ダンジョンの男女2
それからまたもやレッドウルフが現れた。今度は3体。
ソロでは複数相手にするのは難しいと言われている。確かに、一斉にとびかかられるとメンドクサイよね。どの個体を狙えばいいのかわからなくてパニックになる人はなるだろう。
私?私はパニックになって、ぐるぐる棒を振り回していると気が付くとレッドウルフは倒れてる。
うん、身体強化5でレッドウルフの攻撃は防げると分かっていても、パニックになるよね。
エディさんはレッドウルフをしゅん、しゅん、瞬殺。3体いたって問題ない。
「うわー、いいなぁ、速いの、やっぱり、すごくいいなぁ」
身体強化があれば早く動けるようにもなるはずだと言われて練習してみたんだけどいまいち使いこなせなくて……。ただ、重たい物を軽くもてるようにはなった。……ジャンの抱っこ攻撃も怖くないのだ!ふふふ。
なんなら、エディさんが魔物にやられて動けなくなっても、担いで逃げられるよ?
エディさんが複雑な表情をした。
「スピードには自信があったんですけどね……。どうやら井の中の蛙だったようです。ギルド長どころか引退したアイシャさんにすら勝てる気がしません……」
ギルド長は国に2人しかいないミスリル級の一人だしね。あれ?知らないんだっけ?
それにアイシャさんはそのギルド長のおばあさんってことも知らないんだっけ?
エディさんが振り向くと、私の背後からレッドウルフが飛び出してきた。
「危ないっ!」
エディさんがものすごい速さで私の元へと駆け寄り、体を掴んで後ろに引き倒そうとしたが、その前に箒でなんとかレッドウルフの額を小突くことができた。
エディさんは私を胸に抱え込むような形で地面に転がりくるくると二回転。
それから立ち上がった。
「大丈夫か!」
あ、かばってくれたのか。
エディさんは私を胸に抱えたまま、レッドウルフに剣を突き出した。
「あれ?……倒れている……」
驚いたように声を漏らすエディさんの腕の中で、私の心臓はバクバクと大きな音を立てていた。
ひぃー、だ、だ、抱きしめられ……いや、もちろん、単に魔物からかばってくれただけって言うのは分かるけど。
ギルド長のように見ただけで鍛えられた筋肉が分かるわけじゃない、すらりとした体型なのに……。
こうして抱えられると、しっかりと鍛えられた肉体が分かる。
突然、あの日の……3年前の一夜の花嫁のあの時のことを思い出してしまい、顏が赤くなる。
あの時のクリスの被害者仲間の通称ヒガナカさんを思い出すなんて!
私は依頼中なのに。新人冒険者の指導中なのに、何を考えてるのっ!
「あ、あああ、あのっ、放してください」
腕を振り払うこともできるのに、できなくて声を上げる。
いや、だって、私を助けようとしてくれた人に、迷惑ですみたいな態度取れないというか……。
決して、ど、動揺しているわけでは、あ、いや、動揺はしてる、してるけど。
「あっ、えっと」
エディさんがばっと数メートル私から距離を取り両手を上げた。
「す、すまない、け、決してその、ふ、不埒な真似をしようと、したわけでは……!」
うわー、動揺させちゃった。




