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TILE5 序章
じゃり、となる砂の音。
足で踏む地面の感覚。
草の香り、もみじの色、空の色。
舞菜の両親が舞菜に祭囃子を教える
村独特の伝統があるからだ。
私は笹草を抱えて走ってた。
急ぎ足で。向かう。
祭囃子が鳴って、
人ごみの中をよけて走る。
あたふたとしているためか、
足がもつれそうになりながら走る
袋に溢れそうな笹草を抱え直した
そして、私は目的の場所に辿り着く
息を荒くして、また走った。
地面を蹴って。
彼の名を呼んで。
「遅れてしまったかな?飛夜理」