TILE5-2 銃口と村の取締り(ルール)
「おぉい。どうした?」
飛夜理が顔を覗き込んでくる。
急いで顔を背ける。ちらっと後ろを見た。
飛夜理はきょとんとしていた。
「な....なんでもない!」
あれま、と言葉を零す飛夜理。
私は余計に赤くなる。
なんでだろうか。なんなのだろうか。
馬鹿らしい....
「でさ、聞いてもいいか。....此処には銃刀法ってのはないのか?」
「銃刀法?なんだそれは。聞いたことないぞ」
やはりな....と飛夜理は項垂れた。
事実上....知らないわけが無い....
この村では銃や刀、武器関係を普通に持っていても可笑しくない。
私も実際、刀を時たま持ち歩く。
「やっぱり....馬鹿なのか」
「え、なんか酷い....」
飛夜理はえ....と悲しいそうな目をする。
まぁ、いい。こいつの事だからな。
さぁ、銃刀法の話に戻そう。
下界の人間からすればおかしい所だと思うだろう。
此処には下界の法律など通じはしない。
村には村のルールがある。第一、村人以外が村の中に現れる事が少ないから最近は皆用心に刃物や刀や銃を持ち歩くことは少なくなった。
昔は村の中に下界の人間が現れる事が多かった。
そのお陰で争いもそれなりに多かった。
「だからか。愛歌が大体刀を持ってるのは....」
「ええ。....てんまが、銃を渡してきたのなら、持っておく事をお勧めするわ」
「え....あ....」
「大丈夫、下界に行く時は家に置いておけば、ね」
ホッとした飛夜理の表情。
村は平凡な様でそれは表の顔だったりする。
裏の顔は....下界の極悪人たちと元いる前人民族....の村。
実は飛夜理もその血筋の1人。
坂下家は言えば、銃口の使い手だった。
「大丈夫よ。飛夜理に危害は加わらない筈よ。下手な動きをしなければ....」
私はそう告げてその場を後にした。