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19話目! プリペイド?

 プロモを転移装置を介して流してから3ヶ月。お客さんはボチボチと来てくれていますね。

ランダムで来た普通の街の人はここでしか手に入らない料理(リーズナブル設定)を買って行ってくれますし、駆け出しを出た位の冒険者なら素材は普通でも【不壊】付与効果がついている武器(値段的には銀ランク報酬2回分(銀貨12枚相当)くらい)を買って行ったり持ち合わせがないからまた次回という事で予約していかれる方も居ます。


 「やっぱりランダム転移で来るお客さんだと手持ちの問題ですぐに買ってくれないことが多いわね」

 「それはしょうがないよ~。狙ってきてくれる人なんてそんな良いないんだし……」

 「うーん。冒険者カード本体に預金等の銀行のシステムがあれば引き落とし機能をつければいけるんだけどなぁ」

 「それなら代わりの物を魔具でつくればいいんじゃないかな?親子機1セット販売にして親機にお金を保管する機能をつけて子機から自由に引き出せるようにすれば……」

 「いい考えなんだけど、それだと問題がでるのよね。どっちにしても子機を持ち歩かないといけないし、親機を盗まれでもしたら意味ないじゃない?」

 「そっかぁ。でもリリアちゃんなら、きっと良い方法が思い浮かぶかもしれないから考える位してみようよ?」

 「そうね。どうせお店も暇だし、考える時間はあるもんね」





 銀行云々の話からまた2ヶ月の時が流れ、一応形になったものができました。

 その名も【現金チャージ君】といいます。まあプリペイドカードですね。クレジットカードの方が便利が良いのですけど、今の世界情勢でそこまで進んだ物を流通させるとろくな事にならない気がするのでワンランクさげてプリペイド式にしたのです。

 これを専用の機械に通す事でカードの記録されてる分のお金なら使えるようになります。こちらは登録するに辺り収入の関連の審査もあるのであまり普及しないかも……と思いましたが、ある有名な金ランク冒険者や黒ランク冒険者が使っているという噂が流れてからは爆発的に登録者が増えました。

 ギルドカード同様カードサイズなので持ち運びも便利なのが大きい利点でしょう。



 そして専用の機械の方ですが、こちらは現在冒険者ギルドに無償で委託して運営してもらっています。

 機械自体は冒険者ギルド内の目立つ所に置かれていまして、使うには冒険者登録が必要ですがギルドカードと【現金チャージ君】があればお金を入れる(登録する)ことができます。

 こちらの機械に関しては商業ギルドにもお願いしてみようと思います。商業ギルドでこの機械を扱えるようになればお金のやり取りに関しては安全にできるようになるはずですから。


 ちなみにギルドに据え置きの本体にはお金を入れると空間魔法で異空間に送られるので機械を破壊してもお金は出てきません。よって現金を狙った泥棒はできません。ですが、残念ながら不便な点もあります。

 プリペイドカードを盗難された場合ですね。プリペイドカード自体は例え家族であっても使用は不可能ですがカード本体の素材は破損防止のため丈夫な龍の皮で作られていますのでそこの部分だけでも高価な物です。魔石加工してる部分を外せば高級な龍の皮という素材が手に入る訳ですからそれを狙う人たちも居るのですよね。仮になくした場合、再発行費用が掛かります。


 プリペイドカードの魔石には機械を通す事で異空間につなげる効果を付与していますので防犯系列のスキルを付与できませんし……。ICチップのような多機能を持たせられる物は作るのが面倒ですし。というか創造魔術を駆使しても生産が追いつきません。ですので今のところは保管に関しては自己責任ですね。


 この辺りは早急に対応を考えようと思っていますがなかなかそれが思い浮かばないのです。マイカさんたちギルド職員の方々にも防犯や盗難に関する防御策などを考えてもらっています。






 ですが、プリペイドカードが広まったおかげで転送装置が設置されている都市を中心にたくさんのお店でカードで買い物ができるという風潮が広まり、こちらから商業ギルドに頼みに行こうとしていたカード残高登録用機械の設置の件を相手方からお願いされましたね。

 もちろんあの厭らしい目つきの商業ギルドの長はもう居なくなり新しい長がついた商業ギルドとは仲良くさせてもらっていたので二つ返事で了承。こちらからは別に無償でよかったのですがこの機械の使用に関する利権料などについても少しばかり(商業ギルド側から見てですけど)いただけることになりました。向こうがくれるって言うんですから断るのはダメ……ですよね?



 「うーん。ヒロミ~。ちょっと金の魔石集めてきて~」

 「え~ひとりで~?」

 「私は忙しいもの。それに以前金10ランクのダンジョンにも一人で潜れるって豪語してたじゃない」

 「うぅっ!た、確かに言ったけど一人は寂しいよ……」

 「ん~それなら、あの人に頼んでみよっか」

 「あの人って?」

 「マリアよ。マリアならヒロミが危なくなっても助けてくれると思うし」

 「あ~マリアさんかぁ~。でもあの人なんか怖い気がする」

 「大丈夫よ~きっと」

 「リリアちゃん。そこは大丈夫!って言い切って欲しかったよ……」

 「ふふふ。まあ頼んでみるけどいい?」

 「わかったよぉ。一人よりはマシだと思うし……」



 そういうことで私は自宅にある転送装置からマリアの家に直接転移。魔法を使ってもいいんですけど魔力が無駄ですしね。



 「おやおや?リリアかい。今日はどうした?」

 「マリアにお願いがあってね。実は……」


 私は魔石が欲しいのでヒロミと一緒に採りに言って欲しいと頼んでみる。


 「うーん。金ランクのダンジョンに行くのはいいんだが金程度で良いのかい?」

 「ほぇっ?そりゃあ魔石のランクが高い程嬉しいけどヒロミじゃ金がいっぱいいっぱいなのよ」

 「そうかい。もしなんだったら黒でもとってきてあげるよ?その代わり1つ頼みを聞いてもらうけどね」

 「く、黒の魔石かぁ。凄いほしいけど、マリアほんとにとってこれるの?」

 「問題ないよ。それでどうだい?条件を飲むかい?」

 「……」



 しばらく考えた結果、私は黒ランクの魔石という誘惑に負け、条件を飲みました。その条件についてはおいおい……。



 「というわけでヒロミは来なくていいってさ」

 「と、当然だよぉぉぉぉ!なんで黒ランクダンジョンに行くことになったのさ~。私じゃ手も足もでないよ!」

 「だよね~。私でも精々入り口で様子見るくらいじゃないかなぁ。マリアみたいに一人で行ける気はしないけどね」

 「リリアちゃんが弓使えば黒でも倒せるんじゃないの?」

 「うーん。どうだろう?流石にいくら無音で音速で貫通で誘導で分裂するといっても当たるかどうか……」

 「間違いなくあたると思うよそれ……」






 2週間後、マリアが私の家に転移して来ました。ダンジョンに行く前にこの家に飛べる転移魔石(使いきりタイプですけど)をわたしておいたのです。


 「ただいま。リリア。魔石とってきたよ。とりあえずこの位でいいかい?」

 「な、なによこの数ぅ~!」


 マリアが出した空間ボックスには数え切れないほどの魔石。それもすべて黒ランク……、一部魔石の中に他の黒とは違った膨大な魔力を秘めたものがありましたけどどんな相手だったのか怖くて聞けません。



 「さてこれで依頼は果たせたね?じゃあ来月迎えに来るから準備しておきなよ?」

 「り、りょうかいでーす」




 実はマリアの条件は私と二人で勝負がしたいというのです。が、私はどう考えてもここにある黒ランクの魔石を2つ持って帰れれば御の字という程度の実力です。普通に勝てる気が起きません。

 とはいえマリアも流石に私を殺すまではしないと思う(思いたい)ので胸を借りるつもりで……物理的にも借りたいですけど……マリアのスキルを盗んでみようと思います。

 私が知っているマリアは弓を射る姿と素早い動きだけですからね。




 そんなこんなであっという間に約束のひと月がすぎました。

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