嵐の予兆
ここ最近筆?が進むな・・・
アヴィスside
マリア「アヴィス~!」
あの後表彰式やらなんやらあった後、マリアと合流した。
アヴィス「なんか行き当たりばったりで優勝しちゃったよ・・・」
マリア「それでもすごいよ!」
因みに今現在僕はマリアに抱きしめられている・・・やばい。正直恥ずかしい。
アヴィス「ん?そういやそこの人は・・・」
マリア「ほえ?ああ、セリーナさんだよ」
セリーナ「はじめましてだねぃアヴィス君?お姉さんの名前はセリーナよん♪」
アヴィス「あ、はじめまして・・・」
ふむ、いわゆるお姉さんキャラか。今まで会った人にはこういう性格の人がいなかったから新鮮だな。
セリーナ「会ったばかりで悪いんだけど、ちょっとその剣を見せてくれないかねぃ?」
アヴィス「え?これを?」
セリーナ「心配しないでいいよん。別にとって盗もうなんて考えてないから・・・ただちょいと気になるだけよん」
そういや鍛冶屋に知り合いがいる、てマリアが言ってたな。この人のことか。
アヴィス「それならいいですよ。ほら・・・」
僕はセリーナさんに剣を渡した。
セリーナ「ふぅ~む・・・やっぱり今まで見たことない型だねぃ・・・似たようなものはあるけど細かなつくりは違うし、なにより刃の輝きが普通の鋼とちょっと違うような・・・」
アヴィス「父親が特注だ、て言っていた事以外、僕もよく分からないんですよね・・・」
セリーナ「ふむふむ・・・アヴィス君、念のため聞くけどその父親も属性不安定だった?」
アヴィス「いや?どうだったかな・・・でもやけに沢山技があったような・・・」
似たようなものもいくつかあったし。
セリーナ「うーん・・・もしこの刃が普通の鋼じゃなかったら、ひょっとしたらこの剣が属性不安定の原因の可能性もあるねぃ。今まで今回みたいな事はあった?」
アヴィス「いや?ありませんでしたよ?」
セリーナ「ふむ・・・そうなると・・・これ以上は私も分からないねぃ・・・ごめんねぃ」
アヴィス「いいですよ。今はどうやって属性不安定を制御するか考えてますから」
セリーナ「前向きだねぃ。お姉さん、応援してるよん♪」
アヴィス「ありがとうございます」
その後、暫く三人で話していた。
ハイン「ああ、アヴィス君か?」
アヴィス「あれ?ハインさん?」
三人で話していると、少し慌てた様子でハインさんがやってきた。
マリア「あ、王子様!」
ハイン「ははは、そんなに改まらなくていいよ。僕だってある意味エストリア国民だからね」
何処ぞの王族に聞かせてやりたい言葉だな、それ。
ハイン「とまぁ、それはいいんだ。ちょっと尋ねたいんだが・・・妹を見なかったか?」
妹?
セリーナ「妹というと・・・リリサ姫の事かねぃ?」
ハイン「そうそう、リリサの事なんだが・・・」
リリサ姫?はて?
マリア「ああ、アヴィスは知らないよね。リリサ姫はここエストリアの姫君なの。といっても国の事より民の事の方が関心が強くてよく街に降りているんだけど・・・」
本当にいい意味で変わった王族だな・・・
アヴィス「てことは、ハインさんはそのリリサさんを探しているわけですか?」
ハイン「そういうことだ。ただいつもなら誰かが目撃していて直ぐに見つかるんだけど今回は誰に聞いても知らないの返答だけなんだ・・・」
それってやばくないか?
アヴィス「なんなら僕も探しましょうか?特徴さえ教えてくれれば探せますよ?」
マリア「私も探しますよ!」
セリーナ「聞いた以上、無視出来ないねぃ。お姉さんも手伝うよん♪」
ハイン「ありがとう。リリサは髪形はポニーテール、色は水色に近いかな。身長は丁度アヴィス君の肩ぐらいだ。瞳は青色で元気がいい」
成る程、確かに直ぐに見つかるのも頷けるくらい特徴的だね。
アヴィス「分かりました。手分けして探しますか?」
ハイン「いや、丁度4人いるから二手に分かれた方がいいだろう。一人では見落とすような事も二人なら見つけれるからね」
成る程、それも一理あるな。
アヴィス「分かりました。えっとじゃあ・・・マリア?」
マリア「わ、私!?う、うん。いいよ!」
あれ?なんで顔赤くしてるの?
セリーナ「おやおや~?マリアちゃんどうしたのかな~?」
マリア「せ、セリーナさん!///」
あ、セリーナさんがからかってる。ん~ちょっとまてよ。これていわゆるフラグ、てやつか?
・・・いや、まさかね。可能性はあるかもしれないけどまだ不確定要素が多すぎる。
マリア「あ、アヴィス!行くよ!」
セリーナ「じゃあお姉さんは王子様と一緒に探すよん。何かあったら連絡してねぃ♪」
アヴィス「分かりました。てちょっと!マリア引っ張らないで!」
結構腕力あるのねマリア・・・そういや格闘技習ってるんだっけ。
ハイン「セリーナさん、あの二人はひょっとして・・・」
セリーナ「ひょっとしなくても王子様の想像通りだと思うよん♪」
・・・聞こえてますよ、お二人さん。
こうして僕とマリアはリリサさんを探すため街中を走り回っている。
当然先導はマリアだ。何故かって?僕が先導したら迷子確実だ。情けない?そんなの本人が一番わかってる・・・(泣)
アヴィス「しかしいないな・・・」
マリア「うーん・・・大通りにはいないのかな・・・」
聞き込みもしているが、やはり情報は得られず。
マリア「でも王子の言う事が正しいのなら、ほぼ街全体を回った事になるけど・・・」
うーむ・・・だとしたら・・・
アヴィス「何処かに隠れているとか・・・?」
自分の過去の経験から仮定を生み出した。
マリア「隠れている?」
アヴィス「そう。何かから逃げてるとか・・・ん?」
マリア「どうしたの?」
アヴィス「マリア、静かに」
僕とマリアは物陰に隠れて聞き耳を立てた。
アヴィス「・・・」
マリア「ど、どうしたのアヴィス?」
アヴィス「・・・ビンゴだ、マリア」
マリア「え?」
アヴィス「急ごう。リリサさんの身が危ない!」
マリア「え!?ちょ、何を聞いたのアヴィス!?」
アヴィス「話は後だ!この街で身を隠すのに都合がいい場所とかあるか?」
マリア「え!?えっと・・・あ、あそこなら」
アヴィス「よし、そこに行ってみよう」
急がなければ。マリアの時みたいになる・・・!
マリア「ここだよ」
マリアが案内してくれた場所は確かに人通りが悪く、尚且つ身を隠すには最適なくらい入り組んでいる。
僕は移動中ずっと後ろを警戒していた。つけられていたら意味が無いからね。
アヴィス「しかしこんな所があるなんて・・・」
マリア「私もここに来たのは1、2回くらいしかないよ。でもある意味インパクトがあるからよく覚えているんだ」
確かにインパクトあるなこりゃ・・・(汗)
アヴィス「・・・ん?」
マリア「どうしたの?アヴィス」
アヴィス「今あの辺りで何か動いた」
マリア「よく分かったね!?」
アヴィス「よく狩りをしていたからね。洞察力には自信がある」
獲物の中には隠れるのが得意なのもいるからね。
アヴィス「兎に角行ってみよう」
僕は何かが動いた場所に近づいた。そしたら・・・
???「来ないでぇ!」
ヒュッ コーン!
アヴィス「痛ぁ!?」
・・・空き缶投げつけられた。
マリア「あ、アヴィス!?」
???「あ、あれ?別人・・・?」
アヴィス「痛た・・・ん?」
僕は空き缶を投げた人をよく見てみた。
水色のポニーテールに僕の肩くらいの身長・・・ひょっとして・・・
アヴィス「・・・リリサさん?」
リリサ「え、なんで私の名前知ってるの!?」
やっぱり!
アヴィス「よかった・・・無事なうちに見つけれた・・・」
リリサ「私が追われている事も知ってるの!?」
マリア「え、追われている、て?」
アヴィス「説明は後だ。長居は危ない。兎に角ハインさんと合流しよう!」
リリサ「お兄ちゃん!?お兄ちゃんはどこなの!?」
アヴィス「落ち着いて。ハインさんは君を探す為に別行動している。まぁ待ち合わせ場所に行けば会えるだろうけど・・・」
リリサ「・・・お兄ちゃんに心配かけちゃったな・・・」
アヴィス「無事なら大丈夫さ。兎に角急ごう」
僕らは直ぐにここから移動しようとした・・・その時。
ダーン!
アヴィス「うお!銃声!?空から!?」
???「みつけやしたぜ兄貴ぃ!」
しまった!上の警戒を怠っていた!
アヴィス「ダッシュだ二人共!」
マリア・リリサ「「う、うん!」」
ここでの戦闘は避けたい!剣が余り振れない上に銃をかわしにくい。
しかし外に出ると・・・
アヴィス「く!待ち伏せか!」
5、6人の盗賊が待ち伏せしていた。
でもこのくらいなら・・・
盗賊1「悪いがとっとと死んでもらうぜぇ!」
しまった!あいつも銃持ちか!
ダーン!
アヴィス「うぐっ!?」
しまった・・・!心臓部分を・・・!
ドサッ・・・
マリアside
マリア「・・・アヴィス?」
そんな・・・嘘だよね?
死んでない・・・よね?アヴィス・・・返事してよ・・・
リリサ「アヴィスさん・・・?」
盗賊1「へ!あっけねぇな!今の内に連れていくか!」
いけない!このままではあの時の繰り返しになる!
私は直ぐに拳を構えた。
アヴィスの仇・・・私がとる!
盗賊1「お、なんでぇねぇちゃん。やるってか?」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらジリジリと近寄ってくる。しかし・・・
盗賊2「・・・待て」
盗賊1「あぁ?どうしたんでぇ兄貴?」
多分リーダーだと思われる盗賊に止められた。
盗賊2「お前、本当に奴を仕留めたのか?」
え?どういうこと?
盗賊1「兄貴、見てなかったんですかい?ちゃんと心臓に当てたでしょう」
盗賊2「・・・では何故流血していない」
え!?
盗賊1「なに!?」
咄嗟にアヴィスを見る。確かに地面が赤くなってない・・・!
盗賊2「気をつけろ!そいつはまだ生きている!」
この言葉と同時に私の近くにいた盗賊は吹き飛ばされた・・・
アヴィスside
盗賊1「そんな・・・なぜだ・・・」
・・・正直危なかったな・・・
盗賊1「あの時・・・確実に心臓に当てた筈・・・!」
アヴィス「ああ・・・当たったさ・・・人間の急所にな・・・ただ狙ったのが脳天じゃなくて心臓とはね・・・」
僕は上着をめくった。
リリサ「・・・さらし?」
僕の胸部には傷があり、傷口が開かないようにさらしで保護している。そして僕はそのさらしを少しめくった・・・
アヴィス「・・・おかげで助かった」
マリア「プロテクター!?」
そこには急所を守る為のプロテクターがあった。弾丸はそこに当たっている。
盗賊1「く、くそ!」
アヴィス「遅い!」
盗賊達「「「「ぐはぁ!!」」」
僕は盗賊を蹴り飛ばし、別の盗賊を巻き込む。
盗賊2「ちぃ!」
こいつはリーダー、ぽかったな・・・
アヴィス「水刃!」
盗賊2「ぐぅ!?」
ちょっと手加減はした。本来でやったら肉体切断しかねないから・・・
アヴィス「とりあえず寝とけ」
盗賊2「ほぶっ!?」
そして鳩尾を殴る。盗賊は皆気絶した。
あとは何故かその辺に落ちてたロープ(というよりかは紐に近い)で縛りつけて・・・
アヴィス「これでよし、と」
後は・・・
マリア「アヴィス・・・」
・・・マリアに心配かけた事を謝らないとな・・・
マリア「バカ・・・死んだかと思ったじゃない・・・」
マリアの目には涙が溜まっていた。当然だよな・・・
アヴィス「ゴメン。本当にゴメン・・・」
僕はマリアを抱きしめた。今の僕にはこれくらいしかしてやれない・・・
マリア「・・・生きているよね?本当に生きているんだよね?」
アヴィス「・・・僕の体は冷たいか?」
マリア「ううん。温かい。とっても・・・」
アヴィス「・・・ならそれは生きている証拠だ」
僕は自分の胸でマリアの涙を受け止めた・・・
リリサ「あの~私忘れられてません?」
アヴィス・マリア「「・・・あ」」
リリサ「でもよかった・・・アヴィスさんが死んでなくて・・・」
アヴィス「ゴメン。リリサさんにも心配かけちゃったかな・・・」
リリサ「いいんです。それより速くお兄ちゃんに合流しないと!」
アヴィス「あ、そうだ!また襲撃されるのは嫌だから走るよ!」
マリア・リリサ「「はい!」」
僕達はダッシュで待ち合わせ場所に行った。
その頃のセリーナとハインは・・・
セリーナ「見つからないねぃ・・・」
ハイン「だな・・・そろそろ待ち合わせ時間だし、一度戻るか・・・」
ダーン!
セリーナ「!?銃声よね、今の!?」
ハイン「あ、ああ!!・・・アヴィス君達は無事だろうか!?」
セリーナ「と、兎に角銃声が聞こえた場所に行ってみましょう!」
ハイン「そ、そうだな!」
・・・二人が到着した場所にいたのはロープで縛られた盗賊達だけだった・・・