TILE6-3 止めて下さい。
暫くすると屋台の並ぶ通りについた。
明るくて、綺麗。の一言につきよう。....と言うよりは、その一言しか私には思いつかなかった。
「あ!!見つけた!」
「おう、舞菜か。」
その飛夜理の声につられ、私も後ろを向く。
「いやぁ、私も探しちゃったじゃん」
あはは、と舞菜が苦笑い気味に呟いた。
すると、突然叫び声がした。女の人の高い叫び声。それこそ、サスペンスの第一発見者が出すような────────・・
私達は声のする方へ行った。
それほど先程のいたところからはそうも距離はなかった。
「な....っ!!」
倒れていた人は、見覚えのある人間だった。
飛夜理が、「あ....おじさん....!?」と声にもなってるか本人にもわからない声だった。
そのおじさんは首に縄の後のようなもの。そして、何らかのショック死で合ったように、目が開いていた。
........................まただ。また人が死んだ。
ふっと後ろを向くと草影に隠れるふぶきが見えた。私は普通に見ているだけの彼女にムカついた。
草影に行くと彼女の胸倉を掴んだ。
「........なんでよ。なんでなのよ!!なんで貴女はそうじっと見ていられるの?!私は今にも可笑しくなりそうよ!!どうも出来ないのに足掻いて足掻いて。現実と戦えだ?それはそっくりそのまま貴女に返すわ!!確かに私は今迄逃げてきた!!でも今はこうして戦おうとしてる!!貴女はどう?!!全くじゃない!!それでも神だって言うの!?なんとか言って見なさいよ!!!ふぶき!!!!」
はぁはぁと息を切らす。
ふぶきはゆっくりと顔をこちらに向けた。
「それは、己も一緒なのです。下手をすれば己という人間は貴女を上回る年になっています。でも、なんにも出来なかったのは愛歌と一緒。そう見えるも無理もないです。」
パンッ。
私は空いていた左手でふぶきの頬を叩いた。彼女の頬は赤くなり泣きそうな目でこちらを向いた。
「なら....................一緒に戦ってみなさいよ。」
「え....?」
「どうして貴女は、『己も一緒に戦います 』と言えないの?馬鹿なの?言える口があるんだから、言ってみなさいよ。ほら」
彼女の目には透明な涙が溜まる。そして、情けない声で、
「じ........己も........た、戦いまひゅ....うぅ」
....呆れた子。と思いながらも彼女の白い髪を撫でた。
「........よく言えました。ほら、人型は?」
私が胸倉から手を離すと彼女は黒いリボンに白いセーターの制服になって再び私の元に現れた。
そうしていると黒い服装をした人が走って行く。
「....!!愛歌、今の人、追ってください。急いで!」
ふぶきが真剣な顔をして言った。
「ちょ....あの人がなんだって言うの?」
「もうすぐです。」
「ふぶ………」
「説明なんて後です!!止めて下さい!!」
意味がわからなかったが、「ごめんなさい、少しよろしいですか?」と声をかけた時、振り向いた顔は............
「!!」
「羅依さん。ですね。」
その名の通り、私の知ってる羅依だった。
どうしてふぶきが止めろと言ったのかも、意味がわかった。