ダンジョン踏破の力
師匠が私にギルドカードを出すように指示する。
「まずは、この娘が何者なのか問うべきじゃったな。ほれ、ギルドカードを見せておやり」
アイシャさんに言われて首からギルドカードを外し手にもって前に突き出した。
「銀級冒険のアイシャ、それを確認したとしてどうしたと?」
公爵がバカにしたような口調でギルドカードの名前を確かめた。
「ま、まさか……それは……」
陛下が玉座から立ち上がり、ふらつく足取りで私の前まで来てギルドカードを取り上げる。
「ふん、陛下はちょっとはものを知っているらしい。シャリア、そっちのもの知らずの誘拐犯におしえてやり」
師匠に言われて、ギルドカードにぶら下がっているものを説明する」
「サイクロプスの角、フェンリルの牙……、……、……、それから、これがドラゴングウィの鱗です」
陛下がうなり声をあげた。
「ドラゴングウィというと、一級ダンジョンの最下層のボスか……」
「国内でも攻略が3番目に難しいと言われているダンジョンのボスの素材、プレゼントするほど大事な娘ということが言いたいのか?」
公爵の言葉に、陛下はあきれたように口を開いた。
「子供を、この女性に返せ。これは王命だ、公爵」
「は?なぜですか?陛下もおっしゃっていたではないですか、ミスリル級冒険者といえ、貴族の世継ぎの話にまで口を出すべきではないと!」
公爵の言葉に、師匠があきれた声を出す。
「こんなもの知らずが宰相補佐をやってるなど、この国大丈夫かねぇ」
「なんだと!」
「……これでも貴族間の折衝は右に出るものはいないのだ……英雄の父親でもあり求心力もある。もの知らずなのは事実だ。ここまで知らないとは思わなかった。申し訳ない」
陛下にまでもの知らずと言われ、公爵はカーっと顔を赤らめた。
「早く子供を返せ。王命だと言ったはずだ」
「なぜですか!納得できません」
陛下が頭を押さえた。
「ギルドカードに一緒に下げてある素材は、本人が倒したものに限る、これは冒険者としての常識だ」
はい。いざというときに売るための財産なので、買った素材をぶら下げる意味はないです。
「ランクに見合わない高い能力があるという印にもなっている」
え?そうだったの?どうしよう。元ギルドの臨時職員だったのに知らなかった。というか、だって、いざというときに売るんだとしか言わなかったんだもの。嘘つくはずがないと信じて他の理由があるなんて考えたこともなかったよ!
「ま、まさか……この小娘が、一級ダンジョンのボスを倒した、とでも……?」
「小娘?ワシの弟子を小娘呼ばわりかい?失礼な男だ」
陛下がっ私の前に片膝をついた。慌てて公爵も膝をつく。
「シャリア殿。この度は申し訳なかった」
慌てて側近2人が陛下の前に出た。
「陛下に謝罪させるなど不敬だぞ!」
いや、勝手に膝をついたんだけど。
「いくら少し腕が立つからといい気になるな、アイシャ様の威を借るキツネが!」
だから、私が謝れと言ったわけでもないよ……!
「公爵もだが、お前たちもまだわからぬか!」
陛下が私に今にもつかみかかろうとする側近2人を張り倒した。
「アイシャ殿の……ミスリル級冒険者を何人も育て上げているアイシャ殿の弟子で、すでに一級ダンジョンを踏破しているんだぞ?その意味をよく考えろ!」
張り倒された側近の一人が、慌てて私に土下座した。
「失礼をいたしました。未来のミスリル冒険者様」
うん?
公爵が驚きのあまりしりもちをついた。
「やっと理解したか。お前はミスリル冒険者の子供をさらったと何年後かに言われることになる。国の争いや政治には手出しはしないが、冒険者は冒険者に危害を加えたものを決して許さない。それがミスリル冒険者をこけにするようなことであればなおさら。わかるか?」
公爵が震えだした。
なんか、ングウィっていうのがいるらしいんですよ。「ん」から発音とかえ?ってなりますよね。




