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空色サプリ  作者: おじぃ
茅ヶ崎の夏休み

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いろいろ観察してみよう!

 カチッ、カチッ、カチッ……。


 枕元の秒針が刻むビートで目覚めた午前5時。夜が来て、朝が来て、その先に期待することはいまのところ見つかっていないけど、とりあえず新しい一日の始まり。薄暗い部屋の天窓からはくっきりと白んだ空の色が切り取られて、小鳥のさえずりが聞こえる。


 大きなおおきな空、その先にある宇宙。


 わたしの頭上に確かにあるそれを想像したとき、きのう一人で抜け出したときに見た江ノ島からの眺望が思い起こされた。


 緑のカーテンの下に広がるまあるい海。そこから見上げた空も、ここから見上げる小さな空も、同じく宇宙へつながっている。


 宇宙といえば宇宙飛行士。ここ茅ヶ崎は二人の宇宙飛行士を輩出していて、何年か前に駅北口の大通りで凱旋パレードがあり、それを私や彩加ちゃんも見に行った。


 そしたらわたしは、宇宙へ届く歌を奏でたい。歌というとこれまた茅ヶ崎にはいろんな名音楽家がいるけど、私は私の歌を届けたい。


 すごい人がたくさんいるこの街でならなんでもできそうな気がしてきた、そんな朝、一日の始まり___。



 ◇◇◇



 散々海で遊んだ土日が明けて、月曜日。


 いつも通りサザンビーチ周辺を散歩して、朝の静寂の中、穏やかに打ち寄せる波と、朝陽を浴びるサーファーとカモメに、朝もやのかかった江ノ島。東海岸まで歩くと、今朝もボードウォークのベンチにちょこんと座ってスケッチをしている黒髪ロングで清楚な雰囲気のお姉さん。


 うんうん、きょうも茅ヶ崎はいつもと変わらない!


 これまでわたしはいつも誰かといっしょじゃないと落ち着かなくて、わいわいがやがや騒ぐのが好きだった。それはいまも変わらないけど、きのうの江ノ島で単独行動の面白さに目覚めてしまったのでした!


 歴史はちょっとずつ移ろうけど、日常生活では特にこれといった変化のない日々を繰り返している。


 朝起きて、学校に行って帰宅して、音楽やって寝て、長期休暇はどっか遊びに行って。


 彩りに満ちた湘南を、わたしは広く浅く知っている。でも彩加ちゃんは広く深く知っていて、いつもホクホク幸せそうなオーラを放っている。


 うーん、従姉妹で見識に差がつきすぎてないかな? とアゴに人差し指を押し当てて首を傾げたりする。


 おっかしーなー、同じ街の同じ地域で育ったのに、これはわたしに何か問題がある。


 彩加ちゃんは本当にいろんなことに気付く。市内を走る路線バスの何号車が新車に替わったとか、自販機で売ってる商品のラインナップが2種類変わったとか。


 いやほんと、あの子の観察力はすごい。


 わたしが気付くのなんかボロボロのお家が建て替えられたとか、まだ築十数年のお家が解体されたとか、桜道さくらみちのお弁当屋さんがサーティワンになって、今度は別のお弁当屋さんになったとか、誰でも気付くようなことばっかり。


 よし、きょうからちょっと、いろいろジロジロ観察してみよう!

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