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TILE6-12 「悲劇」から「喜劇」

「…………っ!!! いい加減にしないと打つわよ。球はちょうど1つ。舞菜は無理だったけど、祟りの親元を殺せば、少なくとも相応(ふさわ)しい(むく)いを受けるはずよ…!!」


夢はこちらに銃を向ける。

彼女の目は如何にも血狂っていた。本気、今の彼女に相応しい。


「打ちたきゃ、打てば?……但し。次100年、苦しい思いをするのは…………貴女なのよ?」


「意味が、解らないわ。」


落ち着かないのか怖いのか。銃が小刻みに揺れる。

それを見てか、「もう、いいですよ」と優が呟いた。


「姉さん。もうやめて下さい。こんな事しても無駄です。現実は、何も変わらない……。多くの人の命を奪った事には変わりないんです。僕らが、3歳の時。連続殺人も終焉を迎えました。なのに、2人はまだ引きずって…。みっともないですよ!?…………今なら、やり直せるんです。こんな事は………、多くの人の命を、人を傷付けるのは、もうやめて下さい……!!」


「………っ」


「………優の、言う通りだ。」


何時も以上に目付きを悪くした飛夜理が言った。


「あとは、お前の選択次第だ。」


彼女は黙って座り込んだ。

そして、後ろで黙ってた舞菜が彼女に手を出した。


「ねぇ、お願いだからさ。もう、こんな事は辞めよう…?」


「ま……舞菜?」


「お願い………お願いだから……」


彼女は舞菜の手を取り立ち上がる。

すると、ふぶきが、「どうするのです。逃げますか?償いますか?」と彼女に問う。

その答えとして彼女は「償うって、どう…?」とぼやく。さぁ、とふぶきは首を傾げ、まだ話を続ける。


「人それぞれですね。でも人殺しに相応しい償いがある。その償い方によって、何十年も(かか)るでしょう。下手をすれば、一生。どれだけの人の命を背負うか。どれだけの人の悲しみ、苦しみが自分の背に乗ってくるか。それを考えて行くべきですね。この村にはそんな罪を裁くことなんて出来ないけれど。…………貴女次第ですね。」


………そう言ったふぶきの目は優しかった。

そして、彼女の目からは大粒の涙が溢れる。手に力はなくなり、がしゃんと少し重い音がして落ちた。

それから、彼女は謝りながら泣いた。


・・・・・・・・・・


その日、真吾にも事情を話した。

…私の長かった戦い、「惨劇」も終わった。

その惨劇は悲しい「悲劇」によって引き起こされたもの。

でも、今となっては、それはもうかれこれ三年ほど前のお話。

あの日の償いは、「殺した人を忘れないこと」。

つい一年前まではニュースで話題になっていたが、今は反対に喜劇の村になろうとしていた。

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