第10話:悠真の選択、答えのラリー
<冒頭モノローグ:相馬 悠真>
「どちらかを選べば、もう一方を傷つける。
それでも、俺は逃げない。
本気の想いには、本気で応える」
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【場面:学校・中庭のベンチ】
悠真は一人、ノートを見つめている。
テニスの戦術メモの端に書かれた「はるか」「ひかり」の文字。
彼の表情は真剣そのもの。
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【場面:部室・夕方】
はるかが一人、ラケットを磨いている。
そこへ悠真がやってくる。
「話したいことがあるんだ、はるか」
静かな沈黙。はるかは覚悟した表情で頷く。
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【場面:屋上】
夕焼けに染まる空の下、悠真とはるか。
「はるか。俺、お前のことが好きだと思った。でも……」
「……でも?」
「俺が今、心から守りたいと思ったのは、ひかりだった」
しばらく沈黙が流れる。はるかの目に涙が浮かぶが、笑った。
「そっか。……うん、ちゃんと伝えてくれて、ありがとう」
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【場面:放課後のコート】
今度は悠真が、ひかりを呼び出す。
「ひかり――昨日の告白、ちゃんと聞いてた」
「……うん」
「俺も、君のことが気になってた。でも、自信がなかった。
君があんなに真剣にぶつかってくれて、やっと決められた」
「え……それって……」
「好きだ。俺も、ひかりが好きだ」
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【場面:夜の校庭】
ひかりは涙を浮かべながら笑う。
「ありがとう、悠真くん……! やっと、やっと伝わったんだね」
背後で風が吹き、桜の葉が舞う中、二人は静かに手をつなぐ。
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【場面:その様子を見つめるはるか】
少し離れた木陰から二人を見るはるか。
蓮見が隣に立つ。
「辛くないんですか?」
「ううん。ちゃんと終わったから、もう泣かない」
彼女の顔には、涙ではなく、前を向く強さがあった。




