last episode 『異国の街で出会った家族のカタチ』
『異国の街で出会った家族のカタチ』
日差しが少しだけ強くなったロンドンの午後。
週末のマーケットでは、地元の人たちが思い思いの時間を過ごしている。
はるか、悠真、そして陽菜も、ようやく“ロンドンでの休日”を楽しむ余裕が生まれていた。
それぞれの挑戦は続いていたけれど、その手にはちゃんと、家族の手があった。
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◆ はるかと歌声
マーケットの広場の片隅で、小さなステージがあった。
路上ライブのような、開かれた空間。
はるかは、思いきって一曲だけ、歌うことにした。
マイクは少し古く、風が時々音をさらっていく。
それでも――彼女の歌声は、まっすぐだった。
♪いつかこの風に 名前がついたなら
それはあなたの声に似てる♪
歌い終えると、ほんの少しの拍手が起きた。
その中に、陽菜と悠真の姿があった。
「ママ、いちばんすてきだった!」
「……ありがと」
その言葉だけで、涙がにじみそうになる。
見知らぬ街で、歌を続けていくことは、簡単じゃない。
でも、「届けたい」と思える誰かがいることが、こんなにも力になるなんて――
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◆ 悠真と子どもたち
一方、悠真は地元のスポーツクラブで、月に一度の「親子テニス教室」を始めていた。
「Nice shot! Hinata!」
「Your backhand is strong!」
英語での指導にも、少しずつ慣れてきた。
なにより――陽菜がラケットを握るようになったのが、何より嬉しい変化だった。
「パパー! もっと強く打ってー!」
陽菜の声に、悠真は笑ってうなずいた。
「それじゃ次は“スマッシュ”を教えるぞ」
言葉や文化が違っても、ボールはまっすぐ届く。
笑顔は、世界でいちばんシンプルな共通語だった。
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◆ 陽菜の目に映る街
帰り道、陽菜はひとりで歩道に咲く小さな花に目を留めた。
知らない名前の、でもどこか懐かしい匂いのする花だった。
「ママ、このお花、日本にもある?」
「どうかな……似てるかもしれないね」
陽菜はうなずいて、ぽつりと言った。
「このまち、すこしだけ“おうち”になったよ」
はるかと悠真は目を合わせ、陽菜の肩をやさしく抱きしめた。
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◆ 異国で見つけた家族のカタチ
知らない場所。
知らない言葉。
知らない人たち。
それでも、怖がらずに踏み出せたのは、家族がそばにいてくれたから。
どこにいても、“家族”がいれば、そこが“帰る場所”になる。
「今だけじゃなくて、未来も、ここでつくっていける」
ふたりはそう思えた。
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◆ エピソード終わりに…
異国の街で出会った、新しい景色。
新しい人、新しい自分。
そこには、たしかな「家族のカタチ」があった。
誰かが支え、誰かが支えられながら、一緒に前へ進んでいく。
それは、どこにいても変わらない“家族の物語”。
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