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子連れ冒険者シャリア~婚約者に売られたので恋愛はいりません~  作者: 富士とまと


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4/9

弟子になっちゃったみたいです

「金がいるんだろ?」

 こくんと頷く。

「ほら、あそこに依頼書が張り出されてる。見えるかい?冒険者に登録して、依頼をこなせば金がもらえる」

 依頼書の文字を読んでいく。

 魔物討伐、薬草採取、掃除などの雑用。

 いろいろな依頼が書かれている。

「なるほど!」

 ここで掃除などの仕事を請け負えばいいってことね!

「ほら、分かったら急ぐよ。日が暮れちまう」

 急ぐ?そうだよね。日が暮れる前に仕事してお金を稼がないと、今日寝る場所もない。

 言われるままに名前を書き始め。

「シャリアってのかい?」

 ペンが止まったところで紙を取り上げられた。

「あ、」

 シャリアリーが私の名前。

 伯爵令嬢だったけど家を出て苗字はもう書けないなとか、アリーとクリスが愛称で呼んでいたなとかいろいろ考えてしまって手が止まったのだ。

「んじゃ、戻るころにはカードもできてるだろう。行くよ。わしも忙しいから」

 アイシャさんが私の腕をとって歩き出した。


 王都を囲む塀の外へ。

 それから、森の中へと入っていく。

「シャリアってのは、アイシャと名前が似てるね」

 あ、本当だ。

「特別だ。私の弟子を名乗ってもいいぞ」

「え?」

 名前が似ているから弟子?

「アイシャの弟子だって言えば、よっぽどバカな男じゃない限り手出ししてこないだろうからね」

 ああ、ギルド長のおばあさんの弟子ってことになれば、手出しされないのか。

 でもいいのかな。名前が似てるだけで弟子にしてもらうなんて……。

「お、ほら、いたよ」

 アイシャさんの言葉に前を向くと、緑の子供みたいなサイズの生き物現れた。

「ゴブリンだ」

 あれがゴブリン。

「って、ゴブリンって、魔物ですよね?逃げないと!」

 焦ってアイシャさんの手を掴む。

「倒してごらん」

「は?」

 私が、魔物を倒す?

「いやいや、無理ですよ、だって、魔物ですよ?私、剣も持ったことないですし、攻撃魔法だって使えないんですよ?」

 アイシャさんがにこりと笑った。

「大丈夫。ゴブリンはわしよりずっと弱い。ほら、来たぞ」

 ゴブリンが私たちに気づいて近づいてきた。地を蹴って襲い掛かろうと牙を向き尖った爪を伸ばしてくる。

 身体強化重ねがけ。1、2、3、4……ひゃー間に合わない。

「ほら、殴りな。お前をだました憎い男の顔を想像しながら」

 ええええ、そんな、急に言われても……。

 ゴスッ。

 殴りました。

 いや、別にクリスの顏を想像なんてしてないですよ?

 襲われると思ったので手が前に出たら、その手がゴブリンに当たったら、なんか、殴ったみたいになり……。

「はは、こりゃ討伐証明も取れないね」

 なんだか形も残らず霧散したゴブリンを見てアイシャさんが笑った。

「よし、次だ」

 それから森の奥へとさらに進む。

「オークだ」

 ゴブリンなんかとは比較にならないものすごく大きな魔物が現れた。

「ひえーっ」

「ほれ、殴ってこい……と言ってもさすがに素手ではかわいそうじゃな」

 アイシャさんが、その辺の木の枝をぼきっと折って、葉を落として私に投げよこした。

 いやいや、枝と言っても直径20センチ、長さ2m越えの、小さな丸太と言った方がいいようなサイズ。

 アイシャさん力持ちすぎ。身体強化しないと私には持てないよ。

 まぁすでにさっき4まで強化したから問題ないけど。

「ぶん回しな!おまえを捨てた男だと思って!」

 いや、クリスはあんなに大きくなかったけどぉ。

 このままではオークにやられると必死に枝を振り回すと、オークの腹にヒット。

 飛んでった。

「一撃、お疲れさん。ほらおいで」

 言われるままにオークに近づく。

「ほら、この首の付け根にある石が討伐証明。魔石だ」

 と、アイシャさんがオークの首元に埋まっていた石をつまんで引っこ抜いた。

「これで、今だといくらになるんかな。ほれ」

 私の手の平に魔石を落とす。

「これが、お金になるんですか?」

 宝石とは違う。魔石。……魔石を使った道具は伯爵家にはいくつかあったけれど、もっと大きな魔石を使っていたはずだ。私の手のひらに乗せられた魔石は、小指の爪ほどの大きさ。

「ああ、1つは安くとも、頑張ってたくさん倒せば結構な額になるぞ?」

 そうなのか。

 倒すのは簡単だった。これなら何とかお金が手に入るかも。




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