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遭遇~ルセリ視点~

もう仕事だぁ・・・

「何でこんなことに・・・・」



 私は魔法使いのルセリ=ミリディス。今私達は魔の森と呼ばれている所に来ているんだけど。本音を言えばこの場から逃げ出したい。何故かって?それは目の前にドラゴンがいるから・・・。しかもよりによって古代種エンシェントと呼ばれている最強種の一角、深紅竜・・・・。

 見た目からしてまだ幼竜だと思うけど、それでも体が大きい。少なくとも15メートルはあるかな。成竜はその倍の30メートルあるって聞いたことがあるけど、実際に見たことなんてない。そもそもドラゴン自体見たことない私が深紅竜と遭遇するなんてこと普通はありえないんですけど!!ハァ・・・私生きて帰れるのかな・・・・・。


--ことの発端は今から数時間前--


 私はパーティーの仲間たちと一緒にギルドにいた。



「今日は討伐依頼を受けるぞ!!」


 

 勢いだけで言っているような感じのは前衛の剣士、ニクス=フィリオ。私たちの中で唯一の男。すぐ調子に乗って後先考えないで行動する癖がある困りもの・・。でもいざって時は私たちを守ってくれる。そうゆう所は好き//



「何を討伐するんですの?」



 二クスの勢い交じりの声に答えたのが後衛の回復担当の神官、エレノア=ミディルス。癒し系の声にナイスボディーのお姉さん。怒らせるととにかく怖い。結構前に私がバカをやってすんごく怒られた。あぁ、思い出しただけで鳥肌が立ってきた・・・。



「・・・まだ決めてねぇや」


「決めてないんかい!」



 私は思わずツッコんでしまった。やっぱり勢いだけで生きてるんだなって今更ながらに思ったのは言うまでもないけど。



「そうですかぁ。それなら魔の森に大量発生したオークの討伐なんてどうです?ランクもCですし」


「お!いいねぇ!じゃあ早速受付して行くか!!」

 


 何故か私の意見無しに事が進んでる。



「ち、ちょっと!私の意見は!」


「意見聞かなくてもお前の言いそうなことなんて大体想像がつくからな。まぁどうせ「私はオークなんかヤダ!」だろ?」


「うっ・・・」



 ”お前の事はお見通しだ”みたいに胸を張る二クスにイラッとしたから蹴りをお見舞いしといた。受けた本人は身悶えていたけど悪いのはニクスこいつだから私は悪くないよね!



「ニクス君が動けそうにないのでわたくしが受付してきます。ルセリさんはいつでも出発できるように装備を整えといてください。」


「うぅぅ・・・わかったよ」



 満足そうに微笑むと受付の法に歩いていった。エレノアが受付している間に私は不満を残しながらも言われた通り装備を整える。彼女が戻ってきた頃にはすべて終わっていた。



「それにしてもオークか・・・ていうかオークの討伐にしては結構ランク高いね。やっぱり大量発生したからかな」


「その辺りは分かりかねますがランクが高いという点に関しましては同意します。オークは本来Eランクの魔物ですし例え群れていたとしてもDランクまでしかあがりません。それがCランク以上になるケースは稀です」



 私の些細な疑問に文句一つ言わずに答えてくれるのはやっぱりエレノアくらいだから何気に嬉しかったりする。



「例えばどんな時にCランク以上になるの?」


「そうですねぇ。いくつかありますが今回の依頼で可能性を上げるとするならオークの集落になっている、或いは大量発生した付近に高ランクの魔物が住み着いている、この二つが考えられます」



 後者は考えたくないなぁと思いながらもだんだん足が重くなってき。



「集落になっていた場合、おおよそですがそこにオーク達をまとめているリーダーがいることになります。あまり考えたくはありませんが集落ともなると最悪そのリーダーはオークキングの可能性が出てきます。オークキングはBランクの魔物で知恵もあるため今のわたくし達では厳しいと思います。Bランクの魔物をBランク冒険者のわたくし達が戦っても勝ち目は薄いです。」



 なんか怖くなってきた。でも受けたからには何とかして達成したい。そう思いながらエレノアの説明を私は聞く。  



「確かにそりゃ厳しいな。もしそうだったら俺たちは逃げればいいさ。それにお前らのことは俺が全力で守ってやるしな!」



 真面目な顔でそう言われると照れる。今の私の顔は恐らく誰が見てもわかるぐらいに赤いんだろうな。ふと隣を見るとエレノアも顔赤くしていた。



「あ、ありがとうございます・・・コホン。それでは話を戻しまして次に大量発生した付近に高ランクの魔物が住み着いている可能性です。依頼のランクを考慮すると良くてCランク程度、悪くてAランク以上です」



「・・・それマジ?」


「なんか足が震えてきた・・・」



 私の心の中はもう恐怖でいっぱい。さっき自分を勇気ずけたのに・・・。もう帰りたい・・・・。

 でも私は一つ疑問に思ったことがあった。



「で、でもおかしくない?依頼書はCランクになってるのに対して実際は最悪Aランク以上の魔物がいるかもしれないって。万が一そっちがあってた場合Cランクの冒険者じゃ太刀打ちできないし最悪全滅だよ・・・これを出した人がそこまで把握・・・・・・してこのランク付けをしてたとしたら、それって言わば私たち冒険者に死ねって言ってるようなもんだよ!」


「その通りです。もしかしたらこの依頼は冒険者達を殺そうとしている何者かの策略かもしれなにのです。あくまで把握していたらというお話なんですけどね」



 エレノアは苦笑をしながらそういうがとても恐ろしい話だ。そもそも冒険者は街や国に幅広く存在している。その存在理由は危険な魔物達を狩ることで安全を確保するといったことが主な仕事。

 その冒険者をわざと死にに行かせる行為は敵対の意思表示にも繋がるのだ。



「聞いた時は恐ろしいと思ったが、その話が本当だったとしてなんでこの依頼書はあそこにあったんだ?エレノアがその問題点に気付くってことは上の連中だって当然気付くだろ」


「確かにそうだよね。何かあったのかなぁ。」


「・・・何か良くないことが起こりそうですね。」



 今回の依頼は不思議な点がたくさんあったけどそれよりも不思議に思ってることがある。



「一つ聞きたいのだけど、そこまでのリスクがあるかもしれないのになんでこの依頼を受けたの?」


「・・・・わたくしは許せなかったのかもしれませんね。街や国を守りたい、そういった同じ意思を持つ者なのに冒険者だからと言ってわざと死地に向かわせようとするその心が・・・」



 そういいながらどことなく悲しそうな笑みを浮かべているエレノアに何も発することができなくなってしまった私と二クスはこれ以上話すのをやめた。



ーーそして現在ーー



 あの時話してたことが現実になってしまった。しかも相手はSランクの深紅竜の幼竜だったからさあ大変!

 深紅竜は成竜になるとSSランクの指定の化物だ、そんな相手にCランクの私たちが敵うはずもない。

 今二クスが死に物狂いで応戦しているが力の差が根本的に違いすぎるためか、その攻撃はすべて弾き返されている。そして叫ぶ二クスと私・・・



「ちくしょおぉぉぉぉぉぉ!!!」


「こんな化け物がこの森にいるなんて聞いてないわよ!!」



 やはり無理がありすぎる依頼。



「ドラゴンがいるなんて聞いてねぇしそもそもこいつの鱗硬くて剣が弾かれちまうじゃねぇか!!どうなってんだよ!!」


「愚痴は後にして!このままじゃ私達全滅よ!」


「そんなのわかってらぁ!!おらァァァァ!!」



 二クスの全力は深紅竜に傷一つ付けることさえできない。しかも相手は先ほどからこっちの攻撃をすべて避けている。運よく当たっても微動だにしない姿に恐怖で身体が震えているのが自分でもわかる。それは二クスとて同じだと思う。

 それでも私達は止まらない。止まる訳にはいかない。本音を言えば今すぐにでも逃げ出した。そんな思いを押し殺す。

 でもエレノアは私達と思いは同じはずなのに動かない。いや、恐怖で動けなくなっている。私達は死を覚悟で戦っているのに何で・・・。

 そんなことを考えていると相手の口元に魔力が集まっているのを感じそれが何なのかを瞬時に理解した。ブレスだ



「っ!ブレスが来るわよ!」



 私の言葉を聞いた二クスは地面を蹴り数メートル後ろに下がる。それと同時に放たれるブレス。



ーーガァァァァァァァァァーー



 何とか回避できたが深紅竜は素早く突っ込んでくる。



「おわぁ!!あっぶねぇよ!」


「私に任せて!水よ!我が槍となりて敵を貫け!水の槍ウォーターランス!!」



 私の周りに出来た複数の槍は深紅竜目掛けて放たれ直撃した。私は内心|(当たった!)なんて思ったがそんな考えは深紅竜の姿を見て簡単に崩れた。傷どころかひび一つ入っていない身体。これなら避けてもらっていた方がまだマシ・・・。



「そんな・・・」


「まぁそんなものであろうな」



 私がショックを受けているとどこからとなく声が聞こえる。振り返ると小さな少女がいた。



「こ、子供!?でもなんでこんなところに子供が・・・て、そんな事より君!!危ないから逃げなさい!!」



 私の声に気にする素振りも見せずうっすらと笑みを浮かべながら歩いてくる少女。



「久々に強そうな相手であるからなぁ。妾も見ているだけではつまらぬ」



 いい獲物を見つけたとばかりに微笑む少女。その笑みは女の私でも引き込まれそうだ。でもそんなことはどうでもいい、このままでは少女が殺されてしまう!そう感じた私は懸命に叫び続けた。しかし少女は止まらない。

 一歩ずつ近づいていく姿は恐怖を知らない者のそれだ。


どうして逃げない?

どうしてそんなに嬉しそうなの?

貴女はあれが・・・怖くないの?

そんなに死にたいの?


 そんなことを思わずにはいられなかった私。そして深紅竜は少女に気付き振り向く。この子は間違いなく殺される。そう思った私だが結果はちがかった。深紅竜は少女を見た瞬間まるで何かを恐れるように怯えだした。

 


「ほう。極限まで抑えておるのだがそれに気付きおったか・・・まぁよい。此処がそなたの墓場であることには変わらぬ」



 目の前の少女が何を言っているのか私は分からなかった。抑えている?墓場?それが何を意味しているのか・・・。



「粉砕せよ!」



 いつの間にか傍に来ていた二クスは(何を・・・)とつぶやいた。それは私も同じ・・・。いつからなのかわからないがエレノアも正気に戻っていて首を傾げていた。・・・その答えは信じられない現象により起こった。なんと今までいくら攻撃してもノーダメージだった深紅竜が目の前でバラバラに破裂した。

 ”信じられない”それが私達の思いだった。



「・・・えっ」


「あ、ありえない・・・」


「マジかよ・・・」



 私達は固まってしまった。そして私達は思ってしまった、思わずにはいられなかった。この子は少女の姿をした”化物だ”と。



「こんなものか・・・・・少し骨のある奴かっと思ったがちと弱すぎるのぉ。しかしこんなにも弱いのであれが魔術を使ったのは間違いであったな・・・つまらぬ」



 少女ばけものはブツブツ言っていたが私達には聞こえない。いや、聞きたくない。弱すぎる?何それ・・・私達が死を覚悟で戦っていたのに弱すぎるって・・・。

 しかも相手はSランクの幼竜、そんな化物を弱い・・・ふ、ふふふ、ふふふふふ・・・。

 

 私の記憶はここで途切れた。どうやら気を失っていたみたい。目が覚めた時には少女はいなくなっていた。もしろいなくてよかった、あんな少女ばけもの・・・

 

 なんで気を失っていたのかを二人に聞いたら、私は突然笑い出してそのまま倒れたらしい。



「まぁ気にすんな。あんな光景見せられたらそうなっちまうのもわかるから。正直言えば俺だって気を失いかけたからよ・・・」


「その通りです・・・なんてわたくしは口が裂けても言えませんね・・・・・お二人が頑張っている傍ら恐怖で動けないなんて・・・」


「・・・」


「・・・」



 エレノアが自分を責めている姿に私達はなんて言っていいのかわからず黙ってしまった。でもいつまでもそうしている訳にもいかず私達はギルドに帰ることにした。


 ギルドに帰還後、報告を済ました宿に着いた後二人に聞いた話だけど、私が気を失った後少女ばけものはつまらなそうな顔をしながら去っていったらしい。オークはあの幼竜が食い荒らしていたらしく生きている者はいなかったとの話だった。

 その話を聞いたのち私は自分の部屋に行きベッドに身を投げるとすぐ睡魔が襲ってきた。”あの少女ばけものは何だったんだろ”その疑問とともに私は眠りに落ちた・・・。


  

編集前のを読んだ方、すいません


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