新たな力と運命の始まり
R15のようなものから少し無理矢理な話など、今回は色々詰まってます。因みにずっとアヴィスsideです。
アヴィス「あれ?二人がいない?」
マリア「え?あ、ほんとだ・・・」
あの後ダッシュで集合場所に来たが、肝心の二人はまだここに来ていなかった。
アヴィス「おかしいな・・・場所間違えたなんてことはないだろうし・・・」
マリア「とりあえず、もう少し待ってよっか」
アヴィス「そだね」
リリサ「・・・」
アヴィス「ん?どうしたリリサさん?」
とりあえず近くのベンチに座ろうとすると、リリサが何かを睨んでいた。
リリサ「・・・マリアさん」
マリア「え?なに?」
マリアを睨んでたのか?でもなんで・・・
リリサ「結構・・・胸が大きいんですね」
マリア「え!?///いきなり何を・・・」
・・・聞こえなかった。聞こえなかったと思いたいぞ。僕は。
むんずっ
ん?今の効果音はなんだ?
マリア「ちょ!///リリサ姫、やめ・・・///」
リリサ「羨ましい・・・どうしたらそんなに大きくなれるの?」
なんか隣で大変な事が起こってるぅぅぅ!?
マリア「あ・・・アヴィス・・・助け・・・て・・・!///」
アヴィス「すまんマリア!僕はそっちを向けない!」
僕は精一杯明後日の方向を向いて耳を塞いでいた。いくらなんでも今マリアの方向を向けない!
でもいくら耳を塞いでも微かにマリアの喘ぎ声が聞こえてしまう・・・くそ!自分の地獄耳が恨めしい!
マリア・アヴィス「(誰か助けてぇぇぇ!!!)」
マリアの叫びと僕の (心の) 叫びが一つになった。
???「やめんかリリサ!」
リリサ「いたっ!?」
そして救世主が現れた。
アヴィス「は、ハインさん・・・」
彼女の兄、ハインさん。・・・目隠ししてるのはこの状況を凝視しないようにする為だろう。
目隠しか。懐かしいな。よく訓練でしてたっけ。・・・今思えばそれで直ぐ解決できたんじゃ・・・
ハイン「全く・・・行方不明になったと思えばまた誰かの胸を揉んで・・・」
リリサ「うぅ・・・前者はごめんなさい・・・」
ハイン・アヴィス・マリア「「「後者も謝れ(謝って)よ!!!」」」
おお、見事にはもった。
ハイン「・・・でもよかった・・・無事で・・・」
リリサ「怖かった、お兄ちゃん・・・」
ハイン「そうか・・・」
そう言ってハインさんはリリサさんを抱きしめた。やっぱりこういうところは兄妹らしいよね。
セリーナ「・・・お姉さんを忘れてない?」
・・・
一同「「「「ごめんなさい」」」」
セリーナ「せめて誤魔化してよ!悲しいから!」
ごめんなさい。咄嗟に嘘はつけません・・・
アヴィス「にしても・・・何かあったんですか?約束より少し遅れてましたが・・・」
ようやく本題を出した。
ハイン「あぁ、それなんだが、少し前ここで待っていたら銃声が聞こえてね・・・二人でそこに向かっていたんだ」
あの僕が撃たれた時か・・・
マリア「ということは入れ替わりになったわけなのね」
ハイン「そういうことになるな。まぁ、セリーナさんが何故か縛られてた盗賊に追撃をくらわしていたから遅くなったんだけど・・・」
・・・それ僕が縛った盗賊だよな。てかセリーナさんなにしてるの。
セリーナ「いやぁ、アヴィス君がやったんじゃないかと思ってねぃ?」
アヴィス「・・・まぁそうですけど・・・ところでその盗賊はどうしたんですか?」
ハイン「とりあえず近くを通った兵士に任せた」
即刻牢屋行きだろうな・・・仮にも一国の姫を狙ったわけだから・・・
ハイン「ところでふと気になったんだが・・・」
マリア「どうしたんです?」
ハイン「いや、ひょっとしたら僕の勘違いかもしれないんだが・・・僕一人で聞き込みをしていた時よりも女性とすれちがった回数が減っているような気がするんだ」
マリア「・・・!ねぇ、アヴィス、私達が聞き込みしたの、て・・・」
アヴィス「あぁ・・・殆ど男性かお年寄りだったな・・・!」
まさかあいつらの狙いは姫ではなく単に若い女性だったとか・・・?
ハイン「兎に角一度城に戻ろう!父さんにこの事を伝えないと!」
アヴィス「そうだな!・・・城の方角、てあっちだっけ?」
マリア「向こうだよ!そっちは街門の方だよ!一度行った事あるところでしょ!?」
方向音痴にそんな事言わないで・・・(泣)
ハイン「と、兎に角走るよ!」
・・・なんか走ってばっかだな。僕ら。
アヴィス「ところで今思ったんだが・・・」
リリサ「どうしたの?」
アヴィス「・・・ここの国民でもあるマリアやセリーナさんは兎も角、余所者の僕は王室に入っても大丈夫なのか?」
ハイン「大丈夫。僕らの父さんだから!」
何故かそれで納得出来る僕が怖い。
兵士「は、ハイン様!大変です!」
なにやら慌てた様子で兵士が駆けつけた。
ハイン「どうしたんです?」
兵士「牢屋が何者かによって荒らされた模様!何故か盗賊を捕らえていた牢屋だけが被害にあいました!」
ハイン「くそ!仲間が乗り込んだのか!?」
流石は略奪のプロ、潜入はお手の物か・・・
兵士「他の罪人はそのままですが・・・このままでは街が混乱状態に・・・!」
ハイン「分かった!今から父さんに用事があったからそれも伝える!あなた方は街の警備にあたって!彼らは恐らくだが若い女性を狙っている!」
兵士「仰せのままに!」
兵士は猛ダッシュでその場を去った。
ハイン「僕らも急ごう!このままでは危ない!」
僕ら全員が頷いた。
コンコン
ハイン「父さん、今いいですか?」
???「ああ」
ハイン「失礼します」
扉を開けると王座に大きな人が座っていた。彼が王様なんだろうな。隣にいるのは大臣かな?
???「おお!リリサ、無事だったか!」
リリサ「お父さぁぁん!」
リリサさんが王様に抱きついた。
???「あなた方がリリサを見つけてくれたのかね?」
アヴィス・マリア・セリーナ「「「あ、はい・・・」」」
やばい。緊張する。マリアもセリーナさんも同じのようだ。
???「国の主として、この子の親として、礼を言わせてもらうよ。ありがとう」
・・・そういや僕王様の名前知らないんだっけ・・・
マリア「彼はレギン=フォルバ=エストリア皇。この国の王様よ」
小声でマリアが教えてくれた。助かる!
レギン「ん?君は確か剣舞会にいた・・・」
アヴィス「あ、アヴィス=ハーヴァンです・・・」
やっぱり王様も剣舞会を見てるよね。
レギン「ふむ・・・ハーヴァンか・・・」
きっと思い浮かべているのは僕の父親の事だろう。
ハイン「そうだ、父さん、今国が大変なことに・・・」
レギン「知っておる」
え!?知ってる、てどういうこと!?
レギン「感覚でな・・・なんとなくだが、空気がピリピリし、重くなっている感じがするのだ・・・」
一種の能力なのかな?
レギン「とはいえ、流石に細かいことは分からぬがな」
ですよね・・・分かったらそれこそ超能力者だよ。
ハイン「具体的には牢屋で捕らえていた盗賊が脱獄、また街の多くの女性が行方不明、リリサもそれに巻き込まれました・・・」
レギン「・・・ふむ・・・」
何かを考えているのか、王様は顎に手を当てている。
レギン「・・・確定的な事は言えないが、奴らは生贄を集めているのかもしれん・・・」
一同「「「「「生贄!?」」」」」
レギン「ハイン、この国の御伽話を覚えているか?」
ハイン「勿論。ある月食が起こった晩、女が谷に落ちると奇妙な魔物が現れて、そばにいた人に取り付き力を与えた・・・まさか」
レギン「そう、今日は部分だが月食が何年ぶりに起こるのだ・・・盗賊はその魔物の力を得たいが為に女性を集めているのかもしれん」
マリア「じゃあ私も・・・」
一昨日、初めてマリアに会った時の事か。
ハイン「でも何故たくさんも女性を・・・」
レギン「こう言っては失礼かもしれんが、余り者をやつらの欲望を満たす餌にする為かもしれん」
リリサ・マリア「「・・・」」
なんか2人が怖い・・・だが無理もない。
自分がその欲望を満たす餌になりかけたわけだから・・・
ハイン「・・・父さん、盗賊のアジトかなにかの場所は分かりますか」
レギン「警護にあたった者が東の谷の近くにそれらしき物をみつけたという・・・確定的ではないが、それが怪しい。東の谷も御伽話にある谷かもしれんしな・・・ハイン、行くつもりか?」
ハイン「父さんだったらどうします?」
レギン「はは・・・分かり切った事だったか」
・・・放っておくわけにはいかないよね。
アヴィス「僕も協力します」
ハイン「アヴィス君・・・」
アヴィス「僕は余所者です。でも話を聞いたからには、無関係の者ではありませんから」
マリア「なら、私も同じね」
え、マリア?
マリア「餌にしようとした仕返し、たっぷりしてあげるから・・・!」
怖い。めちゃくちゃ怖い。
リリサ「ずるいよマリアさん。それなら私も同じですから・・・」
あなたもですか。
セリーナ「お姉さんを仲間外れにされちゃ困るよん?盗賊共には痛い目合わせないと・・・」
アヴィス・ハイン ((・・・怖い。皆怖すぎる・・・))
ハインさんと心が一つになった。
ハイン「・・・いいのか?狙われる可能性もあるが・・・」
マリア・リリサ・セリーナ「「「やられる前に殺るのみ」」」
ハイン「・・・そうですか・・・」
やるの字が違うんだが・・・てか皆軽くキャラ壊れてないか?
???「なら俺も協力しよう」
扉の方から聞き慣れた声が聞こえた。
アヴィス「ハデスさん!?」
あれ、帰ったんじゃないの!?
ハデス「帰りの支度をしていたら聞こえてしまってな・・・聞いた以上は無関係の者じゃないんだろ?」
アヴィス「はは・・・でもハデスさん、剣が折れたんじゃ・・・」
ハデス「あぁ・・・あれ、実は市販の剣だったんだ。いつも使っているのはこっち」
そう言ってハデスさんが抜いたのは・・・
アヴィス「・・・黒金?」
ハデス「これでタイマンしたら鎧通り抜けて殺しかねないからな」
黒金特有の鈍く、鋭い輝きをもつ剣だった。
ハイン「僕も含めると6人か・・・これなら止めれるかもしれない・・・!」
ハデス「なら、善は急げ、だな」
ハイン「ああ。日没まであと3時間だ。一刻を争う。東の谷まではそんなに時間はかからないが女性を救うのには少しギリギリの時間だ」
アヴィス「なら急ごう。盗賊の好きにはさせない」
ハイン「ああ。皆、よろしく頼む!」
一同「「「「「勿論!!」」」」
レギン「すまん、少し勢いを削ぐようで悪いが少し待ってもらえるか」
ハイン「どうしたんです父さん?」
レギン「大臣、あれを持って来てもらえるか」
大臣「あれですな。少々お待ちを」
大臣は駆け足で部屋をでた。
レギン「さて・・・用があるのはアヴィス君、きみだ」
え?僕?
レギン「君の戦いを見せてもらったが・・・まだ私が幼い頃に見たダイク=ハーヴァンを思い出したよ。・・・属性不安定まで似ていた・・・」
アヴィス「父さんも属性不安定だったんですか!?」
レギン「その様子だと知らなかったんだね?」
アヴィス「え、ええ。少なくともそんな予兆は・・・」
レギン「彼は言っていたな。あれは強力な属性攻撃を相殺すると反応すると・・・」
アヴィス「じゃああの時・・・」
ハデス「ああ・・・俺のグラビトンを相殺してから炎が出たな」
レギン「ダイクはそれを制御する為に、近くの鍛冶屋に特殊な腕輪を発注した。魔力を制御し、好きな時に出したい属性を出せる腕輪を・・・」
セリーナ「あ、それ私のおじいちゃんかも・・・」
アヴィス「本当に?」
セリーナ「そうよん。おじいちゃん、知り合いが難しい注文持って来てな、ていう話をしてたから・・・」
レギン「しかしダイクが剣を握れなくなり、ここを離れることになった。その時、私の父にこんな事を言っていた。・・・この腕輪はこの国に置いておく。もし、自分の再来とも言うべき人間が来たら渡してくれ、と・・・」
・・・じゃあ、死んだ時の遺言にこの国を言ったのは・・・
大臣「お待たせしました」
レギン「丁度よかった」
大臣が持ってきたのは綺麗な装飾が施された腕輪と鏡だった。
レギン「この鏡もダイクが使っていたものだ。腕輪を使いこなせるならこれも使いこなせるだろう、とダイクが言っていた。魔力反射鏡。ツァウバーミラーと呼んでいたな」
王様はそう言って僕に鏡と腕輪を渡した。
レギン「そしてその腕輪が先程話していた腕輪だ。・・・アヴィス君、右腕にはめてみるんだ」
僕は無言で腕輪をはめた。
それは初めて見るのに、初めてはめるのに、あたかもずっと使っていたかのようにすっぽりはまった。
レギン「調子はどうだ?」
アヴィス「・・・なんだろう、この、体の隅々から力が巡り回っているような感じは・・・」
レギン「直ぐに制御するのは難しいだろう。切り札として考えてくれ。・・・さて、長いこと待たせてすまなかった。・・・この国の仲間をよろしくたのむ」
僕らは大きく頷き、走りだした。
父はこの事が分かっていたのだろうか。
僕がいずれ父が持っていた力を得ることを。
父には見えていたのだろうか。
僕に会った時から、僕の運命を。
・・・運命の始まりなんて、とっくの前に起こっていたんだね。
アヴィス「にしても奇妙な魔物、て一体どんなんなんだろう?」
ハイン「御伽話では魔物という事しか触れなかったからね・・・僕も正直分からないんだ」
マリア「奇妙、て言うくらいだから、変な形をしているとか?」
セリーナ「分からないよん。ひょっとしたら形すらないのかも・・・」
リリサ「もしかしたら小さいのかも・・・」
アヴィス「うーん・・・想像つかないな・・・」
ハデス「・・・急ぐんじゃなかったのか?」
一同「「「「「あ、いけない!」」」」
スキット 奇妙な魔物、て?