エディの思い人
「だ、大丈夫です!」
不埒なことを思い出したのは私の方だし。
「分かっています、その、助けてくれようとしたんですよね?……えーっと」
ちらりとレッドウルフを見る。
「あ、そう、そうなんだ、すまない。もっと早くに気が付いて倒していればよかったんだが……」
めちゃくちゃ焦っている様子に、こちらまで焦ってしまう。
落ち着け、私は新人冒険者の指導でここにいる。
すーはーと深く息を吸い吐き出すことで落ち着きを取り戻した。
そして、冷静になるとエディさんの焦り方がひどいことに気が付く。
これは、もしや、顏がよすぎて女性に勘違いされてひどい目にあった過去とか思い出しているパターンだろうか?
「大丈夫ですっ!」
ここはびしっと言わないといけない。
「え?っと、?」
「まず一つは、私は女ですが、男性には興味がない、それは前にも言いました。勘違いもしませんから安心してください」
エディが頭をかいた。
「あ、うん。違うんだ、その……不埒な気持ちはないっていうの、僕の方もその、女性には興味がないから、安心して欲しい」
「え?男性に興味があるタイプでしたか?」
びっくりして声を上げる。ギルド長とかが好みとか言われたらどうしよう。
応援するべきか……。いや、まずはアイシャさんに相談案件かもしれない。
「い、いや、違う、そうじゃなくて、心に決めた女性がいて、その……僕には彼女だけ……」
うん?
「好きな人がいるんですね!応援します!」
相手が女性なら問題ない。がっつり応援させていただきますよ!
そう、こういうのはおせっかいはしておいて損はないとミーニャさんが言っていた。
なんていうの、冒険者ってやつは魔物相手には強気なくせに女性相手にはとんと弱気なんだから!とか。
あ、逆に女に強気な男ほど魔物相手になるとよわっちぃから箒の出番だねってアイシャさんが言ってた。
エディさんはミーニャさんの言ってたタイプだ。
冒険者には幸せになってもらわなくちゃってやつだ。幸せなやつはより強くなるし無謀なことはせず生き残れるとかなんとか。
だから、おせっかいも大事だとか。
私も……そのおせっかいのおかげで、ギルドで働かせてもらったり……今の幸せがあるんだよなぁ……。
「あ、いや、その……彼女とは、会えないんだ……」
「え?振られたんですか?」
エディさんを振るなんて、どんな女性なんだろうって興味が先にたって思わず声を上げてしまった。
だって、まだそんなに知ってるわけじゃないけど、誠実そうだし、顏も立ち振る舞いも素敵だし、金も持ってそうだし、持ってなくてもこれから稼げそうだし……。
いやでも執着が強すぎるとか?嫉妬深すぎるとか?恋仲にならないと分からない問題とかも世の中にはあるって、ミーニャさんが遠い目をしながら言ってたことがあったなぁ。
そう、世の中には分からないことはいっぱいある。
私だって、まさかクリスに騙されるなんて思ってもなかったよ。表面で見えてる部分だけでは何もわからないってことだけは学んだよ。
って、ずいぶんプライベートなことをずけずけと聞いてしまったと慌てて口をふさぐ。
「振ってもらえたら、この気持ちに整理がつくのかもしれない……」




