お前に関係ないだろう。
おかしいなぁ・・・異世界トリップのはずなのに。
「おい」
さーって。この後は、お父様に会いに行って報告して、頼まれてたというか命じられてた仕事こなして、えっと・・・。あとはお屋敷の掃除して・・・。他には・・・・・・・・・・
「おい」
そう言えば、来月はアカシア様のお誕生日!!お父様が私に注文しろって頼みそうなもののリストアップも済ませないと。
「おいって。聞いてんのか?」
嘘です。もうとっくのとうに終わっている。なんて不毛な思考だろう。はぁ。取りあえず、さっさと帰るか。
そう決めて、後ろの不良をおいて家に戻ろうとしたのに。不良の分際で動きが素早いんだよ。私の腕を掴むな。くっそう。もうやだ。Gでいい。こいつなんて、通称Gの仲間入りだ。
「ロゥ。何度呼んだら止まるんだ」
私が決意を固めているのを知っているのか知らないのかはどうでもいいが取りあえず腕を離して欲しい。
「離せ。触れるな」
「じゃぁ止まれ」
「断る。なぜ、私がお前の言うことを聞かないといけないんだ」
「なんで。なんで、お前みたいなやつが素直に現状を受け入れているんだ」
「・・・・・。お前に答える理由がない。私に関わるな。お前にまで火の粉が散るぞ」
「構わない。俺の心配をする前に自分のことを考えろ」
私は、不良のことなんて心配していない。私は、全てになりそこなった者。ただそれだけだ。なのにこいつは何偽善者めいたことをほざいているんだ?
「何を勘違いしているのかは知らないが。私は誰の助けも求めてはいない」
Gは悲しそうな顔で私の腕を引っ張る。痛いと言っているのがわからないのか?
「なんで、お前は耐えるんだ?おまえが俺の権力をフルで使えばすぐにでも現状を打破できんだろう?」
Gはそう言いながら私の服の袖を、むりやりまくった。そこには無数のあざと切り傷。昔の者から最近のものまで。
「・・・・・。前よりひどくなってる」
「知っているんなら、離せ。・・・・・。痛い」
「離してやりたいが、離したら逃げるだろう?」
「当たり前だろ。私は、まだやることがある。残り少ない、時間を無駄にさせるな」
奴の顔色が目に見えて悪くなった。勘の良い奴め。
「残り少ない時間・・・?」
「もうすぐ、夕方だぞ。もう、今日が終わる」
Gは訝しげな顔をしながらも納得いてくれたようだ。ほんとに面倒な奴だな。
「わかった。無駄なことだがお前が私を心配しているのはわかった。だが、必要ない。帰れ。私は家に戻ってやることがある」
そのまま、痛みを堪え腕を振りほどく。
「・・・。すまん」
「わかればいい」
「な。」
「まだあるのか?」
「お前の誕生日っていつだ?」
「教えない」
「なt・・・なんでだよ?」
「私の情報なんてロゥというのだけわかっていればいい。名前さえ知っていればいいだろう?それにお前は私の正体も知っているのだし」
「でも・・・どこの家のものかとかじゃなくて、お前の好きなもんとか」
「そんなん知ってどうする」
「いや、なんとなく」
「馬鹿馬鹿しい。私はもうお前に付き合う気はない」
Gが何か言っているが聞かない。
もう、今日で全て終わりなんだ。
「しつこすぎるぞ、でもまぁお前が私に言わせたかった言葉ぐらい言ってやっても良いさ。今日は機嫌が良いんだ」
Gはあからさまに驚いている。本当に失礼な奴だ。
「私は、お前のことを信頼してないわけではなかった」
「おい、本当にどうした?」
「本当に失礼なやつだな。じゃぁな。もう会うことのないよう願っている。ラリー・ガードン」
Gもといラリーは私の方を茫然と見たままだ。その隙に私は駆けだした。背中にかかる声はない。
少しそれを残念に思っている自分を笑いながら、もうこれで最後になるであろう学校から家への道を駆けて行った。