着くと遠めからでもわかる美人オーラを放った理恵が走って綾の方に向かってくる。
「あやちゃーーーーーーーーんっ!」
と抱きしめてきた。既に飲んでいるのか、軽くお酒と香水の混ざった匂いがする。
「じゃあ行こーっ」
「えっ急に!?どこに行くんですか?」
「ミラーってお店だよ!そこに私の彼氏がいるのーえへへ」
多少、はにかみながら幸せそうな笑顔で綾に言う。電話で言っていたのはそういうことだったのかと綾も理解し、騙されているんじゃないかと心配にはなったが夜の世界では、そういったことはよくあることなので深くつっこむということはせず、はしゃいでいるフリをして「ミラー」というお店に向かった。




