別視点 ギルドにて1
===ギルドにて===
ミミリアが笑顔でギルド長に話かけた。
「よかったですねぇ!二人がパーティーを組めば、バランスが取れたよいパーティーになるんじゃないですか!他の人と組んだら人材の無駄遣いだし、相手の冒険者がつぶれた可能性が……」
ギルド長がうーとうなった。
「そうだ、確かにそうなんだ。実力差がありすぎる者とパーティーを組んだら悲惨だな……。できる者には相手は足手まといにしかならないし、できない者は実力を過信するか相手より劣っていることを苦に冒険者を辞めていくからなぁ……」
ガシガシと頭をかく。
二人の元に、エディが新しい剣を持って戻ってきた。
「あれ?これ、僕のじゃないですね」
カウンターの上に載っているギルドカードを手にしたエディさんが首を傾げた。
パーティー登録のためにミミリアに二人が預けて戻されたものだ。
「あー、あいつ、鈍色時代が長すぎて間違えて持って帰っちまったのか……シャリアらしいな……」
ギルド長の顏を見て、エディがぼそりとつぶやいた。
「シャリアがかわいいんですね」
その言葉に、ギルド長が怖い顔をより怖くしてエディをにらむ。
「そうだ、シャリアはかわいい。いいか、手を出そうなんて考えるなよ?」
エディがふっと笑った。
「シャリアが兄のような人だと言っていた通り、妹のように心配するんですね」
どこか挑戦的なエディの言葉に、ギルド長が嫌な顔をした。
「17歳だ」
ギルド長のつぶやきに、エディが首を傾げた。
「シャリアが男に騙され捨てられ、家族もなく一人で子供を産んだ年だ」
エディがハッと目を見開く。
17歳、自分はまだ学生だった。数少ないが学園には女生徒もいた。試験の心配や剣術大会の応援に胸を弾ませている姿を思い出す。また社交場では、婚約者や家族と楽しそうにダンスを踊ったりおしゃべりするご令嬢の姿も思い出した。
「シャリアが冒険者登録に来た時はとてもここに足を踏み入れるには似つかわしくない綺麗な服をしていた」
エディが黙ってギルド長の言葉を聞いている。
「きっと、いいところのお嬢さんだったんだろう。それなのにすべてを……信じていた男に家族に家……すべてを失い、住むところを探して仕事を見つけてお金を稼ぎ子供を産んで育てる……すべてを一人で抱えて生きてる」
ギルド長だけじゃない。ミミリアもエディに厳しい目を向けていることにエディは気が付いた。
「兄だろうが父だろうが、俺が家族を失ったシャリアの家族代わりとして支えになるんなら何の不満もねぇんだよ」
ギルド長の強い思いに、エディは胸を打たれた。
「兄として、かわいい妹に手を出す奴は容赦しない。シャリアが好きな人の話を聞く以外は、手を出すやつが陛下だろうが英雄だろうが、俺がシャリアを守ってやる」
エディが苦笑する。
「英雄からも?」
ミミリアが口を挟んだ。
「ミスリル級冒険者は王と言えども言うことを聞かせることなどできませんから。それに、英雄といっても一人で戦っていたわけではないでしょ?ギルド長と1対1で戦ってどちらが勝つかなんて、分かりませんよ?」
と言いながらも、ミミリアはギルド長が勝つと信じているような顔をしている。
エディが小さくつぶやいた。
「そう……だな、やってみなくちゃ分からないが、やりあう日が来ないことを願うよ……」
エディがギルド長の顔を見る。
「シャリアがかわいい……」
「はぁ?俺の話を聞いていたのか?」
エディがにこりと笑う。
「シャリアが僕のことをかわいいって言うんです」
「は?」
エディが苦笑した。




