本当のパパ
胸が締め付けられる。
同じ髪色をしたエディがジャンを抱っこする姿に。
本当の親子ではないのに、まるで、生き別れになった親子が再会したみたいな光景だ。
もし、一夜の花嫁のヒガナカさんが生きていたら、こんな風にジャンをいとおしそうに抱きしめてくれるだろうか?
ううん。もし生きていたとしても、私を探してアイシャさんの宿に来なかったのだから、もう新しい人生を送っているのだろう。その人生には愛する女性が出来て、本当の結婚をして、子供に恵まれて幸せに暮らしているのかもしれない。そうならば……。
ジャンは隠し子と言う立場になるんじゃないだろうか。
隠し子が好意的に受け入れられるならいい。もし、そうじゃなければ……。ジャンは傷つくだけかもしれない。
「エディが、ジャンの本当のパパだったらよかったのに……」
思わず漏れた言葉にハッとする。
「何かいいましたか?」
エディが私に視線を向けた。
「う、ううん、何でもない。ご飯にしよう!ご飯!」
ジャンは素直に子供用の椅子に座った。それから隣の椅子にエディが座ったのを見て、すぐに、お口を「あーん」と開いた。
「え?」
驚いている私の目の前で、エディはジャンのスプーンを持ち、スープをすくってジャンの口に運んだ。
「おいちーね」
「そうか、おいしいか」
ジャンもエディもニコニコだ。
「……おかしい、いつも自分で食べるのと言って譲らないのに……」
アイシャさんがニヤニヤとする。
「甘えてるねぇ」
「え?ジャンは、私には甘えられないってこと?」
アイシャさんはふっと笑った。
「違うさ。自分ですると我儘を言うのも甘えだよ。我儘を言っても大丈夫だと思う相手だからこそ出る甘えだねぇ。そして、自分でできるのに人にやってもらおうとするのも甘えてるんだよ」
アイシャさんの言葉にほっと息を吐きだす。
「合格だ」
アイシャさんが肉を口に含みながら短い言葉を発した。
「え?」
「お前のパーティーの相方として、エディは合格」
そうだ。見極めるから連れておいでと言われていたんだ。
まだ何もエディとアイシャさんろくに会話していないけれど、大丈夫なのかな?戦争を止めるためにミスリル級を目指すとか何も言っていない。
もしかしたら「そんな大それた夢に巻き込むんじゃないよ」とか言われないかなと思ってたりしたんだけど。
「大事なことじゃよ。もし、自分の身に何かあったら、残された家族のことを託せるかってのはね」
アイシャさんはパンをちぎってジャンの口元に運んでいるエディを見ながら言葉を続ける。
「養子にするとかずっと養うとかそんな面倒をかけるとかじゃないよ。孤児院に入った後ときどき様子を見に行ってくれるとかね、親の思い出話を聞かせてあげるとかね、そんなことだっていい。気にして成長を見守ってくれるってそう思える相手かどうかだよ」
ふとギルド長のことを思い出した。
「ガルドさんは、私にアイシャさんのことを任せられると思ってくれてるのかなぁ」
うん?とアイシャさんが首を傾げた。
「いえ、なんか私が金級ならパーティー組んでやるって」
アイシャさんがはぁーと息を吐きだした。
「あのバカ孫は、考えなしの大馬鹿もんだねぇ……。ミスリルパーティーに金級入れる前例なんて作っちまったら後で問題になるだろう」
「ですよね、いくら規定では許されても……足手まといにしかならないですもんねぇ」
アイシャさんが私の顔をじっと見た。
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知っている人いるかなー。赤ちゃんと僕のみの。みのみたいなぷにぷに幼児を想像していただくと分かりやすいかな?ジャン。ジャンのが少し幼いかな。




