お金の計算っ!
「まぁいい。シャリアお前も覚えておけ」
ギルド長がため息をついた。
「依頼者に共通しているのは、困っている、助けて欲しいということだ」
あ、確かにそうだ。
「ぶっちゃけな、冒険者じゃなくても、魔物を倒して魔石を持っていけば金になるだろ?」
「えーっと、確かに。でも冒険者以外からはギルドでは買い取りしていませんし、確か商会などでは買いたたかれるから、ギルドで売った方が得なんですよね?あと、依頼を受ければ依頼料が上乗せされて、だいたい同じ魔石を持ち込んでも半値くらいにしかならないって」
ギルド長が私を見てため息をついた。
なんで、こんどはちゃんと知ってるなって褒めるところ!
「お金のことだけは詳しいな」
いや、だって大事だよ!お金!
「冒険者という身分を持っていた方が得になる、だから冒険者になる。そして冒険者で居続けるためには、年に何度か依頼をこなさなければならない」
「なるほど。ギルドで買い取りをしてもらうためには冒険者の資格が必要で、資格を維持するためには依頼を受けなければならない。ランクを上げるためにも依頼を受けなければならない……この、半ば強制的に依頼を受けなければならないという仕組みは、困っている依頼者を助けるためということですか」
エディさんが納得したという顔をした。
「それだけじゃねぇよ?魔物に襲われている村に、依頼料に目がくらみ、イチかバチかで依頼を受けたものの途中で逃げ帰る冒険者を向かわせるわけにはいかねぇ。護衛依頼に、盗賊と裏で手を組んでいるような奴を知らずにあてがうわけにはいかねぇ」
確かに。
「飛び級がなく、鈍色から地味な依頼を数こなしてもらうのは、腕っぷしを見るためだけじゃない。むしろ、人間性を見るためだな。依頼への向き合い方。ギルド職員や他の冒険者との接し方。依頼者も、大きな依頼を指名するために鈍色から目をつけることもある」
なるほど。
大丈夫。私は学習したので、なるほどと思っても、もう口にしないよ。またギルド長になんでお前が知らないんだって言われるのもしゃくだし。
「すまなかった。軽々しく飛び級できるかなんて尋ねるのは間違っていた。どこかにおごりがあったのかもしれない……」
ギルド長がふっと表情を緩めた。
「いや、実力だけなら飛び級できただろうな。実績はまぁ、コツコツ積んでくれ」
「分かった」
ギルド長は再び私の頭に手をのせた。
「まぁ、依頼を受ける以外に、魔石や素材の買い取りもしているから、金は実力で稼げばいい」
そうだね。薬草採取の依頼を受けて、採取場所に出てきた魔物を倒して帰るとかね。
「シャリア、明日は新人教育だ。こいつを連れてダンジョンに行ってこい」
「え?私がですか?」
新人教育というのは、アイシャさんが一番初めに私にしたみたいなやつだ。
魔物を倒したことのない新人がどれだけ魔物を怖がらずに倒せるか見るやつ。……で、あってるよね?
アイシャさんは私に戦い方を教えてもくれた。殴れと。あれ?
「エディさんは魔物は倒したことがあるんですよね?だったら必要ないのでは?」
ギルド長がエディさんを見た。
「戦場では魔石はどうしていた?」
「回収する余裕はなかった」
「ってわけだ。シャリアが着いて行って、魔石の回収の仕方とか新人に説明してやれ。あと薬草の場所とか簡単に教えてやれ」
あー、そうか。そういう倒す以外の新人教育がいるんだった。なら、私で大丈夫か。
普通は、ベテランギルド職員の仕事。あと銀色級とかが依頼数稼ぎで新人教育するんだよね。戦い方教えるとかは、私じゃ無理だもん。
いまだに剣すら買えないんだよ……。
ご覧いただきありがとうございます!
というわけで、この世界の冒険者の設定です。
依頼を受けなくても魔物を倒して買い取ってもらえば生きていけますが、冒険者に登録したほうが金になります。でも、誰もかれも冒険者として受け入れるわけではなく素行が悪ければ追い出しです。
普通です……。普通なのに、冒険者ギルドとしてはちょっと普通じゃないw




