王都へ
アイシャさんは、エディの頭を持ち上げると、口にポーションの瓶を突っ込んだ。
そうか、横に向けずに縦になればのどに落ちていくのか。(*よい子は真似をしないでね)
「ポーションは水と違って気管に入っても問題ないからね。さぁ、シャリア、お前も飲みな。すぐに戻るからね」
「戻る?」
ギルド長の顔を見る。
「なれねぇよ。ミスリル級どころかまだ金級にも上がれねぇ。依頼数が足りてねぇんだ」
「……そう、だよね……」
実力だけで上がれないのは知っているし、実力もミスリル級に足りているかと聞かれれば、全然足りてないだろう。
「まぁ、だがやることははっきりしただろう?」
ギルド長が私の頭をぽんっとたたく。
こくんと頷く。
目立たないようになんて考えずに1日にこなせるだけ依頼をこなして……。
「どれくらいかかるんだろう……ジャン……ママのこと忘れちゃわないかな……」
頑張るしかないと分かっているのに。
「ほれ、泣いてる暇はないよ。王都に向かうよ、これをギルドカードに下げときな」
師匠はドラゴングウィの尾の先の色が違う鱗を外すとアダマンタイトの剣の先で乱雑に穴をあけた。
……お金に困ったときに売るにしてもこんな風に適当に穴をあけると価値が下がるんじゃないのかな?と思ったけれど、お金なんて今は全く価値を感じない。ジャンに比べたら……。
ダンジョンを出るとギルドには戻らず4人で王都に向かう馬車に乗った。
「いろいろありがとうございます」
頭を下げると師匠が私の背中をさすってくれた。
「ジャンはワシにとっても大事な孫……いやひ孫みたいなもんじゃ」
「師匠……」
ギルド長が頷く。
「俺にとっても息子……」
ギルド長はエディをちらりと見て言い直した。
「俺にとって、かわいい甥っ子のようなもんだ」
「甥っ子?」
ギルド長が私の頭を大きな手で撫でてくれる。
「妹の子供は甥だろう?」
「ギルド長大好きっ」
馬車の向かい側に座るギルド長にとびつく。
ジャンも絶対に喜ぶよ。そんな風に思ってくれていたなんて。
「僕からもお礼を言いますよギルド長。僕の息子のためにありがとうございます」
エディが私をギルド長から引き離し、椅子に戻した。
馬車の中でちゃんと座っていなさいということかな?
「お前の息子じゃないだろう、エディ」
「ジャンは僕のことパパと呼んでくれていますよ」
ギルド長が驚いた顔を見せ私の顔を見た。
「ち、違うのよ、エディも。ジャンを息子のようにかわいがってくれていることには感謝するわ。あの、ジャンがパパが欲しいってなくから、エディにはパパ代理ということで、パパではなくパパしゃんと呼んでいて、えっと……」
「なんだ、要約すると、父親づらした他人じゃないか」
ギルド長の言葉にディがふんっと鼻を鳴らしてどや顔をする。
「ジャンと一緒に町を歩いていれば、何も言わなくてもパパとお出かけかいいねぇと声をかけられますよ?そう、僕は父親面ができるんです。ジャンと一緒の髪の色をしていますし?」
「あ……疲れていたんだろうね。寝ちまったよ……」
みんなの声が遠くなっていく。




