親ばか発動中
「うわぁぁぁ、ごめんなさいぃ、後輩冒険者はかわいいと思えないって意味じゃなくて、あの、子供扱いとかするとかでなくて、本当に、あの、息子と同じ髪色しているんで、思い出しちゃったと言うか」
ぱたぱたと手を振って言い訳をする。
真顔だったエディさんがぷはっと笑った。
「頭を撫でられたのは、一体何年ぶりだろう。ははは、僕が子供扱い……あははは」
「す、スイマセン……」
「いや、全然不快じゃないから大丈夫。……というか」
エディさんが声を上げて笑うのをやめて、はにかんだように笑った。
「むしろ、いいね。癖になりそうだ」
「あ、分かります。私も……頭を撫でられるの好きです」
えへへと笑ってエディさんい同意する。
貴族って親に頭を撫でてもらうことも少ないし、周りにいる人が撫でてくれることなんてまるっきりないもんね。貴族のご令嬢に失礼があってはいけないって。
だから、師匠がときどき頭を撫でてくれるのがとても気持ちいい。それから最近ではジャンもママいい子いい子って、撫でてくれるんだよね。ふふふっ。
「あの男か?」
「え?」
「ギルド長……が頭を撫でてくれるのか?」
うん?
「ギルド長は冒険者の頭を撫でたりしないですよ?撫でて欲しかったら頼んでおきましょうか?ランクが上がった時によくやったと撫でてやってくださいって」
エディさんが嫌な顔をした。
「いや、遠慮しておくよ」
「そうですか?」
会話しながらも、エディさんはレッドウルフをひょいひょいと倒して次の階層へと進む。
「シャリアさんは冒険者の頭を撫であげているの?」
「あ、いえ、さっきのは本当に、なんだかその、息子のことを思い出して……勝手に体が動いてしまっただけで……その、エディさんの髪の色が息子とそっくりで」
エディさんが後ろで縛っている髪を前に持ってきて眺めた。
「ふぅん、じゃあ、また息子さんのこと思い出して撫でてもらえるのかな?」
「え?」
「あ……いや、何を言っているんだろう、すいません、いえ、あの……あはは、は……」
何?今の……。
まるで、私に頭を撫でてもらいたいみたいな?
いや、私じゃなくて、誰かに撫でてもらいたいのかな?
北の戦地に行っていて、死線を潜り抜け生きて帰ってきた。それなのにまた戦地に送り出されそうになって、逃げるようにして、それまでの地位や家を捨てて冒険者として生きていこうとしているのなら……。
「とっておきの人に撫でてもらうように頼んであげますよ」
にこりと笑う。
「え?えーっと、まさか、シャリアさんの師匠……アイシャさんとか?いや、それは遠慮したい、かな」
もしかして、箒で追い回されたトラウマになってます?いい人ですよ、アイシャさん。
「ふふふー、違います。楽しみにしてください」
世界で一番癒し効果がある、ジャンに、特別に、お兄さんの頭撫でてあげてって頼んであげまぁす!
本当に、特別の特別ですよ。
ジャンに頭を撫でてもらったら、誰でも超回復ハッピー間違いなしですよ。
ふふふ。




