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第二十二話 政治ふたたびあらわる

第二十二部 政治ふたたびあらわる


 山上のイワコトサキ岩に向かう途中の深い森の中に、誰が建てたのか、いくつもの祠を目にした。うっそうと茂る樹木の間には、すさまじい霊気が漂っていた。誰もいないのに、じっと誰かに見られているような視線を感じて、なんども背筋がぞくぞくした。

 なぜ人々は、わざわざこんな得体のしれない山の中に、修業の場を求めたのだろう。捨て身の覚悟で、その結果、なにをつかみとったというのだろう。

「あれが、闇駆け、最終ポイントのイワコトサキ岩」

 見上げると切り立った崖の上に、いつころげ落ちてきても不思議でないような大きな岩がのっていた。人の横顔でいうと、おでこだけがぼこっと飛び出している感じ。

「あの岩の上から、足首をつかまれて谷底をのぞくんだよ」

 ヒロがなつかしそうに目を細めた。高さ三百メートルはある。想像しただけで、気分が悪くなった。

「ここからもう少し行ったところに、沼があるんだけど、リュックがあったのはそこなんだ」

 沼? ふといやな予感がした。

 空気が急に湿り気を帯びたような気がした。そのすぐあと突如樹木のはえていないひらけた場所に出て、草むらの奥に沼が見えた。

 胸が激しくざわついた。

 いやな予感はますます大きくなっていく。

 そのとき、何かがひゅんと耳もとをかすめ飛んでいった。ひやっとして、後ろを振り返った。

「政治!」

 湿気た空気をまっぷたつに切り裂くようなエリカの声が山に響きわたった。


 




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