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The Story of Ark -王無き世界の王の物語-  作者: わにたろう
第三章 抗える者たち
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不意に零れ落ちた涙

 それから三日三晩、アカツキの様子は変わらなかった。悠然と広がる草原をゆっくり歩いていれば、気持ちも落ち着いていくかとも思ったが、どうやらそうもいかないようだ。

 この三日間、二人はほとんど会話を交わしていない。ヨイヤミが話しかけても、気の無い相槌を返すだけで、会話をしようと言う意思は全く感じられなかった。

 たぶん、アカツキは初めてなのだ。自らの現実が打ち砕かれるということが……。世界を見る目が変わってしまう程の衝撃を受けたアカツキは、その衝撃を癒す術を知らない。何か、外部からの刺激がなければ、その衝撃を癒すことができないのだ。

 そう思い、この三日間、ヨイヤミも必死に考えたのだが、自分が干渉することで逆に傷つけてしまうことだって考えられるため、行動できないまま頭を抱えていた。

 そして二人は、草原を抜けようやく密林にたどり着いた。この密林を越えれば、バランチアはもう目の前だ。しかし、バランチアまでの道すがら、通らなければならない最大の難所でもある。

 難所と言っても、危険な獣がいるとか、毒を持った虫が飛び回っているとかそういう類ではなく、ただこれまでひたすら草原だったのに対し、ここからは先もろくに見えない、道も整理されていない少々険しい道を行かねばならないといった理由での難所である。

 今まで食事と睡眠以外で、足を止めることなどなかったアカツキが不意にその歩みを止めた。ヨイヤミも思わず歩みを止め、アカツキの後姿を眺めていたが、アカツキが動き出す様子が全くない。

 流石に可笑しいと思ったヨイヤミは「どうした、アカツキ?」と声を掛けながら、そっとアカツキの顔を覗き込むと、アカツキの頬を一筋の涙が滴り落ちた。

 あまりにもいきなり流れたアカツキの涙に、状況を飲み込めないヨイヤミが慌てふためいていると、その理由は涙を流した本人から告げられる。


「今まで、ずっと考えないようにしてたんだ。今すぐ何か変わるわけでもないことを、うじうじ考えていても仕方がないって。でも、立ち止まったら、すぐに頭に浮かんできて……。だから、必死でここまで歩いて来た」


 それはこの三日間のアカツキの心の中の葛藤。ヨイヤミがはかり知ることのできなかった、アカツキが感じていたこの三日間。


「でも、この森を見たら、昔のこと色々思い出して……」


 アカツキの涙の理由はきっとそこにあるのだろう。この世界の現実を知らないアカツキは、きっと優しい世界で過ごしてきたのだ。ヨイヤミにだって、優しい世界はあった。今では崩れてしまって、もおう取り戻すことはできないけれど……。だから、この涙の意味を、ヨイヤミだって理解することができる。

 アカツキは涙をこらえるように、唇を噛みしめながら続ける。


「俺らの村は、平和でみんな楽しそうに暮らしてたんだ。俺は、世界はどこもそうなんだって勝手に思ってて……。でも、そんなのは幻想で……。その幻想はたった一日で崩れていった」


 それはヨイヤミもまだ知らないアカツキの過去で……。この前はその過去を遮ったけれど、今回はそんなことができるはずもなくて……。


「なんで、みんな仲良くできないんだよ。それだけで、みんな幸せになれるはずなのに」


 アカツキが口にすることは、たぶんこの世で一番難しいこと。口で言ってしまえば、何てことはないけれど、たぶんこの先何があっても成し遂げられることの無い悲痛な願い。

 アカツキはこらえきれなくなったように嗚咽を漏らし始める。ヨイヤミは、そんなアカツキの様子をただ黙ってその見続けた。


「俺は、どうすればいい。この世界は何を求めてる。こんな争いばかり続けて……。俺には分からない……。そうまでして、なんで人は不幸になるだけの戦争をやめられない」


 そんなものはわかり切っている。人という存在があまりにも複雑で、あまりにも自分勝手だから……。

 ようやく、今まで黙っていたヨイヤミが重たい口をゆっくりと開く。


「人間は、自分より下の人間がおらんと、自分を保っていられんのや。自分より下の人間がおることで優越感に浸り、自分を肯定することができる。滑稽な話やろ。自分を保つために、他人が必要なんやから。他人がいなくなったら自分を保つことすらできへん。人間は比べたり争うことでしか成長できんのや。でも、自分が成長するより、誰かを貶める方が楽で簡単や。自分で成長することに疲れた人間たちは、自分より能力の低いもんを、奴隷っちゅう身分を作ることで、貶めた。自分を保つために……」


 ヨイヤミは、人の心理を淡々と告げる。誰だって、誰かに求められなければ生きていけない。そのためには、何か一つでも他人より秀でた才能がなければならない。しかし、一つとはいえ、他人よりも秀でた才能を持つことは容易なことではない。だからこそ、人は誰かを貶めることで、自分はその者より上だから誰かに求められる、という心の安らぎが欲しいのだ。


「でも……、自分を保つために、人を貶めるなんておかしいだろ。それじゃいつまでたっても、人が生きている限り、争いはなくならないじゃないか」


 アカツキの潤んだ瞳はヨイヤミを捉え、訴えかけるように言葉が紡がれる。この世界を思い、憂うからこその涙。だからヨイヤミも真剣に受け止め、その言葉に真剣に返す。


 「確かに、それが正論や。でも、現実やない。人は他人を貶めんと、生きていけん生き物や。優越感っていうのは、思っとる以上に、人にとって捨てることのできん感情なんや。誰かより何かが秀でとる、だから自分は誰かから必要とされる。そうやって人は自分を保つしかない。アカツキだって少しぐらい覚えがあるやろ」


 そう尋ねるヨイヤミにアカツキは何も答えない。


「アカツキが言ったように争いが消えることはない。奴隷はいずれ、道具と同じように使い古され殺される。そしてまた、違う人間が奴隷にされる。それの繰り返しや。最後の一人になるまで、人間はそれを繰り返すんやろな」


 ヨイヤミはどこか遠くを見つめるように天を仰ぎ、哀しげにアカツキへと告げる。それは遠くない未来であり、このままでは避けることのできない現実であるから……。

 けれどヨイヤミの眼は死んでいない。このままではそんな未来が訪れると知りつつも、その眼には強い意志が宿っている。ヨイヤミはアカツキをしっかりと見据え直し、意を決したように告げる。


「だから僕は、この世界を変えるためにレジスタンスに入る。思い通りになるかはわからん。むしろ、誰も救えんかもしれん。それでも、僕は何もせんより、何かをして後悔したい。このままいけば確実にこの世界は滅びる。僕は何もせずにそれを黙って見てる事なんてできん。前も同じようなこと言うたけど、きっと今の方がアカツキも実感できるやろ」


 そしてヨイヤミは、その真剣な眼差しをアカツキと交わらせたまま、アカツキの肩にそっと手を置き、重くのしかかるような声音で尋ねる。


「やから、もう一度問う。アカツキ、僕と一緒にレジスタンスに入ってくれ。そして、この世界を一緒に変えてくれ」


 少しの間、無言の時が流れた。その間ヨイヤミはアカツキを逃がさないように、アカツキの肩に手を置き、その視線をアカツキに向けたまま、アカツキの返事を待った。そしてようやく、アカツキは口を開くことなく静かにコクッと頷くと、そのまま泣き崩れた。




 アカツキが落ち着いた時には既に陽が頂点を越えており、今日はそれほど進めないだろうことが予測された。それでも、行けるところまでは行こうという二人の合意により、二人は森の中へと足を踏み入れる。

 中は道がぬかるんでいたり、木の蔓が絡まったりと、これまでと比べると格段に進みづらい道が続いていた。それでも二人はお互いにめげることなく、一歩ずつ確実に進んでいた。相変わらず二人は無言のままではあるが、今はヨイヤミが先頭を行っていた。

 陽も落ちてきて、暗くなり出すと、一気に足元が見づらくなり、先を進む危険度が増し始める。そろそろ休める場所を見つけて早めに落ち着かなければ、休む場所を探すことすら困難になりそうだ。

 二人で手分けして辺りを軽く見わたすと、そこには小さな吹き抜けがあった。そこに真っ赤な夕焼けの陽が差し込んでおり、木の葉の緑と夕日の赤のグラデーションは二人の眼にはなんとも綺麗に映っていた。


「今日はここで野宿とするか」


 ヨイヤミは布袋を下ろして持っていた布を広げて寝る場所を確保する。アカツキもそれに倣えで、同じように布を広げた。二人はその布の上に腰を下ろし、半日の疲れを噛みしめながら深い息を吐く。

 やがて陽も完全に落ちて周囲が暗闇に包まれると、虫たちの合唱が始まり、昼間よりも賑やかな森へと変わっていく。けれど、アカツキはむしろこの方が懐かしく、心が落ち着いていくのを感じる。

 二人は周辺の木屑を集めて火を焚き、それを挟むように向かい合って座る。ヨイヤミは布袋から食料を取り出し、火で炙ったりしながら食べていたが、アカツキは相変わらずといった感じで、黙って座り込んだままでいた。

 アカツキの様子が気になったヨイヤミは食料を放り込むように一気に食べて飲み込んだかと思うと、咳払いをして自分の中の何かを切り替え、真面目な表情を浮かべながら、あることをアカツキに尋ねる。


「なあ、アカツキ。アカツキの故郷のこと教えてくれへんか」


 それはヨイヤミなりに色々と考えて導き出した、アカツキの心を癒すための一つのきっかけだった。この森を見たアカツキは、故郷を思い出して涙を流した。アカツキにとって故郷はとても大切で、心の中のほとんどを占めているはずだ。それを口にして語ることで、少しはアカツキの心が落ち着くのではないのだろうか、と考えたのだ。

 ヨイヤミを見るアカツキの眼は「急にどうした?」という疑問が浮かんでいた。それはそうだ。話さなくてもいいと言ったのは、紛れもなくヨイヤミだ。その本人が、聞いてくるのだから、疑問に思わない訳がない。

 けれどアカツキは特にそれを言葉にすることはなく、一度息を吐くと星々が瞬く天を仰ぎながら、懐かしむように口を開いた。


「俺の故郷は、ここみたいな森の中の小さな村だったんだ。森の中だったから、他の国との関わりはなかったけど、みんな仲良くて、平和な村だった。村人の数もせいぜい三十人くらいで、俺と同い年なんて二、三人しかいなかったよ。それでも、大人もみんな良くしてくれて、助け合いながら暮らしてたから、それを不便に感じることもなかった」


 アカツキの顔が少しずつ和らいでいく。彼には少し思いを馳せるだけで、心が休まる故郷があるのだ。


「俺には幼馴染がいてさ、女の子なんだけど、ヨイヤミみたいに憎たらしく、でもどうしても気が置けない、大切な友達だった」


 「そんな子がおったんか」とヨイヤミは相槌を打ちながら、アカツキの話に耳を傾ける。


「毎日そいつに振り回されて、家に帰るとその愚痴をじいちゃんと笑いながら話して、毎日が楽しくて笑いが絶えない生活だった」


 ヨイヤミは「そうか……」と相槌を打つものの、決して口は出さない。アカツキが全てを吐き出すまで、ただ聞くことに徹しよう。


「でも二週間前、俺の村はグランパニアの軍に襲われた」


 そこでアカツキの声音が一変する。それだけで、これから語られる話がこれまでの穏やかな話とは違うことが容易に想像できる。それでも、アカツキは話しをやめようとはしない。ならば、ヨイヤミにも、その話を止める権利はない。


「あの日俺はとても大事な人を、俺のじいちゃんを失った。生まれた頃からずっと育ててくれたじいちゃんだった。俺は両親の顔も名前も知らない。そんな俺をずっと育ててくれていたのがじいちゃんだった」


 祖父の話をするときのアカツキの顔は、これまで見たことがないような慈悲深い、優しげな表情を浮かべていた。それだけアカツキが、祖父のことが本当に好きなのだということがわかる。


「じいちゃんは村のみんなを守るために一人残ってグランパニアの軍と戦った。おかげで、バラバラになったとは言え、みんな無事に生き延びたんだと思う」


 その言葉は何処か濁されており、断言はできないといった様子だった。きっと、村の皆の安否をアカツキも知らないのだろう。けれど、大切な者の死が無駄になったと思いたくなくて、アカツキは皆が逃げ延びたと信じているのかもしれない。


「でも、俺はあの日、じいちゃんを置いて逃げ出したんだ。恐くて、恐くて、ただ尻尾をまいて逃げることしかできなかった。俺は、あの日のことを後悔している。どれだけ後悔してもしきれないくらい……」


 アカツキは顔を膝にうずめてしまう。そのせいで表情は見えなかったが、その声には軽く嗚咽が混じっていた。誰かを助けられなかった後悔は、ヨイヤミにだってある。だから、アカツキの気持ちを理解することができる。

 そんなアカツキがゆっくりと顔を上げて、潤んだ瞳でヨイヤミを見据えると、震える声で、しかしはっきりと意思の込められた声で告げる。


「だから、今度はもう、誰も失いたくない。お前も、これから出会うたくさんの人たちも……。奴隷とか戦争とか、そんな人を傷つけるだけのものは無くしたい。俺はこの世界を変える。そのために、この力を与えられたんだと思うから……」


 ヨイヤミは何も言わずに、ただ真っ直ぐに向けられるアカツキの視線を受け止め、最後に「そっか」と小さく頷くだけだった。それ以上は何も尋ねなかったし、自分の話をすることもなかった。

 二人はそのまま布の上に横たわり、寝る体勢をとっていた。アカツキは、今日は色々と吐き出して疲れたのか、身体を横にして間もなく眠りについてしまった。

 まだ眠りに就けないヨイヤミは、光り輝く夜空を眺めながら思考を巡らせていた。

 あの時、あの街を訪れたのはアカツキにこの世界の現状を知ってもらうためでもあった。奴隷を見て、アカツキがどう思うか、それを試してみたのだ。

 罪悪感はあった。わざわざ奴隷制度のある場所を選び、そしてそれを見て激怒するアカツキを、ある程度観察していたのだから……。

 でもそれは、これから自分たちがすることを、本当に理解するために必要なことだったと、ヨイヤミは考えていた。予想以上にアカツキが心に痛手を負ってしまったことを除いては、概ね成功だったと言える。

 アカツキは、自分自身で奴隷解放を目指すと言ってくれた。だから、今回のことは失敗じゃなかった。これでよかったのだ。

 ヨイヤミはそう自分に言い聞かせることでアカツキへの罪悪感を追いやろうとしていた。隣を向くと、アカツキが寝息を立てながらぐっすり眠っていた。

 そんなアカツキに、ヨイヤミはとても小さな声で呟くように「ゴメンな……」と言うと、アカツキから顔を背けるように反対側に寝返り、ゆっくりと瞼を閉じた。


 そこからは残り二日を掛けて森の中を進んでいた。全てを吐き出したアカツキは、すっかり元のアカツキに戻っており、いつも通りヨイヤミに軽口を叩きながら、ヨイヤミの後を追っていた。

 アカツキはこういう場所は慣れたものだったが、ヨイヤミはあまり森には慣れていないため、途中で何度も休憩を取りながら、二人は着々と出口を目指していた。

 そして三日目の昼ごろ、二人は木々の向こうからフッと鼻孔を撫でるように、風に乗って舞い込んできた潮の香りを感じた。その香りに二人は顔を見合わせ、晴れやかな表情を浮かべると走って木々の向こう側を目指した。

 木々をかき分けて森を抜けると、そこには一面真っ青な海が広がっていた。空と海の境目も曖昧な程に真っ青な水平線に二人は眼を奪われる。

 いつの間にか足元には砂浜が広がっており、先程までとはまた違った動きにくさに、二人は少々困惑するが、そんなのお構いなしといった様子で、アカツキは海に向かって走り出す。

 砂を掻き揚げて走るアカツキは、途中で何度か転びそうになりながらも、ようやく波打ち際へと到着する。


「すっげー。これが海か……。初めて見た……」


 感慨深そうに海を眺めながら、それ以上の感想が言葉にならないのか、アカツキは「うわぁ」とか「すげー」と、ただひたすら辺り一面を見渡して感嘆の声を上げていた。

 そして何を思いついたのか、急に腰を下ろして水をすくうと、その水を口の中に流し込んだ。その瞬間、まるで逆流するかのように「おぇぇぇぇ」と吐き出した。


「なんだこれ、塩辛くて、気持ち悪い……」


 あまりの不味さに涙目になりながら、アカツキは必死につばを吐き捨てる。


「当たり前や、海の水は全部塩水やで。そんなんも知らんのか」


 そんなアカツキを見て、ヨイヤミはいつもの軽口を叩きながら笑った。あの時とは打って変わって元気なアカツキを見て「よかった」と呟くと、アカツキが耳ざとく聞いていたようで、ヨイヤミに向けて尋ねてくる。


「ん?何か言ったか」


 しかし、ヨイヤミもこのアカツキの笑顔をが見れればそれだけで十分なので、それ以上の言葉は次の機会に残すために、喉の奥へと飲み下す。


「なんでもないわ」


 そう……、もう何でもないのだ。これ以上彼の心配をする必要はないのだから……。

 二人は一通り海を堪能したあと、浜辺に沿って歩いていた。そしてその視界の先には、大きな塀に囲まれたいくつもの建物が微かに見え始めていた。


「あそこに、でっかい建物が見えるやろ。あそこがバランチアや」


 ヨイヤミが指差す方向にアカツキも視線を向けると、確かにこれまでと比べると、国というのがしっくりくるような、立派な街が見える。


「やっと着いたのか。アルバーンを発ってから一週間、ようやく到着かぁ」


 バランチアは、大きな円状の塀に囲まれており、街の構造は円錐状になっている。入口から、中心に向けて段状になっており、上にいくほど身分が高いとされているらしい。中心には、王が住まう宮殿があり遠くから見ても宮殿の大きさははっきりと理解できる。


「まぁ、今日はゆっくり休んで、明日からレジスタンスの隠れ家を探すことにするか」


 その言葉にアカツキは疑問を覚えずにはいられない。『明日からレジスタンスを探す』って言わなかったか……。


「えっ、レジスタンスの居場所ってわからないのか」


 そんなアカツキの問い掛けに「何を言っとるんや」とあきれた表情を浮かべながら、ヨイヤミは告げる。


「当たり前や、あくまでも反乱軍やぞ。色んな国から身を隠さなあかんから、そんな簡単に見つかる訳ないやろ。まあ、あそこにおるのは間違いないんやし、そのうち見つかるやろ」


 これから探すというまさかの事実に、本当に何時になったら目的が達成できるのやらと、アカツキは深い溜め息を吐く。


「そんなんで大丈夫かよ……」


 そんな感じで二人は目の前にそびえ立つ、バランチアを目指して歩き続ける。二人の背後には仲良く並んだ足跡が、ずっと真っ直ぐに続いていた。

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