パーティー組むぞ
「シャリア、お前は、本当に馬鹿だな。何年ギルド職員をやってるんだ」
えー、何年っていうほど長くもないけど。いや、産前と産後を合わせるとそろそろ1年半?ええ、そんなになるのかぁ。
「パーティーを組む相手は慎重に選べという鉄則を忘れたのか?お前はどちらかといえば重戦士の盾タイプだろう?」
ほっぺたぷぅーとふくらます。
「重戦士って、私は重たくないですよ」
「……なら動きが遅いのろまな、遅戦士って言えばいいのか?」
「ぎぃーっ!ちょっと速いからって。じゃあ、ギルド長は、怖い顔してるから、怖戦士の特攻タイプですね!うひひひ」
と、私とギルド長がやりあっているとエディさんがぽんっと手を叩いた。
「なるほど。パーティーを組むには、相性が必要なんですね。確かに、5人が5人弓のパーティーじゃバランスが悪いですね」
5人が弓……ただでさえダンジョンの中では弓は扱いづらいのに、5人が弓……ふ、ふふふ。
想像して思わず笑いがこぼれた。
「まぁとにかく、俺がお前とパーティー組んでやる」
「はぁ?ギルド長とは無理でしょう。級が3つ以上離れてるとパーティーは組めないんでしょう?」
ギルド長が私の頭をガシガシ撫でる。
「早く上がってこい。臨時職員やめて依頼をこなしていけばすぐだろう」
ぷぅーとほっぺが膨らむ。
「そんなにすぐなわけないでしょう!」
ギルド長はミスリル級だ。ミスリル級とパーティーを組めるのは、プラチナ級と金級。私は銅になったばかりだから、銀、金とあと2つもあげなくちゃいけない。
「毎日コツコツ依頼をこなしても、えーっと、1日2つか3つこなせる日もあったとしても」
ぶつぶつと計算をしていると、ギルド長がふっと声を上げた。
「パーティーで銀級の依頼をこなしていけば、2年、いや、1年半で上がれるんじゃないか?」
「無理ですよ。私は遠征はしませんし、週に2日は休むし……っていうか、そんなに級を上げるつもりもないんだった……」
「いや、それは困る」
何が困るんですか?
私はお金がたまれば……。
まてよ……。
「師匠への恩返し……って……」
お金があれば恩が返せるって話じゃないってこと?
老後の面倒を見ることも恩返しにはならないってことなんじゃ……。
弟子を名乗るなら、それなりに活躍しないといけないって話なのでは……?
それが、何よりの恩返し……。
流石アイシャ様の弟子だ!って言われなければならないって話なのぉ?
ひえー、ひえー……!
「んー、んー、んー、分かった。まずはパーティー結成!」
ふんっと紙とペンをカウンターから手元に寄せる。
「それは?」
エディさんが私の手元の紙を見た。
そうだ。新人指導。
「あそこに、依頼票が貼ってあるでしょう?その横に情報版があるの。どこどこで何々が出現したので注意だとか、国から懸賞金がかけられた悪人の情報とか、パーティーメンバー募集の張り紙も張ってもらえるのよ!」
「なるほど」
一番上に名前と級。
「シャリア、銅級っと。戦闘スタイルは前衛、物理攻撃、盾……」
ギルド長が、トントンと紙をたたいた。
「ちゃんと重戦士って書いとけ」
うぐぐ。
「募集するのは、後衛の魔法職か、前衛のスピードのある剣士とか……かなぁ?」
エディさんがああと頷いた。
「僕みたいなタイプですね」
「うん、そうそう。エディさんもパーティーを作るなら盾や後衛を募集するといいと思いますよ。あと、それから、条件……」
つらつらと、書いていく。




