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空色サプリ  作者: おじぃ
江ノ島

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42/70

江ノ島上陸!

 すっかり太陽が頂点からギラギラと街を照らすようになった頃、私たち五人は江ノ島に上陸していた。


 江ノ島は私たちが住む茅ヶ崎市の東隣、藤沢ふじさわ市に浮かぶクジラのような形をした南北横長の島で、本土とは『江ノ島大橋』という歩道と車道が並行するコンクリートの橋でつながっている。


 昼間から夕方にかけては観光客でごった返し、進むのも困難だけど、朝早くに行けば歩いている人は殆どいないからスイスイ進める。夏休みの気が向いたとき、私はお家からここまで片道45分のサイクリングに出かけている。響ちゃんのお家からは30分くらいだからちょっと羨ましい気もするけど、私のお家の近くにあるバスの営業所脇を流れる川に架かる橋でしばらく鯉を眺めてから行くのも個人的には楽しい。


「電車で来ると遠くまで来た感じするなー」


 今日は五人行動だから、自転車で隊列を成しての行動は迷惑と判断し、電車で来た。


「そうね。東橋くんがリヤカーを引いてみんなを乗せてくれれば良かったのに」


「あっ、それいいね! なんで思い付かなかったんだろう」


「5万くれたらやるぜ!」


 大騎くん、秋穂ちゃん、響ちゃんの応酬を見上げながら、木々生い茂り薄暗い蝉時雨の石段を上ってゆく。私と望くんは三人の一歩後ろに黙って付いている。無意識のうち、ハキハキ組とのんびり組に分離された。


 そこを上りきると、通路脇に広く取られたパンジーなどが咲く花壇スペースと、鎌倉方面の海や街を見渡すウッドデッキが隣接している。花壇スペースにしゃがんで「かわいいニャー!」と、くつろぐ中肉のどらネコちゃんにかまっていたら、ハキハキ組の三人に引き離された。


「あの、追いかけなくていいんですか?」


 と私に問いつつ、望くんもネコちゃんの頭を撫で始めた。ふふふー、このハンディーサイズでガシッとフィットする頭の感触がたまらんニャー。


「うーん、どうだろう」


 人通りが多く先を見通しにくいこの江ノ島で、先をゆく三人の姿は見えない。


「そうですか~」


 マイペースな人だなと、望くんが私に呆れているのがなんとなく読み取れる。けれどきみもネコちゃんと触れ合えてご満悦そうに見えるな。ほら、頭を撫でていた右手を顎にシフトして、人差し指で撫でている。ネコちゃんは気持ち良さそうに目を閉じて、顔を上げている。


「そうだね。待たせちゃ悪いもんね。じゃあにゃネコちゃん、そろそろ行くにゃ。またにゃん」


「ニャウー」


 察したのか、ネコちゃんは自ら私たちのもとをのそのそと離れ、数メートル離れた通路の隅に立ち止まると、後ろ脚で首を掻き始めた。鈴なり式に、その物真似をしていた今朝の響ちゃんを思い出す。


「さ、行こうか!」


「はい。あイタッ! 後頭部に何か当たった!」

 お読みいただき誠にありがとうございます。更新が遅くなり申し訳ございません。


 今回の舞台は江ノ島ということで、拙作では『さつこい!』以来の描写となりました。


 本作を執筆するにあたり、江ノ島を散策してまいりましたが、実際に足を運ばないと気付かないようなことも取り入れてゆきたいと思います。

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