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17話目! お店の下準備?

 「ギャーオォォォォス?」

 「ハイ、カァットー。だめだよリリアちゃん!もっと怖い感じ出さないと~。テイク16いくよ~」

 「えぇ~またぁ~?」

 「当然でしょ?お店の宣伝のプロモ撮るって言ったのリリアちゃんだよ!ほら準備するの!」



 事の起りは先週の事。私ことリリアはこの数ヶ月で数多くの転移装置を設置したことでその利用料金がガッポガッポと入るようになり、ようやく魔具のお店を開く事ができる資金が集まりましたし、私自身も魔具職人として名が売れ始めていますので丁度いいタイミングだと思ったからです。


 「ヒロミ。そろそろちゃんとしたお店を開こうと思うんだけどどう思う?」

 「いいんじゃないかな」

 「なんか軽い返事ね。私結構本気で考えてるんだけど」

 「お店を開くのはいいと思うよ~?リリアちゃん製の魔具も大分流通し始めてるし」

 「でしょ?あと問題は魔石の仕入れルートと店の場所とその宣伝なのよね」

 「うーん、ギルドに相談してみたら?」

 「そうね。それが一番手っ取り早いかしら」


 私はヒロミと一緒に冒険者ギルドへいき、受付に座っていたマリカさんに声をかけました。


 「こんにちわ~マリカさん」

 「あぁリリアさんにヒロミさん。ギルドに顔を出すのは何ヶ月ぶりですか?」

 「え~と、もしかしてマリカさん怒ってる?」

 「いいえ?怒ってなんていませんよ?ただ同じ町の中にいるのに全く顔を見せないヒドい冒険者がいるのですこしだけ憤っていただけですから……」

 「怒ってますやん!」

 「怒ってませんってば!でもリリアさん。金ランクとはいえ依頼を1年以上受けなかった場合はカードの失効がありますので注意してくださいね?」

 「了解です。気をつけますね」

 「それで本日は依頼を受けにこられたんですか?」

 「いえ、実ですね……」



 私はマイカさんにお店を出すにあたって必要な事項を聞いてみたら、やはり商業ギルドか魔工ギルドに所属しなくてはならないようです。

 以前(7話参照?)簡単に説明しましたが商業ギルドは世界の流通を牛耳っているだけあり所属すれば素材などを安定して入荷できるが売り上げの3~4割を持っていかれるという。さらにお金を払えなくなった商人たちを陰でいたぶる子飼いの組織があるという黒い噂もあるので、素材の安定供給は魅力ですが私は所属したくないというのが本音です。


 魔工ギルドも商業ギルドの下請けですので言いなりのまま魔具を造ることになる感じなので当然嫌ですし。それにここに所属したら、ふとした拍子に誰一人として覚えられないといわれている【創造魔術】のことが気づかれてしまうかもしれませんもんね。そうなったらめんどくさい事に全支部潰さなくてはなりません。そういう面倒はごめんです。



 そうなると未所属で店を開く事になるのですが、店を開く為の土地を扱うのは商業ギルド。ギルドの所属する気がないと分かれば暴利を吹っかけるか、土地の貸し出しをしてくれない可能性が非常に高いのですよ。 更に言えば商業ギルドから素材を買えないので自分でルートを確立する必要もあります。



 「マイカさんありがとうございました。もう少し考えてみます」

 「そうですか。ではまた何かございましたら、い・つ・で・も・きてくださって構いませんからね?」

 「……はい」



 マイカさんにもっとこまめに依頼を受けに来いという遠まわしな脅迫を受けましたがそれは適当にこなすとしまして……問題点は先ほどあげましたがもう一度おさらいしようと思います。


 ①お店を開く土地の確保

 ②素材を集める個人ルート

 ③人員集め

 ④上記の条件がそろったら店に来て貰う為の宣伝方法



 とりあえず①は商業ギルドで土地を借りれるか確認して無理でしたら私にしかできない手段で場所を確保する事にします。


 続けて②ですがせっかく転移装置をばら撒いたのですからそれを利用して取引しようと思います。実はこの転移装置、商業ギルドに使わせないようにしています。あ、商人の移動はできますが荷物の運搬はできないように……が正しい表現ですけどね?

 転移装置の利用設定は私が空間魔法と創造魔術を用いればすぐに変更できますので適当な人たちに声をかけて素材を集めさせ……ゲフン。集めてもらいましてその人が私の店に卸しに来る場合のみアイテムの移動ができるようにしましょうか。もし破ったらかなり酷い目にあわせますよ。


 ③は適当な町の孤児や引退した冒険者とか拾えば何とかなるでしょう。勿論これも契約魔術で期限内にそれを破った場合罰則が発生するようにします。ですがまあこの③に関しましては店が開いてからでも構いません。……ヒロミに負担が多く掛かるだけですから。フフッ。


 ④はそうですね。この世界には動画という物はありませんので、動画を撮ることができるデジカメのような魔具を作ってインパクトのある宣伝を作ろうと思います。この宣伝次第で売り上げや来店客数が変わるはずなので一番大事ですから。






 そういう訳でやってまいりましたアイゼングラッド商業ギルドのギルマスの執務室!

自己紹介などは省きますがギルマスはハイネル・ガマグッチと言う名前です。突っ込む気にもなりませんので会話の方からどうぞ!


 「ふむふむ。魔具を扱うお店を開きたいから土地が欲しいというわけですな?勿論お売りできますよ。その代わりといってはなんですが我が商業ギルドに入っていただきたい。そうすれば一等地を1年間無償でお貸ししましょう。如何です?」


 「申し訳ありませんが私は商業ギルドに入るつもりはありません」


 「……理由を伺ってもいいですかな?」


 「私が商業ギルドに所属したとして得になることがありません。それが一番の理由ですね」


 「貴女の得になることならありますとも!商業ギルドに加入すれば素材の安定流通や高ランクの魔石も高確率で入ってきますよ。他にも長く加入すればその分色々な特典がつきます」


 「実はですね、素材の流通経路も既に確保しております。経路だけですけどね。高ランクの魔石も私が直接取りに行けば入荷の目処がすぐ立つしほぼ確実に集められるうえ無料です」


 「ぐむっ!貴女は魔具職人である前に金ランクの凄腕冒険者でしたね。なるほどそういう意味では確かに我らのギルドに所属する意味合いは低いでしょう。金銭的にも貴方が依頼を幾つかこなせば稼げるので店がうまくいかなくても問題ないですしなぁ」


 「はい。そういうわけで申し訳ないのですが……ギルドの加入は無理です」


 「そうですか。それでは私どもといたしましてもギルドに加入されない方に土地を提供するわけには行きませんなぁ。これでも店を開く為頑張っている商人見習い達がいますのでねぇ」


 「そうですか……。それなら仕方ありませんね。別の方法を探します」


 「残念です。我らとしましては貴女ほどの魔具職人がいれば更なる売り上げアップの見込みがあったのですが。……もし我がギルドに所属する気になりましたらいつでもお越しください」


 「ありがとうございます。ハイネルさん。忙しい中、時間をとっていただきありがとうございました」


 「いやいや、私としましても噂の貴女とこうしてお話しできる機会ができただけでも嬉しい事でしたのでね」




 こうして商業ギルドを辞した私は、自宅ヘの道を歩きながら商業ギルド……いえ、ハイネル・ガマグッチについて考えていた。あのブタ(実はブタだったんですよ)腐った目をしていました。カネとオンナにしか興味がない典型的な亡者の目です。

 あの様子では私かヒロミ辺りにちょっかいかけて来そうですね。対談中も私の胸元とか足を見てましたし……。あの視線が超絶気持ち悪かったのでしっかりと対策しておかなくちゃ。





 自宅へ戻りヒロミに商業ギルドでの内容を話し、続けて私が感じたブタからの視線について話すとヒロミは


 「そのブタ?オーク?目を潰そうよ?リリアちゃんの体を凝視するとか万死に値するよね?ね?」

 「それはちゃんと私のほうで対策するからヒロミはヒロミで街中でも色々注意しておいてね。何をしてくるかわかんないから」

 「うん。あ、でも襲われたら反撃していいんだよね?」

 「当たり前じゃない。なめられたら終わりよ。やるなら徹底的にやるわよ」

 「了解~。じゃあリリアちゃん、倉庫の魔具のアレ……えっと雷のなんだっけ?」

 「【プラズマビームサーベル】?」

 「うんそれ!借りとくね?」

 「いいわよ。他にも使いたいなら好きなの持って行ってもいいからね」

 「わかった~!」




 そして対策を施して3日間夜中に家の周りで叫び声が起きたり朝起きたら玄関前に黒焦げの人(血の出るような傷ではないけど剣らしき物で削られた形跡あり)がいたり……あっ死んでないからね?



 そうこうしてるうちに4日目になると安眠妨害という理由で鬱陶しくなったので夜中に私の家に来た男性諸君に【タマはじきくん】による地獄の苦しみを味わってもらう罠で悶絶してもらったあと【令魔法】……(【創造魔術】の時に神官に使ったアレです)を使い、騎士団に突き出しておきました。彼らは騎士の皆さんに商業ギルドのギルマスの闇資金流用など色々な悪事を洗いざらい吐く事になり裏を取られた後そのまま処刑されました。


 その後騎士団は商業ギルドマスターを告発し捕まえに行きましたが前もって知っていたのかギルマスのハイネルは既に逃走済みでギルマスの闇資金も消えていた。そしてそのまま行方を晦ましたハイネル。

 

 その後の事はどうなったんでしょうねぇ。






 「マスター。あいつらがしくじった上に騎士団につかまりやした!」

 「な、なんだと!?あいつらはワシが特別目をかけている暗殺者集団だぞ!」

 「で、ですが事実なんです。騎士団に侵入している仲間からの報告ですが、全部ゲロったそうです」

 「ぜ、全部だと!?まさかワシのことまでか?」

 「その通りです。そういうことですのでここは私が時間稼ぎをしますのでマスターは本部へお戻りください!」

 「ぐっ、仕方あるまい!ではワシは金を集めたら逃げる!お前らも速く合流するようにしろ!」

 「ハッ!」

 「しかし一体誰が……」


 部下たちに指示を与えたワシは急ぎ執務室にあった金と貴金属類を保存ボックスに入れ逃げ出した。

持ち出してきた貴金属の中には買った記憶のない指輪があったがワシは急いでいた為確認もせずそれを保存ボックスに入れてしまったのだ。


 「はーい、たくさんの貴金属のご寄付ありがとうございま~す。代わりにこちらの超高性能な指輪の魔具をプレゼント~。使用の際は同封の注意をよく読んでお使いくださいね~」



 保存ボックスにいれた直ぐ後にそういう声が聞こえ、同時にワシの指には2つの指輪がはまっておった。


 「ど、どういうことだ?寄付なぞしておらんぞ!どこの誰かは知らぬが返せぇ!」


 いくら叫んでももうあの不思議な声は聞こえない。階下も騒がしくなってきたのでこの場に残るのは非常にマズいと思い急いで本棚の後ろにある隠し通路を通り脱出した。この経路は使用後しばらくロックされるので追われる心配はない。ワシは歩きながら不思議な声の言っていた注意書きを読んだ。


 「なんだと?姿を消す魔具にカネを産み出す魔具じゃと?そんなうまい話があるわけなかろうが!」


 そう思ったがある程度逃げた先で心に余裕ができ、試してみることにしたのだ。



 「ば、バカな!ワシの体が見えぬじゃと!?まさか本当に姿を消す指輪なのか?という事はもう一つも?」


 わしはもう一つの金を生み出す指輪も使用するとミスリルやアダマンタイトと呼ばれる超希少鉱石がボロボロと出てくるではないか。垂れ流しだと小さいが魔法力を調整すれば大きい物がでてくる事もわかった。


 「これは、まさか本物なのか……?グフフフ、この指輪があればワシはまたいくらでもやり直せるワイ。とりあえず次の街で換金するとするかな」


 こうしてワシはまんまと逃げ延び目の前に見える街へ急いだ。








 「リリアちゃん。魔具の使用形跡あったよ。あと保存君にいっぱい貴金属が入ってたから回収して代わりに《意思混濁の指輪》と《蜃気楼の指輪》を偽名で渡しておいたよ~」

 「そう?追跡ご苦労様。後は勝手にあのブタは消えるからほっておきましょう」

 「わかった。それでリリアちゃん。ブタの貴金属どうするの?」

 「そうねぇ。私が加工しなおして売却するわ」

 「足がつかないように?」

 「そういうことになるわね」


 あのブタに渡した指輪の効果は指輪の名前どおりの効果を持つ。


 《意思混濁の指輪》はつかった場所で幻を見続ける。動いてるつもりでも動けていないし、持っているつもりでも持っていないとなります。

 《蜃気楼の指輪》は意思混濁とあわせることでリアリティを重視した効果を及ぼす。


 きっとあのブタは指輪に魔力を通した場所でくるくる回っている事だろう。あの辺りは魔獣もいるのでもしかしたらもうエサになってるかもしれない。

 そして指輪は登録した持ち主が死ぬと消滅するようになっているので問題にはなりませんし。




 「さて、それじゃあお店作るわね」

 「え?何でそんな流れに?」

 「ん~。いいじゃない?お店を作りたい気分なのよ」

 「全く理解できないよ?ていうか土地どうするの?」

 「土地なんていらないわ。私の空間魔法と創造魔術で異空間に作るからね」

 「そっかぁ、異空間かぁ。それなら土地はいらないね……って異空間ん~?」

 「いい手でしょ?私しか出せない空間に出せば土地代いらないしね」

 「そんなお店に誰がどうやっていくの?」

 「運が良い人が来れる名店という事にして転送装置使用時にランダムで転移で良いわね」

 「そんな確率でしか行けない店流行る筈ないよ~」

 「そうかなぁ?多分ウケると思うわよ。自慢じゃないけど私の作る武具も防具も魔具も希少価値高い素材使ってるんだから」

 「うーん……まあリリアちゃんがそれで行くと言うなら反対はしないけど暇そうなお店だなぁ……」




 結論として異空間にお店を作るのは容易かったです。空間魔法のアイテムボックス内に合った素材を創造魔術でファンシーなお店らしく加工し、腕力強化を使った私が組み立てるだけですからね。この件に関しましてはまた後ほど語るといたしましょうか。

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