うちのこ!
「邪魔……迷惑……」
唖然としたあと、エディさんは突然笑い出した。
「あはは、はははは」
「何がおかしいんですか?
むっとすると、エディさんが笑いながら頭を下げた。
「ごめん……あはは、はぁ、君のことを笑ったんじゃないんだ……はははは、自分のことが滑稽で……」
ひとしきり笑うと、息をはぁーと吐き出して、もう一度私にエディさんは頭を下げた。
「本当に申し訳ない。僕がこの間までいたところでは、女性が稼ぐという考えがなくて……その、女性はよりよい男を捕まえて結婚するこそが幸せだと……その……」
「ああ、貴族女性の何割かはそういう感じですよね……婚約者の地位でマウント取り合ったりするし」
クリスと結婚したい!って言ったら、親のみならず友人からも反対されたし、急にバカにする人もいたなぁ。
好きな人と結婚するよりも大切なことが貴族の価値観では存在してた。
「貴族の……ってどうして……」
おや?焦ってる。図星か。やっぱり貴族だったんだ。それにしても……まさかと思うけど。
声を潜める。
「もしかしてエディさん貴族だった、もしくは貴族に近い立場だったってこと隠そうとしてます?めちゃくちゃバレバレですよ……でも、大丈夫です。別に今は違うって言えばいいだけですから。冒険者は過去は気にしないんですよ。ランクが何級かがすべてなところがあるので」
「ははは、そうか。何重にも恥ずかしいな……。僕を誘惑するつもりなのかと牽制したのも、うぬぼれが強いみたいでかっこ悪いし、貴族だとバレてないと思い込んでたのも勘違いでみっともない……」
エディさんがあーっと両手で顔を隠してしまった。
そこまで恥ずかしいことじゃないと思うけど。
「明日はよろしくお願いします……シャリアさん」
両手で顔を抑えたまま頭を下げて、背を向けエディさんはギルドを出て行った。
なんだか、乙女みたいだと思ったのは内緒だ。
「ただいまぁジャンっ!」
「ママ―!」
冒険者ギルドから徒歩2分。帰宅!
満面の笑みで駆けてきた息子のジャンを抱きしめ、抱き上げる。
「おかえりシャリア」
はぁー、かわいい、かわいい、うちの子世界一かわいい。
ほっぺたぷくぷくで柔らかい。
頬をすり合わせてウリウリしていると、アイシャさんが出てきた。
「アイシャさんただいま」
今は、ギルドの寮を出てアイシャさんと暮らしている。
「私ももう年だからね、一人で暮らしていて倒れていたら誰にも発見してもらえないだろう?だから一緒に暮らしてくれるとありがたい」
なんて言ってたけど、あと10年や20年や30年は元気だろうってお医者様にも太鼓判押されるくらい元気なんだけどね。
「老後の面倒見るのは弟子の役目だ!文句は言わせないよ!」
とも言ってるけど、もちろん私は死ぬまでアイシャさんと一緒にいるつもり。だってもう結婚はしないから家を出る必要ないものね?
あ、でもギルド長が「ばぁちゃん一緒に暮らすか?」って何度も言ってるから、アイシャさんがギルド長と暮らしたいっていうなら私は身を引かないと。
いくらギルド長が「シャリアとジャンも一緒に」って言ってくれてるからと言って、甘えるわけにはいかない。
やっと、出てきた……子供。




