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TILE6-7 もう一人…

着いたのは、村のはずれの神社。

物陰に隠れて舞菜らを目で探す。


「愛歌、見つけた。」


飛夜理が小さく呟いた。

あっち、と指す先は優と舞菜の後ろ姿だった。

そこで二人は何かを話している。

……………よく、聞こえないが。


「もう少し近づけないの……」


「草むらだし。少しは近づけるんじゃないか?」


そうね、と返事を返し、そうろと着いて行く。


「ごめんなさい。舞菜さん。」


「え………?」


優しい彼の雰囲気ではなかった。

その時、「舞菜!!優!!」と叫んだ。


「愛歌……!?」


舞菜がこちらに気づいて声を出す。

しまったという気持ちと、これから変わるかもしれないという気持ちがあった。


「あらら……。余計な邪魔が……。」


優に関しては…………。全くの別人だった。

目は赤黒くなっていた。それも充血とかじゃなくて。本当に黒目が赤くなっている。

手元には普段持ち合わせない薙刀を構えていた。


「これさえ終われば、全て終わるのに…………」


優はそう呟くと下唇をくっと噛んだ。

私は、持ち合わせの刀を出した。


「薙刀。どうするつもり」


「さぁ、どうすると思いますか!!」


優は薙刀(なた)を大きくふりあげる。

それを私はとっさに刀を盾にする。


「……………!」


優の薙刀の刃は大きく回転しながら宙を舞い、地面に落ちた。

そのまま、弾くと優はふらふらと後ろにこけた。

その傍に小型銃を片手に飛夜理が近付く。


「優、どういう事だ。」


「さぁ。俺に聞かれましても。」


やっぱり、今日の優は違う。一人称からも。

向きになったのか飛夜理は銃を近づける。


「答えろ。」


「ま、俺が話さなくとも、今日には全て起こるでしょう。」


「は……?」


「アンタがその銃を発砲すれば俺も優も死ぬさ。」


私はなら、と思い、優の耳元に刀刺した。


「何がしたいんです?」


「本物の優を殺さずに偽物を殺せばいいんでしょ。出来るわよ。」


私は飛夜理から銃を貰うと優の横腹に向けて発砲した。


「本物が好む、平気なものは偽物は平気じゃない、好まない。」


横腹からたらたらと真っ赤な血が流れる。

それを見れば人間焦るはずだか本物の優は他人に今と同じことが起きれば焦る、でも自身に起きてもどうも思わないのが彼である。


「く…っ。」


そのまま、出血の多さの貧血だろう。彼は気を失った。

優を神社の本殿に連れていき、混乱する舞菜を落ち着かせ、手当をした。


「今日……。朝から優は可笑しかったんだ。」


「朝から?」


「うん………。」


そうか、と目をそむける。

優は目を覚ましたのか「僕…一体……?」と呟きむくりと体を起こした。


「優、さっきまでの事覚えてないのか?」


「はい……。」


しゅん、と優は顔を暗くした。そして、横腹の傷を見て、「あの… 」と何か気づいたように声をかける。


「まさか、『もう一人の僕』がなにか…しましたか……?」


………?『もう一人の優』……?

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