思わず!だって、だって、だって!
「……私は、息子の父親のことは……待つのを辞めました」
エディさんがひゅっと息をのむとともに、ビュンっと跳躍して現れたレッドウルフを2体倒した。
速っ。
エディさんがなれた手つきで魔石と尻尾を回収する。
「すまない……。辛いことを思い出させてしまった」
いや、辛くはない。正直生きてるといいなぁと思ってはいるけど、会いたいというわけではないから。
「期限を設ける……か。確かに、そうなのかもな……」
尻尾を握り締めたまましゃがみ込むエディさん。
ちょっと出すぎたことを言ってしまっただろうか。
「ごめんなさい、私こそ。大切な人を失った悲しみは人それぞれなのに……」
エディさんが振り返った。
「危ないっ」
声に振り返ると、またレッドウルフが私に向かっていた。
箒で叩くのとエディさんが私を抱えて後ろに飛ぶのと同時。
「あれ……」
今度はさっきよりも余裕があったため、エディさんが転がることもなくそのままレッドウルフに視線を向けたまま私を後ろから抱えて呆然としていた。
いや、ちょっと、大丈夫だから、手を、手を放して……。
「もしかして、シャリアさん……が、さっきのレッドウルフも、今のレッドウルフも倒したの?」
エディさんの腕から力が抜けたところで、するりと抜け出す。
「はい。もちろんです。指導役ですよ?新人冒険者がいざという時に助けられるようについてきているんですから」
何を今さら?と首を傾げる。
「えーっと、シャリアさんは鈍色冒険者でしたよね?」
なぜかエディさんも首を傾げる。
ん?あれ?この首の傾げ方、誰かに似てる。
いや、首なんて誰でも同じようにかしげるはずなのに、何言ってるんだろう?
「はい。この依頼が終われば、銅色に昇級予定です!登録してから3年絶ってますし、エディさんよりだいぶ先輩ですよ?」
エディさんがあーっと天を仰いだ。
「レッドウルフを倒せるだけの力があっても、3年も鈍色なのか……冒険者を軽視しているつもりはなかったが自分なら簡単に上に行けると無自覚におごっていたんだろう……」
それからしゅんっと頭を垂れた。
それからプルプルと小刻みに頭を左右に揺らす。
「飛び級なんて言っていた自分がこれほど恥ずかしいことはない……」
柔らかそうな薄筋色の髪が揺れるのを見て、思わず頭を撫でていた。
「へ?」
エディさんが驚いて顔を上げる。
「あっ、ご、ごめんなさいっ!つい、その……」
まずい、まずい、まずい。
「エディさんがつい、かわいいと思ってしまって」
「か、かわいい?」
エディさんがさらに驚いた顔をしている。
「それは、面倒を見なければいけない後輩冒険者としてかわいがってくれるということですか?」
「え?いや、違うんです、揺れる髪の毛を見て、息子のことを思い出して」
眠いときに頭を振ったりするんだよね。あとは今だとイヤイヤって頭を振ることも多いかな。イヤイヤっていう時期だからねぇってアイシャさんは笑っているけれど。あれもこれもそれもイヤなんて我儘になっちゃったのかなってちょっと心配したっけ……。
エディさんが真顔になった。
ふいー、やっとキャラの特徴が見えてきたね……長かった……




