第11話:ラケットに託した未来
<冒頭モノローグ:相馬 悠真>
「恋に答えを出しても、人生にゴールなんてない。
でも今、この手の中に確かにある。――信じたい未来が」
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【場面:県大会前日・テニス部ミーティングルーム】
全員が集まり、緊張した面持ちで作戦会議。
キャプテンの蓮見がホワイトボードを前に話す。
「明日の県大会は、すべてを懸ける勝負になる。
相手は強豪ばかりだ。だが、俺たちの力を信じろ」
部員たちの表情が引き締まる。
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【場面:夜・グラウンド裏】
ひかりと悠真、ふたりきりで最後の自主練。
「怖くない?」とひかりが聞く。
悠真は静かに首を振る。
「ひかりがそばにいてくれるなら、大丈夫」
ふたりの手が自然と重なり、ほんの少し、指先が震える。
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【場面:試合当日・県大会会場】
大きな歓声と熱気の中、選手たちが入場。
ひかりの名前がコールされると、客席から一部に黄色い声援が飛ぶ。
「えっ、あの子、アイドルじゃない!?」「ホントだー!」
会場がどよめく中、ひかりは落ち着いた表情でコートへ。
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【場面:試合中・女子シングルス】
ひかり、強敵相手に互角の戦い。
相手が言う。
「アイドルなんて肩書き、甘えだと思ってた。でも……強いね、君」
ひかりの返答。
「私はもう、ただの“アイドル”じゃない。“選手”だから」
渾身のバックハンドが決まり、観客から拍手が起こる。
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【場面:男子シングルス・悠真の試合】
悠真はミスが続き、一時は劣勢に。
ベンチで手を握りしめる。
(俺は……ひかりに守られてばかりでいいのか?)
再開後、攻めの姿勢に切り替える。
「俺のテニスは、守るためじゃない! 貫くためだ!」
逆転のスマッシュがコートを裂く――!
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【場面:勝利後・控室】
男女ともに予選突破が決定。
部員たちが喜びに沸く中、悠真が言う。
「次はもっと上を目指す。
テニスでも、ひかりとの未来でも――もう迷わない」
ひかりが彼の隣で、そっとラケットを握る。
「一緒に、行こうね」
<ラストナレーション:月城はるか>(観客席より)
「後ろから見てると、ふたりの想いがよく見える。
でも私は、まだ終わってない。
自分の夢も、テニスも、これから取り返す」
はるかの目に再び火が灯る――!




