10話目! 古代の魔鳥
なんだかんだでロシエトに来てはや3週間……出発まではまだ最低1週間ありますね。
そういうわけで最近の私は魔具作りや魔石集めに精を出しております。少し触れたかもしれませんがこの帝国……というかロシエト周辺は寒い地方ですので街の人は基本厚着をしております。
私自身はモンスターから頂いた【耐寒】のおかげでそこまで厚着しなくても良いのですが、レイスさん商人の方達は羊毛?っぽいモフッモフのようなゴッワゴワのようなコートで本来の体型を2.5倍位したような服の着方をしているのです。
こういった理由から【耐寒】スキルを付与した魔具を作れれば売れるかなぁと思った次第であります。
魔具作成に当たり必要なものは次の3つ。
①魔石……これは知っての通りそこらの魔物からいただけるモンスターの核のようなものですね。これがないとそもそも魔具という名前のものになりません。
②母体となる基礎素材……ちょっと表現に困るのですが、魔石だけでも付与はできるのですが魔石にスキルを付与して放置すると数日で付与効果が消えてしまうのです。どうやらこの世界の大気が魔石を浄化?してしまうようで魔具を作るのなら魔石を埋め込むため外気に触れにくい付与能力をつけた入れ物が必要になるのです。実はこの素材、もともとがただの布でも構わないのです。魔力付与さえできれば良いので。まあただの布は魔力伝達物質として最悪なのでどちらにせよ効果が弱かったり持続しないのですけどね。
最後にこれがある意味一番大事な
③魔具作りの才能……というか錬金術・付与魔術・合成魔術の3種の魔術熟練度と素材を加工しうる技術もしくは工具。これがなきゃどうしようもありませんよね~あえていう必要はないと思ったのですが一応書いて見ました。
話がそれますけど魔術と魔法は別物としてお考えくださいね?魔術はどちらかと言えば魔法に属しない学問のようなもの。直接的な攻撃力を持たない類のものを全て魔術扱いしているとのことです。
錬金術・付与魔術・合成魔術は言うにあらず少し離れた聖国といわれる国には国宝として【創造魔術】なるものを封印(保管)している神殿があるとか言うし?この創造魔術は今の鍛冶・調薬・細工などの元になったと言われているとのこと。今となっては創造魔術は時代遅れとされていますが私的にはこの魔術凄く気になります!
……だって全ての製作の原型ですよ?気にならない職人がいないはずありませんよね?
速いうちに聖国でその魔術を覚えたい(盗みたい)ですね。侵入用魔具作るためにもスキル集め頑張らなきゃね!
直接害を与えないものを魔術と言いながら付与魔法で毒を付与する(という害を与える)方法はあるのですがまあ気にしないでください。
そして魔法は基本となる地水火風の4属性と光闇の2種を足した6種によって超常の現象(この世界では普通のことなのですけど)を引き起こし相手に直接的に害を与えることが可能なものですね。
基本属性は誰でも練習すれば使えるようになるのですが、特殊な光と闇魔法にかんしてはテンプレどおりには行かないようです。……というのも光だからヒューマンや亜人種であるエルフに適正があるというわけではなく、今時のモンスターさんは光魔法を余裕で使ってくる類のものがいるのですよ。闇側に堕ちた人間(名のある賊(盗賊・山賊・海賊など))に闇魔法適正が発現したりもするらしいですし……。闇って良い響きよね。私もそういうことしたら闇魔法取れるのかな……?
話が逸れだしたら止まりませんので話を戻しますね?そういうことで魔具を作るに際して3つのものが必要になるわけです。
②の素材と③の技術に関しては何とかなるのですがやはりネックは①の魔石なんですよ。
ロシエト周辺のモンスターから取れる魔石はオークと同等か少し効果が低い目ということ。こんな厳しい環境なのに魔石が思うほどいいものではないのが残念な所です。
ですので私はレイスさんに断りを入れて出発予定日3日前まで(いまは出発予定7日前ですね)アイスロックゴーレムなどがいて魔石の質が良い感じの山頂狩りに集中する為ロシエトに戻らないことを了承してもらいました。
良い魔具を作れるかもしれないと言うとレイスさんは二つ返事で了承してくださいましたし。さすが商人ですね。お金の話に繋がっていると考え、完成した場合そのこの街での一時的販売権を了承してくれと言い出しました。私としても商人たちの手管で売って貰えるならありがたいので問題ないです!
という訳で、やってまいりましたロシエトと聖国の境目にあるヴェルファーレ雪山。実はここに来る前山の麓にある小さな村に立ち寄った際(食材購入目的で入村した)一つの依頼を受けたのです。
2月前くらいから急激に雪山の気象がおかしくなったので調べてみるとコンキュートスなる古の鳥系魔物が復活しているのでそれを倒してほしいと。
何で小さな村に古のモンスターの文献が残ってるんだよ?ていう突っ込みは無しでよろしく!おそらく昔の人の言い伝えが残ってたんだよきっと!
雪山につくなり猛吹雪で前が見えません。話によるとこの吹雪の中を進めば吹雪が収まる場所がありそこにコンキュートスがいるはずだというのです。雪山全体が猛吹雪なのに鳥一羽をさがせとか今更ながら無茶振りされたものですね。
そんな猛吹雪の中でも有利なのはやはりモンスター。視界が悪い中私に襲い掛かる衝撃。
「あぅっ!な、なによもぅ!……敵?」
アイスロックゴーレムが団体さんで接近していたのに私は気づきませんでした。
雪の中に雪でできたゴーレムとか酷いですよね。白すぎて地面かモンスターか区別がつきません!
「くっ!逃げた方が良いね。こんな視界じゃ私の身が危ないわ」
素早くスキルを使いユキヒョウへ変身。下は柔らかい雪だがこのユキヒョウなら抵抗無く進むことができる。
え?何で初めから使わないのかって?それはですね変身中は凄くお腹が減るんですよ。食材を買ってから上ってきたとはいえ、雪山ではどういうことが起きるかわかりませんからね?備えておくに越したことは無いと言うことです。その結果今現在危ないのですけどね?
相手はゴーレムだったこともありすぐに振り切ることができ、気づけば猛吹雪が収まっている一画……
「あ、これ、イベントよね!」
「クゥワァァァァァァ!」
声の方向を見るとなるほど確かに鳥ですね。見た目はどういえばいいでしょうか真っ白な体で目だけが黄色。羽は大きく肉体は小さい(羽が片羽2m位に対して体が1m内くらい)。
「……なんてバランスの悪い姿なの……」
美的感覚の無い私にすらそれがだめな形であることは理解できる。
「さっさと倒しちゃいましょうか。文献どおりならオークキングと同じ強さだっていうし」
という訳で終わりました。え?描写?それなぁに?おいしいの?
私の足元には綺麗な羽毛が散らばり、赤い血がそこらじゅうに巻き散らかされております。ちなみにコンキュートスのお肉はあとで調理していただこうと思います!きっと美味しいよね?古の時代の鳥だっていうし!
コンキュートスから剥いだ魔石は確かにオークキング並みでしたね。これがあれば良さそうな個人用魔具作れるかな?
コンキュートスを討伐後解体に時間を取っているうちに雪山は元の気候になったらしいので本来の目的である魔石集めを開始しました。
1日目の結果。コンキュートス討伐。アイスロックゴーレムから75個の魔石入手。テントの魔具で就寝。
2日目。アイスロックゴーレムとブリザードモスという蛾のモンスターを乱獲し魔石を222個入手。
3日目。山頂から中腹にかけて洞窟を見つけたので入ってみたところ出来立てほやほやのダンジョンと判明。最下層が10階までだったので問題なく攻略しダンジョンコアから魔石を入手。コアから採れた魔石はできたてのダンジョンであるにもかかわらずオークキングより上であった。オーク級魔石500個程と先も述べた今までの中で最高品質魔石を一つ入手。
4日目。一応今日中にはロシエトに帰還しないといけないので急ぎ麓の村でコンキュートス討伐を報告と共に羽毛を少し納品。謝礼に金貨3枚ゲット!ユキヒョウに変身しロシエトに帰る。道中冒険者に見つかり襲われたが逃げ切った。小さな村から3000万円も貰ったらつぶれないか心配したけど私が倒さなかったら物理的な意味でも村の生命力的な意味でもつぶれていたかもしれないので安いものだそうだ。
……もしかして(報酬額的な意味で)買い叩かれたかな?
「あ~酷い目にあった!あの冒険者たちしつこすぎるんだけど!」
私はロシエトから少し離れた物陰で変身をとき町の門へ向かった。ちなみにその時足に風の魔法で傷を負わされましたが今はもう回復済みです。
レイスさんに帰還の報告を済ませた後は早速魔具作り。今回は合成魔術を使い【耐寒】付与した魔石を既存の服に合成することにした。作業は程なく終わりレイスさんに査定してもらった所「これは売れる!俺に任せろ!」と部下の商人の所へ走っていってしまった。
この日から怒涛の耐寒服製作ラッシュに追われ、狩はしていません。帰る日程も2日ほどずれましたしね。当然ながら集めてきた魔石の在庫はなくなってしまいましたが、私の取り分は金貨4枚となりました。少し前まで資金なんで苦しんでいたはずなんですけどねぇ。この数日凄く忙しかったけどあっという間に7000万円も持つお金持ちになれました。後金貨3枚もあれば白金貨ですねぇ。見ることができる日は来るのでしょうか……。
そしてとうとうアイゼングラッドの街へ帰る日が来た。護衛メンバーは来る時と同じで私、薔薇の明星、真紅の暁、後は来る時も一緒だった名前も知らない男性冒険者パーティ。
「あぁそうだ。今回町に戻るに当たって、一人追加要員がいるんだ。だけどその人が言うには戦いもできるから、自分の事は気にしなくていいとのことだが一応気にかける程度はしてやってほしい」
出発1時間前に私達はレイスさんに呼び出され新しく同行する人の相手をしてほしいと頼まれた。私達的には戦力になるならいいけど護衛の邪魔されたらたまったものではないので、全員で相談しするとなぜか全員一致で私がその人の様子を見るように決まってしまった。
「く~、皆が面倒ごとを私に押し付けたのね!もしピンチになってても助けてなんかやらないんだからっ!」
私がそういうと数人は慌てていたが、手助けをしないつもりがないことは分かっている(同じ依頼を受けているメンバーなので基本は手助けをしなくてはならない。という不文律がある)ので同じパーティメンバーが宥めていた。
「ところで言葉遣い的には女性の同行者ってことでいいのかな?」
「あぁ、そうだ。……そういえばリリアの作ったカバン……というか魔具に凄く興味を示していたぞ?」
「ふーん?魔具に?まぁどうでも良いわね」
「冷たいな~リリアは。その子リリアを探しているみたいだったぞ?同じような黒髪だったしな」
「黒髪なんて珍しくも無いでしょう?そこのハルトも黒髪なんだし」
「そりゃそうだな」
そういいながらも私は内心ビクビクだった。この世界で私を名指しで探すものなどマリアくらいしかいないと思うんだけど……。け、けっしてマリアが怖いわけじゃないよ!?
レイスさんと喋る見覚えのあるような無いようなだがしかし特徴があるような無いような(どっちやねん!)だけど100%知っている女の子。その子は同乗許可がでたことで頭を下げている所だった。
レイスさんは私のことを視界に捕らえた後手招きする、どうやらその子を私に挨拶させようとしているらしかった。私はため息をつきながらもレイスさんの下へ向かい
私はあの子と世界を超えて再会した……。
振り向いた女の子は後ろにいる私を見て眼を見開く。もちろん私も同じ顔をしていたに違いないのですけどね。
「理亜!会いたかった!」
言うなり女の子は私に抱きつき泣いている。
そのまましばらく泣いていたが出発の号令が掛かると困るので、ひとまず女の子を引き離し声をかけた。
「何でここに貴女がいるの?広美……」
蔵咲理亜 ヒューマンLV25
職業 魔狩人
体力 389
魔力 501
腕力 182
敏捷 274
幸運 91
スキル:【棒術】【鑑定】【隠れ身】【採取】【気配察知】【弓術】【魔具製作】【空間魔法】【交渉】【変身】【生活魔法】【調理】【腕力強化】【疾走】
【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【異臭(封印)】【嗅覚上昇】【分裂】【槍技】【水陸両用】【幻夢】【耐寒】【絶氷】【地獄爪殺法】
職業スキル【隠蔽】【遮音】
職業特性【追跡】【魔獣・獣特攻】