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TILE6-4 気休めの呪文
「ら……羅依さん........!?」
手には縄。それこそさっきのおじさんの首を締めるにはちょうどいいくらいの縄。手には小型銃。
「なぁに....?愛歌ちゃん。」
お淑やかな声に笑顔。少し怖い感じがした。
「な....なんで、羅依さんが........」
「ふふ、そんなに怯えないで?」
羅依さんは私の頬にすっと指を触れた。
怖い、それだけではない。殺される、とも感じ取れる。
「愛歌!」
「....あらあら。愛歌ちゃんのお友達....?ふふ、とんでもないお邪魔が入ったわね。」
そう呟くとくるっと反対を向いて歩き出した。
....怖い。人を殺した、おかしな目だった。
「大丈夫、か?」
「飛夜理....。なんで....?」
「ふぶきが焦ってたからいわれるがまま来たんだが。」
そんな彼の後ろにはふぶきらの面影なんてない。私は首を少し傾げた。
「大丈夫、大丈夫。」
「....」
優しく頭を撫でる。呪文の様に言う、「大丈夫」。安心出来る大丈夫だった。
私はまだこれから何がおきるかなんて、知る由もない。だから、こうして気休めが欲しかったのかもしれない。