「ハーヴァン」
後書きにてちょっとテイルズ、ぽいスキットを始めてみました。
???「おおマリア!無事だったか!」
後ろを向くと初老の男性が入っていた。
マリア「あ、マスター!おかえりなさい」
マスター「いやはや、君が攫われそうになったと聞いて慌てたぞ・・・して、その男性は?」
アヴィス「あ、初めまして。アヴィスといいます」
マリア「彼が助けてくれたんです」
マスター「そうか・・・私からも礼を言わせてもらうよ。有難う」
アヴィス「いえいえ・・・」
マリア「しかしマスター、どこに行ってたんですか?」
マスター「いや、少し聞き込みをな。私も被害者の関係者だからな。あ、もしよければ礼代りにコーヒーでもいれようか?」
アヴィス「あ、じゃあいただきます」
マスター「少し待っててくれ」
マスターはそう言って奥に行った。
マリア「マスターのいれるコーヒーは格別よ?」
耳元でマリアが囁いた。ほう、それは楽しみだな。
マスター「お待たせしました」
しばらくしたらマスターがコーヒーをもってやってきた。
アヴィス「いただきます」
・・・うん、少しほろ苦さがあるけどこれはいける。
マスター「しかし・・・君の戦い振りは外で噂になっておったぞ」
アヴィス「そうなんですか?」
マスター「うむ。一部ではダイク=ハーヴァンの再来だ!と言うやつもいたな」
・・・ダイク=ハーヴァン・・・
マリア、顔がにやけてる、て。
アヴィス「有名な人だったんですか?」
僕の知ってるダイク=ハーヴァンでは無いかもしれないから一応聞いてみた。
マスター「有名もなにも、この街では、いや、この国では英雄と言われていた。城の兵士長だったんだが、戦いの中で数々の武勇を立てた。しかしとある怪我が原因で剣を握れなくなり、遠くに隠居したらしいんだが・・・どこに隠居したのかは分からん。妻と娘がいたのだが、どちらももう亡くなっている」
・・・間違いないな・・・
・・・だからマリア、顔がにやけてる、てば。
アヴィス「しかしなんで再来と呼ばれてるんですか?剣の腕がいい人なんてこんなに大きな街なら一人や二人いるでしょう?」
マスター「二つ理由があってな。一つはダイク=ハーヴァンの得意技だった翔鷹月波を使った事と、武器がなんかダイクが使っていたのと似ていたことだ」
・・・あれ?ひょっとして僕やっちゃった?
そして頼むからマリア、クスクス笑うのはやめてください。
マスター「ん?あんたどうした、顔が引きつってるが・・・」
やっちまった。またやっちまったよ・・・
マスター「まさかあんた・・・」
もうここまで来ると分かっちゃうよね・・・
マスター「ダイクの隠し子だったのか!?」
アヴィス・マリア「「なんでそんな方向に走った!?違いますから!!」」
マスターのぶっ飛んだ発言に僕だけでなくマリアまで突っ込んだ。
・・・このままではあらぬ誤解を受けるのでしっかりと説明した。
マスター「成る程・・・ようするにあんたはダイクの義理の子供なのか・・・」
アヴィス「そういうことです・・・」
話の分かる人で助かった。
マスター「確かにそれならダイクが使っていた技を受け継げるし、武器も貰えるわな。しかしダイクはもう死んだのか・・・」
アヴィス「僕がこの街に来たのは父親の遺言にこの街の事が書いてあったからなんです。
お前の導きになるだろう、と・・・」
・・・もう、少しだけど、導きを見つけれたけど。
マスター「そうか・・・」
するとマスターがなにやら思案顏になった。
マスター「そうだ・・・あんた、剣舞会、て知ってるか?」
アヴィス「剣舞会?剣で戦ったりするんですか?」
マスター「まぁそんな感じだ。同盟国から選りすぐりの剣士が集まってきて、己の剣技を競うんだ。参加は自由だが、強豪がそろっているから初心者には向かん」
成る程・・・
マスター「ここエストリアでは王子である、
ハイン=フォルバ=エストリア様も参加される。あとは一般の兵士や剣士が数名だ。しかしエントリーが今年は少なく、枠が余ってるんだ。どうだ?あんたの腕を見込んでの提案だが、参加してみるか?」
これは・・・良すぎる提案だ・・・!
どのみちまだやる事を決めてないし・・・
アヴィス「僕、やってみます!」
参加するしかないだろう!
マスター「その意気だ!若いのはそうでなくちゃ。エントリーはエストリア城門前で行っている。実力を身図る為、軽く手合わせを申し込まれると思うが、あんたなら大丈夫だ」
エストリア城か・・・
・・・どこだ?
マスター「まぁここ来たばかりなら城の場所を知らんだろう。マリア、店は大丈夫だから案内を頼む」
・・・よ、よかった・・・迷子にならずに済む・・・
マリア「分かりました。行こう、アヴィス」
アヴィス「ああ!」
僕らは手を取り合って店を出た。
マスター「マリア、いい男を見つけたじゃないか・・・お似合いだと思うぞ?」
あの後まず換金場でお金を手に入れ (その時隣の鍛冶屋から視線を感じた) エストリア城門前に来た。・・・立派な門だ。
マリア「エントリーはこっちだよ」
指さされた方を見ると、なんか兵士がだらけていた。
・・・おおかたエントリーに来る人がいないから暇になってるんだろうな。
・・・ん?そういや今気づいたがなんか腕に柔らかい感触が・・・
・・・ま、気のせいか。
あれ、マリアがなんか呟いてるが・・・
アヴィス「あの~・・・」
とりあえず受付の兵士に声をかける。
兵士1「どうしました・・・あなた剣士ですか!?」
アヴィス「は、はい!あの、剣舞会のエントリーに来たんですけど・・・」
おお、兵士の目がキラキラしとる。
兵士1「よかった・・・これで人数が揃った・・・」
アヴィス「あの~どうしました?」
兵士1「ああ、すまない。すこし取り乱したようだ・・・今年の兵士は皆剣舞会に消極的で・・・参加者が少なくてな・・・君でようやく参加人数が揃うんだ」
そ、そういうことか・・・マスターの言うとおりだな・・・
アヴィス「それで、何か書いたりしますか?」
兵士1「ああ、君は初めての参加か。心配はいらない。必要なのは今から作る手形とサインだけだ。あと希望で実力査定もできるが・・・」
アヴィス「あ、やります」
兵士1「そうか。君は積極的だな・・・周りの奴らも見習って欲しいよ・・・」
アヴィス「あなたは出ないんですか?」
兵士1「別の仕事があってね。出たくても出れないんだ・・・あ、この紙にサインしてくれ。手形は朱肉に手を付けてこの台紙に」
言われた通り紙にサインを書き、手形を作った。
怪しまれるのは嫌なので名前は正直に書いた。
兵士1「アヴィス=ハーヴァンか・・・ハーヴァン?君はダイク=ハーヴァンの親戚か?」
アヴィス「義理の父親です。幼い頃、行き倒れていたところを助けられたんです」
兵士1「そうか・・・剣技もダイク=ハーヴァン直伝か?」
アヴィス「半分は。あとは我流です」
兵士1「ほう・・・これは期待できるかもな・・・よし、では今から実力査定を行う。おい」
兵士は近くにいた別の兵士を呼んだ。
兵士1「今からこの兵士と戦ってもらう。形式は剣舞会で実際に使われるルールに則ったものだ。感覚を掴みながらいつも通りやってくれ」
兵士2「と、言うわけだ。お手柔らかにな」
アヴィス「よろしくお願いします」
僕達は少し広めの所に来た。あ、マリアは観戦すると言ってた。
兵士2「ではルールを確認するぞ。戦闘域は今私が書いた円の中だ。これは実際の剣舞会でのフィールドとほぼ同じ大きさとなる。少しでも出たらカウントが始まり、10カウントで負けだ。敗北は他にも、気絶、棄権、反則によって決まる。主な反則は観戦者への攻撃、非合法薬剤の使用、相手の長時間拘束だ。
この反則を侵さないものならば飛び道具を使おうが格闘技を使おうが二刀流だろうが構わない。制限時間は設けられていない。分かったか?」
アヴィス「大丈夫です」
兵士2「よろしい。ではこれより、アヴィス=ハーヴァンの実力査定を開始する!」
彼は剣を抜き、構えた。僕も腰から剣を抜刀し、構える。
兵士1「では・・・始めっ!」
双方は駆け出した。
アヴィス「にしても大きな街だね。マリアがいなければとっくに迷子になってるよ」
マリア「アヴィス、て方向音痴なの?」
アヴィス「・・・多分そうだと思う。そうでなきゃ森で半年迷わない」
マリア「よく生きれたね・・・」
アヴィス「こう見えてサバイバルには自信があるんだ。竿と仕掛けさえあれば釣りはできるし、狩りもできる。・・・生きる為に得た技能だ」
マリア「・・・やっぱり、幼い頃の事が影響してるの?」
アヴィス「まぁね・・・」
スキット1 迷子になりそう
どうでしょうか?好評ならこのまま続けたいと思います