表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ma chérie  作者: 華百合
20/29

19 dos


 「そういえば、あのバーが再開したんだよ。よかったら、今度一緒に行かない?」

前に誘った時は臨時休業になっていて、仁史と一緒に行くことができなかった。何度か話題にも上ったし、仁史も気にしてくれていたから聞いてみたのに。

仁史は私の顔をじっと見て、

「…もう、あの店には行くな」

そう強く言い放ったのだった。そして反対方向に寝返りを打ち、背中を向けられてしまった。

彼の肩にそっと触れるも、いつものように手を重ねてはくれない。

「一体、どうしたの?なんで急にそんな…」

「それは、璃子が一番ようわかっとるんちゃうん?」


心臓が、止まるかと思った。


「え……」

仁史は首をもたげて、目線だけ私の方へ向ける。その表情は、怒っているというより…少し、悲しそうだ。

「俺ら、しばらく距離置こう」

「ちょ、ちょっと待って、なんか誤解してるよ?」

慌てて起き上がるも、彼はもう私を見てくれてはいなかった。全身の血の気が一気に引いていくのを感じる。

どうして、突然そんな…。わけわかんないよ。

「…俺とあいつ、ほんまに好きなんはどっちか、ちゃんと答え出してほしい」

―――気づいてる。

仁史は、私の気持ちに気づいてたんだ。たぶん、お店が再開するずっと前から…。

知っていながら、知らないふりをしていてくれた。

私は一体、何をやっているんだろう。


翌朝起きると、仁史は先に家を出ていた。うちの合鍵を新聞受けに置き去りにして。


                   *


 私はせっかく再開したMa chérieにも行けず、1人ぼっちで水曜日の夜を過ごした。

仕事してる間は、忙しくて他のことなんて考える余裕もないけど、1人になると、いろんなことが頭の中を過っていく。

すすんで考えたくはないけれど、私はなるべく早く答えを出さなくちゃいけない。仁史のためにも。

 遥子にこんなこと相談したら、きっと呆れられる。そう思って、せっかく一緒に過ごせたランチタイムにも言いそびれてしまった。

彼女なら、どうするだろう。…きっと、自分の気持ちに正直に行動できるんだろうな。


―――私も、もっと素直になれたなら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ