くましゃんとパパしゃん
すいません、48話が抜けてたので足しました……(-ω-)/
「パパ代理ということで、家の中にいるときだけでもジャンが僕をパパと呼ぶのを許してはもらえないだろうか?」
「え?パパ代理?」
「……そう。その、僕が不用意に、キスする男の人がパパだなんて言って……その、迷惑をかけてしまったし……」
恥ずかしい。エディさんが私にキスの許しを得ようとしているなんて少しでも考えた自分が恥ずかしい!
「家の中だけならいいんじゃないか?ジャンももう少しすればいろいろ分かるようになるじゃろう」
アイシャさんはそういうけれど。素直に頷けない。
「でも……」
どうしようか戸惑う。
「パパじゃなくてパパ代理だよとは何度も教えていれば、いろいろ分かるようになっても大丈夫だと思うんだけれど……やっぱり、そう簡単な話ではないのかな?」
エディさんがジャンのことを真剣に考えてくれているというのはよくわかる。
パパだと呼んでいた人がパパじゃないと知らされた時のことを思ってのことだろう。
どうなんだろう……パパ代理なんて……。ジャンが大きくなったときにどう思うのか。
「ワシとて、ジャンの祖母じゃないがの。ばぁばだのおばぁちゃんだの呼ばれとるじゃろ。それとそう変わらんと思うがの」
確かに、そうなのかな……?
「でも、いいの?エディは迷惑じゃないの?」
家の中だけとはいえ、パパと呼ばれるなんて……。
「シャリアが許してくれるなら、何の問題もない」
飛び切りの笑顔を見せるエディに、これ以上何も言えない。
「ジャン、エディはジャンの代理パパになってくれるって。パパじゃなくて代理パパよ」
ジャンはあれだけ激しく泣いていたのに、パパと言う単語に反応したのあっさり泣き止みきょとんとする。
「だいい?」
「そう、本当のパパじゃなくて代理のパパ」
「だいいってなぁに?」
ジャンが首を傾げた。
代理をだいいと上手く言えないところも、首を傾げるしぐさも、泣いていたのにけろっとしているところも、全部かわいい!
「代理は代わりってことだよ。パパの代わり」
エディの言葉にジャンがぱぁっと笑顔になった。
「くましゃん!」
「え?くましゃん?」
エディがびっくりして目を丸くする。
その反応に思わず笑いがもれる。
「ふふっ、くまのぬいぐるみのことよ。ママの代わりに一緒にねんねしてくれるのよね?」
エディが頷いた。
「ママといっちょできないときに、ママのかわり、くましゃんがいるにょ!」
本当はクマのぬいぐるみを抱きしめながらも、本物のママがいいって泣いて、泣き疲れて寝ちゃっているのを知っている。
……全然代わりにはなっていないけれど。最近はごっこ遊びで大活躍している。「くましゃん、ねんねよ、ねんね~、しょでしゅか、だっこでしゅか、かわいいでしゅね、だっこよ、だっこー」と。
かわいくて萌え死ぬんじゃないかと思った。もちろん、柱の陰からこっそりのぞいておりました。はい。
あ、いけない。
「そうか、ママの代わりがくましゃんなのか。なら、パパの代わりの僕のことは、パパしゃんって呼んでくれるかな?本物のパパじゃないから。それでいい?」
ジャンはちょっと考えてから、すぐににこにこの笑顔になった。
「パパしゃん」
エディが嬉しそうに笑って両手を広げる。
「おいで、ジャン」
ジャンは飛びつくようにエディの腕に抱っこされた。
それから、ぎゅっとエディの服を掴み、顏を肩にうずめて左右に振る。
「パパしゃん……ジャンのパパしゃん」
胸が締め付けられる。




