ティータイムではなく
次の日、いつものように朝の鐘とともにギルドへ足を運ぶと、食堂の方の椅子にエディさんが座ってお茶を飲んでいた。
「ごめんなさい、待たせたかしら?いつもこの時間に出勤だったから……」
エディさんが振り向くとにこりと笑った。
「いいえ、朝食を頂くために早く来たんですよ。ここのギルドは食事も充実していていいですね」
「え?充実」
ギルドの朝食って、日持ちする固いパンと干し肉とスープだけだったよね?固いパンと干し肉は昼食用の携帯食として持っていけるから好評ではあるけれど。
まぁ、他の食堂と違うと言えば、濃いめのハーブティーがあるくらいだけど。これだって、前日に飲みすぎた二日酔い気味の冒険者が目を覚ますためであって、別に……くつろぐためのものではないはずだけど。
エディがゆっくりとハーブティーを飲む姿はとても優雅で、貴族がお茶を楽しんでいるようにしか見えないけど……。
「エディ……その」
エディの向かい側に腰かけて声を潜めて話かける。
「貴族の食事に比べれば全然充実してないとは思うんだけど、わざと庶民風の言葉を口にしたの?」
今日のエディの服装は初日のものに戻っている。昨日の山賊か?という奇妙な恰好はしていない。
貴族にみられないようにという悪あがきはやめたのかな?
「え?いいえ。薬草茶が飲めるなんて贅沢でしょう?」
「薬草茶?ハーブティーじゃなくて?」
うん?
「あら、シャリアさんは知らなかった?」
ミミリアさんが説明してくれる。
「薬草採取依頼で持ってきて買い取れないものがあるでしょう?」
そうだね。初心者冒険者のやりがちな失敗。根っこが必要なのに葉っぱだけとか。
虫食いがあると薬師は買い取ってもらえないし、よく似た違うものを持ってきちゃう子もいる。
私も慣れるまでは大変だったな。
「依頼品としては買い取れないけれど、引き取ってるでしょ?」
うん。残念スタンプを押して引き取ってる。スタンプが10個たまると食堂でパンと交換できるという。新人には優しいシステムもある。
パンがもらえるからとよく確認もせずに薬草採取する人が増えたら困るんじゃないかな?と思ったこともあったけれど……。
「そういうことかぁ!」
やられたぁ。冒険者になったばかりのころはお茶を頼む余裕はなかったし、妊娠発覚後はお茶の成分が妊婦にはよくないからと飲んでなくて、復帰後はジャンと一緒に食事が基本だったからギルドのお茶は盲点だった。
「ふふ、そういうこと」
薬師に買い取ってもらえない薬草だろうと、お茶にして飲むことはできる。
胃腸の調子を整えたり、疲労感を軽減したり、ポーションほどの効き目はないけれどほんの少し体にいい。
「応援の意味も込めてお茶を飲む冒険者もいるのよ」
ミミリアがウインクして受付カウンターに入っていく。
そうか。新人冒険者がスタンプ集めてパンをもらう仕組み、薬草茶の売上金からパン代になっているのだとすると、お茶を応援のつもりで注文する人もいるんだろう。
「シャリアも知らないことがあるんですね」
エディさんがぽそりとつぶやいた。
「え、あ、はい。昨日は偉そうに指導してたのにって、思ってますよね」
恥ずかしくなって顔を伏せる。
「いいえ、安心しました」
「安心?」
そこは不安になるところじゃないの?
シクベビ企画の実施期間が終わったのに(1・15まで)小説は終わらないw
そして、なんと企画中参加作品50作品以上!シークレットベビー好きにはたまらないね!
参加させていただきありがとうございました!




