27話目! 進撃の……魔王!?
悲しい事があり更新を止めていました。まだ暫く不定期更新とさせていただきますのでご了承ください。
リーベルト捜索魔具【探してヘルパーさん7号】改め【探し人発見器 (リーベルト専用)】の説明をするため、私はマリアのいる王の間に来ていた。そこにはナギ君を始め、数週間城に居たにもかかわらず顔を合わす機会のなかった数人の配下達がいました。彼らから感じる強さは私の本気に近いくらい。やっぱりこの城の中では私程度の強さの人は多いようですね。一段落したら修行しなくちゃ。
その彼らはきっと、リーベルトの居場所が分かると直ぐに現地に向かうため、此処に来ているだろう事が分かる。
「リリア。じゃあ早速、愚弟のいる場所を調べてくれるかい?」
「うん。魔具の説明は、昨日渡した用紙に書いてるのを見てくれたんだよね?」
「もちろんさね。そこにいる兵たちにも覚えさせておいたから後はリリアが愚弟の魔力を登録してくれれば、それでこの件は解決さ」
私の作った【探し人発見器 (リーベルト専用)】は文字通り、特定の人だけを探し出す魔具。不特定多数の探索ができる魔具【探索王】もあるにはあるけど、私以外が悪用したら困るので誰にも知られていない。
……え?私も悪用したらダメって?そんな事いわないでよ~。このくらいの役得がないと私が可哀相じゃない。……スキルと職業特性で追尾できるからいらないだろって?それはそうだけど……。
スキルとか職業特性だと範囲が狭いもん。この世界がどのくらいの広さか知らないけど、直径1万kmまで探査できるこの魔具があっても損はないって。いつかきっと役に立つ日が来るかもしれないじゃん。
だから誰がなんと言おうとも私が使うの!
っと、独り言はこの辺にしておいて、リーベルト探査を開始するべく、【探し人発見器 (リーベルト専用)】に以前感知した魔力の残滓を【魔力増幅】を使用し、魔力の波形として復活させます。それをこの魔具に登録すれば初期設定はおしまい!
「出来たよ~。……地図貸して」
私は現れた魔力の波形を渡された地図に投影する。こうする事で今現在の時点で魔力の主がいる場所を把握できるのです。あとは魔具と地図を数時間毎に位置投影を繰り返す事で、対象のいる場所が分かるという寸法ですね。
「……こ、この場所はッ!マリア様!この場所は非常にマズいです!」
私が渡した地図で位置を確認した探索担当の配下たちが焦ったようにマリアに指示を仰ぎました。
マリアは配下に渡された地図を見て一瞬顔を顰めた。
「確かに此処はまずいねぇ。まさか、あのアバズレ娘……いや婆の所にいるとはね……」
「マリア様いかがいたしましょう?恐らく我らが行った所で、リーベルト様の二の舞になりかねませんが……」
「しょうがないねぇ。こう言う案件なら仕方ないさね。私が出よう」
「へっ!?い、いやそれは困りますっ!マリア様がまた居なくなれば民達が不安になります」
どうやら、聞いていると会話の流れ的にいやな予感がするので私は、小さな声で「では失礼しまーっす」と囁き、こっそり王の間を出ようとしました。
しかし、間もなく部屋を出られる!と思った所で襟元を掴まれ持ち上げられてしまいました。
……くっ、逃げられない!?
「おやおやぁ?珍しいスキルを持つリリアさんは何処へ行こうというのかねぇ?」
私の襟元を掴んだ犯人はもちろんマリア。やっぱり嫌な予感しかしません……。
「えっと?マリア。私、今から大事な商談があるからアイゼンの街に戻らないといけないのよね~」
「なんだってぇ?今の今までこのお城に居たリリアがどうやって商談を取り付けたのかねぇ?」
「ももも、もちろんヒロミに聞いたからに決まってるじゃない。ふふふ~」
「そうなのかい。それじゃあ仕方ないねぇ……とでも言うと思ったかい?そこのアンタ!ひとっ走り客間に居る胸のでかい黒髪をしたヒロミって子をを連れてきな!」
「は、はいぃぃ!」
マリアは王の間の前に居た兵士の一人に命令を出した。程なくしてヒロミを連れた兵士が戻ってくるとヒロミは訳がわからないような顔を浮かべていた。きっと兵士に理由も知らされず連れてこられたのだろう。
「ヒロミや?ちょっと聞きたい事があるんだけど言いかい?」
「ん?なあにマリアさん?」
「このリリアが今からアイゼンの街で商談があると言っているんだけど事実かい?」
ヒロミは一瞬を首をかしげ私のほうを見る。私はもちろんヒロミに一生懸命肯定するように念を送り続けます。だけど……
「そんな話はないですけどそれがどうかしたの?」
残念無念、ヒロミには私の念は届きませんでした。マリアはというと私を見てニヤリと笑いました。
「いや。なんでもないさね。来てもらって助かったよ。……さてリリア。ちょっと顔を貸してもらおうかねぇ?」
「ふ、ふぁい……」
こうして私はマリアに連れられ執務室へ連行されました。
「逃げる口実とは分かっていたけど往生際が悪いねぇ。私はリリアに危ない案件をさせる気はないよ。ただちょっと私が留守にする間、城でお仕事してくれればいいだけさ」
「やだ!」
「黒8ランクの魔石でどうだい?」
「……」
「黒8ランクの魔石を300個でどうだい?」
「引き受けた!」
私は欲望に忠実なんです。魔石があれば魔具を作り放題ですからね。
その日から数日間マリアは少しずつ時間を見つけ森に入って行き、30分ほどの間に30個近い黒8ランク魔石を持ち帰ってきました。
ちなみにマリアが森に入っている間、私はナギ君監修の元、魔王のお仕事を教えてもらっている。
ナギ君……私に教えられる位できるなら君がやってよっ!
1週間もすると私の目の前には黒8ランクの魔石がおよそ700個。倍以上ですね。どこまで深いところに潜ったんですかマリア。
「ふっ、約束の数以上に集めちまったけど問題ないね?約束どおり、リーベルトを迎えに行っている間の魔王領のことは任せたよ?一応幹部連中には話を通しておくから、滅多な事はないと思うけどねぇ」
マリアは信頼できる幹部を集め、今から起こす行動を説明する。その際に私の変身もお披露目したら、ナギ君が非常に驚いていました。……あ、ナギ君は幹部じゃないんですって。なのに何故この場に居るのか不明です。(マリアに信頼されているらしいなんて絶対思わないんだから!)
「それじゃあ行って来るさね」
「マリアなら大丈夫と思うけど気をつけてね」
「ふっ。私があんな婆に負けるわけがないさね。私の弟を誘拐したんだ。相応の報いを与えないと気がすまないよ」
「何かあったら渡した警報魔具に魔力を流してよ?」
「通信魔具と言い警報魔具と言い、珍しい物をよく作るねぇ。まあこれはこれで便利だけどねぇ」
マリアにも魔具の使い方を教えた翌日マリアはリーベルトの魔力反応のあった魔族領へ向けて旅立った。