昇級したい私の気持ち
「アースアイって、よくわかったね?」
気持ちが落ち着いたのかエディが言葉を発した。
「ほんの少し色が混じってるだけだから、気が付かなれることもほとんどないんだけど」
「あのね、ジャンもアースアイなの。エディさんみたいに少しだけオレンジ色が混じっていて、ぱっと見は青いの。髪の色だけじゃなくて瞳の色もエディさんに似てたのね。そりゃ、エディさんを見てジャンを思い出しちゃうわけだぁ」
あれ?別に瞳の色なんて今まで気が付かなかったけれど?いや、無意識で認識してたのかな?人間そういうことあるよね?
「へー、珍しいって話だけれど、よく見たら実はアースアイって言う人は結構いるのかもしれないね」
なるほど。確かに。あんまりじっくり目の色を見ることもないもんなぁ。
庶民ではアースアイなんて名前すら知らなかったりするだろうし、珍しいなんて言っても実際は結構いるかもしれないっていうのもあながち間違いじゃないのかも。
「話を戻すね。パーティーとしての活動なんだけど、生活費と貯金ができればいいかなと思っていたのだけど……ちょっと、上を目指してみようかなと、思いまして……」
エディが少しむっとした表情を見せる。
「それは、ギルド長とパーティーを組みたいからですか?」
うん?
ああ、昨日のやり取りをエディは見ていたんだっけ。
金級まで上がらなければギルド長とパーティーが組めないみたいなやり取りも確かにした。
「違いますよ。流石に、そこまでギルド長にお世話になるつもりはないです。たかが金級の冒険者がこの国に2人しかいないミスリル級のギルド長とパーティーを組むなんて恐れ多い……!」
それこそ、命を狙われそうだ。いろんな人からの嫉妬を受けて。
いまだって、アイシャさんの弟子ってだけで、嫉妬されることもあるのに。どうしてお前がって……。
はい、本当。どうして私が……と、私も思っているけれど。
男に騙されて困り果てているときに冒険者として稼げばいいと手を差し伸べてくれたのがアイシャさんで……。
家族もお金も済むところもすべてを突然失った私に、稼ぐ手段を教えてくれただけでなく。
今思えばきっと「一人じゃないよ」と。
師匠と弟子という関係を作って、何かあれば師匠だからと助けてくれようとしたんじゃないかと思っている。
……そんな師匠に、私は恩返しがしたい。
「いや、そうなのか?いったいミスリル級ってどれくらいの強さなのか想像もつかないな……」
そうですよね。私もギルド長がどれくらいすごいのかさっぱり分からない。
そして、そのギルド長が師匠には勝てる気がしないとか言っているくらいだから、師匠はどこまですごいのか謎すぎますよ。名前を聞いただけで「あの、アイシャ様ですか!」と姿勢を正す人がいっぱいいるので、本当にすごい人なんだろうと思う。
私にしたら、ちょっと厳しいけどジャンにはメロメロな優しいおばあさんでしかないんだけどね。
「でも、ギルド長とパーティーを組むためじゃないとすると……」
はっとエディが息を飲んだ。
「もしかして、僕のためですか?僕が飛び級できないかと聞いていたから……、早く級を上げたいと思っていると考えて、僕のために?早く上に上がれるようにと?」
あ、なるほど。
「いえ。ごめんなさい、そうですよね、エディの気持ちもあるんでした。考えが及ばず……あの、エディは早く級を上げたいですか?」
エディさんが考えこんだ。
「正直なところ、冒険者を続けるつもりはなかったんだ。陛下が侵略戦争を始めようという考えを変えれば、家に戻ればいいという気持ちだった」
ああ、もう戦争に出たくないって言ってた。そうか、状況が変われば帰るつもりだったってことか。
しゅっと、胸の中に寂しいって気持ちが沸く。
「だけど、逃げ場所のつもりだったけど、それじゃあだめなんじゃないかとちょっと考え方を変えたんだ」
「え?」




