【召喚読本】
神官のキースさんと別れた後、イェンナさんに宿泊する部屋に案内された。まず僕自身が入り、イェンナさんが後に続いて入る。大きめのベッドがあり、腰掛け、寝転がる。期待していた訳ではないが、セパレートタイプのダブルベッドのようだ。
儀式場はどうやら街の中央広場に隣接する、大きな教会で行われてたらしい。ここはその一角。レースの隙間から窓を覗くと、中央広場から膨大な視線が注がれている。
「参ったな」
思わず感想が出てしまった。
「あの……改めましてイェンナと申します。不束者ですが、何卒宜しくお願い申し上げます」
「西田サトシです。すみません、巻き込まれたのが僕なんかで」
「いえ、とんでもございません!」
「ところでイェンナさん」
一歩近づく。
【イェンナ 町娘 Lv5】
【魔法】初級治癒
【スキル】計算
【趣味】お花を育てる 料理
【ステータス】HP:35 MP:30 SP:10 体力:20
【スリーサイズ】162cm/48kg 86cm/57cm/88cm
何か凄いテキストが視界に飛び込んできた。
「ま、まぁ座って座って」
「ご職業は?」
いかんお見合いの常套句しか出てこなかった。
「レストラン黒猫の三日月でウェイトレスをしてます」
「ご年齢は?」
「18才に。先の季節になりました」
肌の張りが良いせいか幾分年下に見える。
「街一番の器量良しという経緯はお聞きしても?」
「はい、召喚を行う前にその……。美男美女コンテストがございまして、これは王国から召喚が命じられた街はノルマとして課せられます。未婚の10〜30代が全員参加になります」
「20年も召喚に失敗し続けた割には、きちんと選ばれてるのですね」
「そう、ですね。コンテストで最優秀となった場合、恩賞も出ますし知名度も上がります。私の場合はレストランで働いてますのでメリットの方が多かったです。王都から派遣された審査委員長の目に止まれば、召喚失敗した際に、王宮に招かれることもあるようです。……言い寄られる回数は増えましたが、注目を浴びてるおかげか、身分の立派な方が多くなりましたし、レストランの売り上げも増えました」
「なるほど。いや、うん、ほんと、来ちゃってごめんね」
「いえ、とんでもありません!」
「この後どうなるか分かる?」
「まずは王都に行き、契約の儀式を行います。これは私を所有物とする代わりに、世界を救うという誓いの儀式です。私とニシダ様が契約に違反するような事があれば、神罰が下されます」
「神罰というのは……?」
「場合によりけりですが、聞いた話ですと、街の広場を全裸逆立ちで一周した後に好きな人の名前を叫び自慰行為をした話は面白かったですね。神罰が3回下された場合、処刑されます」
「マジで」
「マジです」
「「……」」
「契約を終えた後は、自由なのかな」
「そうですね。神罰がくだりますから、ある程度は自由行動と聞いてます。時々王様に報告をしてあげると報酬がもらえるらしいですよ」
「なるほど」
契約した場合、逃げるのはリスクが高い、か。見たこともない神の罰など怖くないが、慎重に行動した方が良いだろう。
『……ぐー』
お腹が鳴った。
「お夕飯は2時間後にシスターが届けてくれます。灯りはお持ちしますが、日が出てるうちに【召喚読本】をご覧になることをオススメします」
「分かった、しかし読めるか分からないな……。理解できない部分は教えてくれると助かります」
本を捲る。見た事がない言語で書かれているが、直ぐにテキストエリアが表示され、翻訳内容と思しき文章が説明されている。
【召喚読本】
前書き
世界の命運を担う者に捧ぐ。—— 5番目の救世主より
コンソール
対象物を前に、半径50cmまで近づかないとコンソール画面は見えない。原理は不明だがテキストが視界に現れる事があるだろう。そうこれだ。
・翻訳
・ステータス
・調べごと
ステータスは色々見える。もう目にしてるだろうが、自身の成長に合わせてドンドン更新される。弱点や急所もそうだが「もらって嬉しいプレゼント」等も見えるぞ!
コンソールは我々にしか見えてない、最も価値のある技能だ。『オッケーコンソール』
この世界について
俺が召喚されたフォーゼル王国だが、はっきり言うと悪くない。住民はのどかで王様も話が分かる。国の持ち物として保管される文章だから書いてる訳ではなく、旅をして分かったのだが、かなり酷い国もある。他国に渡る場合、気をつけること。ポラニア大陸には、他に4つの国がある。
北のリスハルニア帝国は兵の練度が高い
西のラスヴェルス経済連合は賭博国家だ、有り金は全部持ってかれると思え。
東の神聖チタ法国は宗教国家だ、一神教なので行く前にきちんと調べたほうがいい。
中央のポルメニア合衆国 国力が圧倒的だ
そして我々は南に位置している。
おすすめは海に出ることになるが、南東にあるサマーランド。あそこはヤバイ、男なら一度行ってくると良い。
通貨
国による。フォーゼル王国ではフォゼ銅貨、銀貨、金貨、白金貨が通貨となる。5銅貨で安い1食分だ。
100銅貨 = 1銀貨
10000銅貨 = 100銀貨 = 1金貨
1000000銅貨 = 100金貨 = 1白金貨
職業
確認したのは40種類ほどだ。図書館に行くと他に20種類ほど確認できた、レア職業と言うやつだろう。
良く目にする戦闘に関係する職業と魔法について記載する。
・戦士 力が強く、斧や大型の剣などが得意だ
・騎士 盾の扱いが上手く、貴族階級の最下層に位置する
・格闘家 身体の扱いが抜群に上手い、隙は無いように見えるが集団戦闘が少し苦手だ
・神官 傷を癒すことが出来る、パーティの要だ
・魔導師 強力な範囲攻撃が出来る。敵に囲まれた際に必ず必要となるだろう
・冒険者 斥候や荷物持ちを行う。力は強く無いが旅をするのに便利な技能を揃えてる
・狩人 弓、罠、気配を消す、急所狙いで一撃で死に至らしめられる
・盗賊 人の物を盗むとなる、奉仕ボランティアをする事で解除可能。粗野な人間が多く、元の職業が分からない、厄介だ
・罪人 正当な理由なく他者を殺した者。これに魔物は含まれない
・奴隷 この世界の奴隷に人権なんてものは存在しない
重要なのはステータスの伸びが違うことだ。町人より騎士の方が体力が増えやすい。ある職業を長く続けることでしか獲得できないスキル・魔法もある留意されたし。
スキル
SPを消費して使用する。身体が硬くなったり、素早く動けたりする他、身体が勝手に動くという類のものもある。一度覚えたら忘れないが、使い続けると効果が上がる。
・パッシブスキル 持続時間は
・アクティブスキル 小っ恥ずかしく技名を叫ぶ必要がある
魔法
MPを消費して使用する。傷を癒したり範囲攻撃ができたりと多様だが、MPが切れるとそのまま気絶する。休むことで回復する。魔法の習得は、修行をする、書物を読む、職業を極めるなど、様々な習得方法がある。適正は王都で調べられる。
転職
ぶっちゃけ自由だ。行動を始めたらもう転職されてると見て良い。マーダ大神殿でのみ、現在の職業が分かるぞ。
レベル
レベルはリセットされない。繰り返す、レベルはリセットされない。上限は決まっていないが、1⇨30は半年で到達できたが30⇨40はさらに半年かかった。職業の重要性が分かっただろうか?
最後に
この世界で結婚は出来る、子供は作れない。
獣人、エルフ族、ドワーフ族、魔族、様々な種族がいる。インドより価値観が変わる、是非エンジョイしてくれ。
「ふぅ……」
「いかがでしたか?」
「いくつか試して見ないと、何とも言えない。正直分からない事だらけだな」
「そう、ですか。何か手伝えると良いのですが……」
「沢山頼むと思うけど、追々ね」
「はい!」
「さて、まずは……」
「オッケーコンソール」