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TILE6-2 火に油

次の日はあっという間にやってきた。


「舞菜は?」


「演舞よ。私ももうすぐよ。」


そうか、と飛夜理は笑った。

「じゃあね」と手を振ると向こうも振り返してくれた。

二日目には演舞があり、三日目に灯篭流し。

....しかし、こんなに平和な秋祭りは何時振りだろう。何度か見なかった世界。


「愛歌ちゃーん。」


役員のおばさんに呼ばれ、私は舞台の方へ走った。

───────

いくつかに分ければ世界は運勢。例えば【不運】【幸運】。人生、【幸せ】【不幸せ】、自分の【夢】【現実】の大きくわけ、3つ、細かくして6つに分けられるだろう。

私は今、どちらにいる?そんな事を考えて今生きている。でも今ならはっきり言える。私は今、【幸せ】だ、と。


そろそろ演舞の時間だ。

まだ午前中の明るさであり、舞台の上から見る光景はいつもとは違って、明るく見える。

──────────

5分もあったかわからない、演舞。

舞菜と合流したら二人で飛夜理の方へ向かった。


「ただいま〜!」


「お疲れ。はい」


すっとパックに入ったたこ焼きを差し出してきた。

たこ焼き屋のおじさんがくれたそうだ。


「ありがと〜。結構あれ、お腹空くんだよねー。ね、愛歌ー」


「そうでもない....けど」


別に今日も変わった事が起こらなかったのが何よりもよかったからあまり空腹感も感じない。


『愛歌、これから何も起こらないなんて思ってはなりませんよ』


「....」


火に油....とはこのこと?

そう考えながら、私は、彼女らと話していた。


「誰も死なせない」


そう、無音で呟いて。


大好きな世界を崩させたりはもうしない。大好きな人を失いたくないから。大好きな村を失いたくないから。


気が付けば朝が来た。

いつ寝たんだろう。わからないけど、今日も楽しい日がやってきた。

ちなみに今日は灯篭流し。死者を天国まで送るための道しるべを作る。

その行事は夜なので、昼間は一日目同様、下界の祭りと変わらない。


フラフラと舞菜を探しつつ、飛夜理と会場を回っていた。


「た、助けてくれー!!」


男の人の悲鳴が聞こえ、声の方に走って行った。

声の先に着くと小柄なフードを被った人が包丁を男の人の首に突き付けていた。フードを被った人は私らの到着に気づくと茂みに消えていった。


「大丈夫ですか?!」


「あ、あぁ。ありがとう。」


良く見ると男の人は割と歳の様で、()け気味な顔に見えた。

おじさん(それより老けていると思うがこう呼ぼう)はぺこりと頭を下げたら道をたどって行った。

それから飛夜理と顔を見合わせ、首を傾げて「まぁいっか」と会場の方へ戻ることにした。

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