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空の下で夢を見るー正義と言う名の答えー  作者: 心井菜城愛
さぁ、始めようか。宴を....
13/46

TILE4-12 最後の願い

その日の夜の事だった。

いきなり異臭がして目が覚めた。


「なんだ....げほっ」


苦しい....体が重い....

這い蹲って、玄関へ向かう。

家族はみんな眠ってる....起こす気力なんてなかった。力なんて、なかった。

よなっとした体力で必死で歩いた。山を抜ける体力もなかった。ただ、一台車があった。


「飛夜理くんかい?どうかしたか?」


濱....崎....さん....

朦朧とした意識の中、何かを伝えようとしたが何も伝わらない。

そのまま、視界は真っ暗になった。


「飛夜理くん?飛夜理くん?!しっかりするんだ!もしかしたら....」


そんな濱崎さんの声だけが、俺の聞こえた限りの最後の言葉だった。


──────────────


あの後....俺は死んだのか....?

いや、こうして意識は....ある。

生きてるのか?


「災難でしたね。村の中には彼の御家族も....」


「えぇ。毒ガスで殺された様です。ほかの人々も同様に。」


....!?殺されたって....!

他って....舞菜や優たちも....?


「....濱崎さん?」


「飛夜理くん。目が覚めたか。」


「あの....」


「御家族....も平井さんも....ただな、空下家だけは遺体としても村にいた形跡もなかった」


空下家が....?

それ以外、意識が朦朧とし、考える事すら出来なかった。


「大丈夫ですか?」


先生の声だけにこくり。と首を上下にふる。

そうか....そうか....

一つ一つが理解されるんだ....

みんな....仲間は....みんな....

死んだ....そうか....死んだのか

妹も....家族も。


「仕事に戻らなければ....では先生。」


「はい。」


「それではな、飛夜理くん。また明日来るよ」


俺はそっぽを向いた。

なんだか、この人が嫌味たらしくて嫌だった。


先生も病室を出たら俺は一人で星空をみた。

すると、キラリと流れ星が光った。

なんだっけ....愛歌が、言ってたこと....

もう一つ、キラリと流れ星が流れていく。

その時、ひとつだけ、願い事をかけた。そして、朦朧とした、意識の中....ベッドに寝転んだ。


「坂下くん、大丈夫?」


女性の、声....

ひとつだけ、願いを掛けたけど....俺はどうやらもう無理そうだ。


「坂下くん!先生!!様態が!」


「しっかりして下さい!!二人目の死者を出す前に手当を!!」


ふた....りめ....?

分からなくなる。また意味が分からなくなる。


「───!────!!!!」


声が遠くなる....

....最初で最後の願い....聞いてください。


「....で....また....に。」


そのまま、俺の意識はなくなった。

ただ、暗闇の中に....周りの声だけが響く....


人は一番最後に耳の機能が停止する、と言うが....本当なのだな。

そのうち、俺の脳の機能も停止する。

息は....止まった。体は言う事を聞きそうにない。

あぁ、人は....最後になると....

いいや....考え、ないで、おこ、う....


俺は....覚めることのない、眠りについた。

そして、最後に、願いは届く、だろうか....



『来世で、また仲間達と会えますように』

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